「さてと、今日もクレープを焼きにお店に行くとするか!」
あおいは目を覚ますと、顔を洗って着替えを済ませた。
「クレイグさんには悪いことしちゃったな……」
あおいは昨日の特訓の成果が芳しくなかったことを気にしていた。
「まあ、落ち込んでも魔法が使えるようになるわけじゃないし、気分変えていこう!」
あおいは町の店に、いつものように錬成物とクレープの材料を持って出かけていった。
「さあ。今日も稼ぐぞ!!」
あおいは店を広げると、早速呼び込みをした。
「あおいのクレープ屋です! 今日はラズベリーソースのクレープがありますよ。甘酸っぱくて美味しいですよ!」
あおいの店は、すぐに行列が出来た。
しばらくすると、クレイグがやって来た。
「おはようございます、あおいさん」
「おはようございます。クレイグさん、昨日はありがとうございました」
「いいえ、あまりお役に立てずに申し訳ありません」
クレイグは挨拶を済ませると、ポーションゼリーとエリクサー金平糖を買って帰った。
「ありがとうございました!」
クレイグが去って行った後、隠れるようにしていた男性がやって来た。
「あおい、おはようございます」
「あ、アレックス様!? おはようございます。なんで隠れていたんですか?」
「クレイグがいたからです。最近、城を出て居ることが多いので目をつけられてしまいました。」
アレックスはしょんぼりした様子で、あおいに微笑みかけた。
「姿を消せるキャラメルはありますか?」
あおいは申し訳なさそうに答える。
「クレイグ様から、アレックス様には売らないように言われてしまったので……」
「先手を打たれましたか」
アレックスはがっかりしていた。
「お仕事を頑張って下さい。私も応援していますから。今日はポーションゼリーをおまけにつけておきますね」
「ありがとう、あおい。また今度、どこかに出かけましょう」
アレックスに笑みが戻った。
「今日はラズベリーソースのクレープをお願いします」
アレックスは少し疲れた様子で、でも新商品のチェックは怠らなかった。
「ありがとうございました」
王宮の方に歩いて行くアレックスを見送りながらあおいは考えていた。
「アレックス様、疲れていそうだったな。なんか元気の出る錬成物あるかな?」
あおいは帰りに図書館に寄って、新しい錬金術の本を調べてみようと思った。