「お嬢ちゃんはシャルドに会いたいってことだろ? 手伝ってやれんこともない」
「お母さんの居場所を聞き出すわ! それとお母さんとお父さんに謝ってもらいたい」
「父さん……僕はどうしたらいいか分からない……父さんのスパルを解除できないのか? 解除する方法はないのか? だからまだこのクエストを諦めたくない」
「アポロ計画とエリア51においてアメリカを敵に回すようなら、レジスタンスを捕まえるのに協力しますけれど……僕はこれ以上、問題が起きる前にみなさん帰って欲しいです」
「あたいたちもレジスタンスのリーダーを捕まえられるんなら、協力したいよねぇ?!」
「ねぇねぇ、俺はさ、俺はいつだってナミちゃんの味方さ!」
◆◇◆◇
どうやってシャルドを釣るか……あれから数日過ぎた。きっと仁が戻ってこないことはスナイパーが報告していることだろう。当然、レジスタンス側は用心しているはず。
勿論仁がレジスタンスの在り処を漏らすことはない。そんな中、デンちゃんが仁に問いかける。藍と千畝以外の7人がいる場のことだ。
「ねぇ、『イルミナティ13血流』って知ってる?」
「……?!」
「そのリアクションは『知らない』ってことでいいのかな?」
「…………」
「もし、シャルドもこれを知らないなら、このディープステートの情報を餌に釣りだせないかな?」
仁から向き直ったデンちゃんだが、他の誰もデンちゃんの意図が分からないで困っている。
「ねー、デンちゃん。その13何とかってなーに?」
「うん、実はね、イルミナティ13血流ってばね……」
イルミナティ13血流とはロスチャイルドやロックフェラーに代表される富豪が新世界の秩序を操る陰謀説でディープステートの黒幕と思われる。
その中でロックフェラーが計画した連邦準備制度に反対した大統領である、リンカーンやケネディは暗殺されている。その地区連邦準備銀行12の中にダラス連邦準備銀行がある。ケネディ暗殺はダラスの総裁、カプラン家主導の計画であったのであろうか?
その場にいるタキシードは知らん顔を装うも、聞かずにはいられなかったのであろう。
「その情報をどこで?」
「フーバーさんから聞きました」
「FBI長官の?!」
「そう、大統領を脅せる男、フーバーさんです。江川さんのとき、ナミちゃんが正子さんに……」
「江川? 正子? 一体何の話です?」
「CIAとFBI……意外とそんな関係だってことだね」
「でもどうやって?」
「簡単、簡単。こっちには今CIAの言う『未来人』が13人いるよね、多分。FBIは俺たちのことを調査しても何も出てこない。つまりは知りたいはず。だから交換条件で……」
「教えちゃったんですか?」
「いいや、言わないよ。でも大統領をも脅せるフーバーさんが、意外と弱腰なんですねって言ったら興奮してたかな……?! それで『イルミナティの13家』って口を滑らせちゃったみたい。多分俺が13人って言ったから、連られちゃったんだね」
「これをレジスタンスに流せば13家のいずれかにおびき出せる、ってわけですね」
「いいや、アスター、バンディ、ロックフェラー……地理的にこの3家のどれかだと思う」