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思うなら

ブロッス帝国将軍フィファーナの船に甲板でエイム達が会話をしているとギン達が姿を現し、最初にエイムが反応をする。


「ギンさん、ルルーさん、ジエイさん、お帰りなさい。どうでしたか、フィファーナ将軍とのお話は?」

「ああ、とりあえずみんなここに来てくれ、フィファーナから聞いた話をみんなにも伝える」


 ギンの呼びかけに応じて、他の仲間も戻って来たギン達の周囲に集まり、全員が来たのを確認するとギンが話し始める。


「全員来たな、それじゃあまずは……」


 ギンはフィファーナより聞いた事を順番に話した。カイスが反帝国同盟に対抗する為、他国との同盟を結んだ事、そして宰相であるエンビデスは参謀の任より魔導師団を指揮し、反攻勢力の鎮圧を優先している事、更にカイスの副官であったトーラスが新たな魔導騎士団長に任じられた事を全て仲間達に話したのである。


「しかし意外なのは帝国が他国と同盟を結んでまで俺達との徹底抗戦を望んでいるって点だな、ギガスが皇帝じゃまず考えられねえぜ」

「カイスにギガス程のカリスマや求心力がないから俺達や反帝国同盟を仮想敵としてする事を帝国をまとめる方法として選んだんじゃないかとフィファーナが言ってたな」

「何でカイスはその仮想敵っていうのを魔族にしろって他の奴に言わねえんだ、そうすりゃ、俺達と戦う必要もなく帝国をまとめられるかもしれねえのに」


 ブライアンがカイスに抱いた疑問を口にするとムルカがその疑問に対する自らの考えを述べる。


「魔族を仮想敵とし、他国と共同戦線を張るとなると当然帝国は中心戦力になる。戦後の疲弊を突かれることを恐れたかもしれんな」

「だからって、いくらなんでも他の領主のいいなりになりすぎだろう、あいつがこんなに情けねえ奴だとは……」


 ブライアンの発言を聞いてプラナが思わず叫び、ブライアンに訴える。


「違います!カイス様はただ、帝国を守りたいだけで、自分が間違っていると分かっていてもそれでも苦しんで……」


 泣き叫ぶプラナをルルーがなだめ、ブライアンにも言葉を発する。


「落ち着いてプラナ。ブライアン、理由がどうあれプラナにとってカイスが悪く言われるのは耐えられないの。もちろん今の彼を肯定するわけにはいかないけど……」

「だからあいつの説得に行くんだろ、その苦しみってやつを取り除くのはプラナお前の役割だろう、その為に俺達と一緒に来たんだろう?」

「はい、私にどこまでできるか分かりませんが、それでもそうしたいと私が願ったんですから」

「お前が惚れてる奴の事を悪く言ったのは悪かった。だけど本当にあいつを思うなら、正しい道に戻すのもお前の役割だぜ」


 プラナは涙を拭い、ブライアンの発言に無言でうなづく。

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