「ケネディは意外と多くの批判を買っている」
ケネディは後世まで高い人気を誇っていたが、ケネディ大統領の父、ジョセフ・P・ケネディの密造酒でのアルフォンス・ガブリエル・カポネとの繋がりや、JFK自身も大統領選挙でマフィアの関与が囁かれ、女性関係のスキャンダルも多いし、ケネディ大統領ってば『アメリカの皇太子』のように国民から可愛がられていたイメージだが、意外と黒い。
「政策・差別・人事などによる恨みと反感、それにプライベートは勿論、大統領という特別な地位と空間での女性関係に至るまで……」
「ジャクリーンさん、可哀想……」
24歳で結婚して34歳で未亡人となったジャッキー。
ナミの言葉が話の腰を折る。いまいちナミは、女性の感性がクエストの性質を上回る。気を取り直して千畝が話を戻す。
「俺はCIAから徹底マークされた。そして奴らは一つの結論を出した、それが……」
「……それが『未来人』ってわけかい」
「いいや、初めは『宇宙人』だったさ」
アメリカの
ケネディはアポロ計画で知り得た宇宙人の存在を全世界に伝えようとしていたのではないかと言われたりもする。
ケネディの『エリア51』の暴露は、このディープステートにとって大変都合の悪いことだった。⦅※
「このディープステートが今のメディエの原型と言われている」
◆◇◆◇
「つまりあんたは、自他ともに未来人と認知されたからスパルされた……」
「危うくエリア51で、人体実験のモルモットにされるところだったんだ。だから司法取引をした」
「そう、CIAと取引してケネディ暗殺の陰謀の一端を引き受けた」
「このMRADを使って弾丸はケネディに当たらないなんて、良く信じてもらえたわね?」
「苦労したさ。MRADだってCIAに分解されて壊されちまった」
「オズワルドさんはCIAにハメられたってこと?」
「そうだ、ケネディもキング牧師もマルコムXも全部CIAとFBIが関与している。しかし君たちも見ただろう? 大統領はジェームズ・ファイルズの狙撃で死んだ」
ケネディ暗殺の25分前、イギリスのMI5はCIAに情報を流している。CIAとFBIは暗殺を防ぐための十分な情報をもっていた。確かにCIAは『アメリカを不安定化させる共産主義者の工作』、つまりはソ連への警戒をしていた。しかしそれは国際政治への不安でしかない。各々の利権が渦巻くその中心にケネディがいて、CIAもカストロも、ディープステートもマフィアもみな、ダラスに吸い寄せられていた。
オズワルドは確かに嵌められたのだ。
それは多大な時間と労力を使って、1人の人間の人生を捻じ曲げる大きな組織、大きな仕掛け、大きな陰謀のストーリーであった。リー・ハーヴェイ・オズワルドの人生はCIAによってケネディを、アメリカ大統領を暗殺し得るに足る履歴書を作りあげられていった。
「そしてそれをさらに裏で糸を引いているのが……」
「そう、現メディエである、ディープステート」