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SS―16.この世界の美少女のコスプレの破壊力よ

夕刻。

辺りが徐々に暗くなり始めたころ。


うっかりうたた寝してしまっていた俺はノックの音で目を覚ました。


「っ!?いけねっ。寝てた。……は、はい。どうぞ」

「失礼します」


なぜか目を潤ませた、先ほど手伝いをしたメイドのメイリンさんが部屋に入ってきた。


「あの、シュラド様?夕食の準備が整いました。第2食堂へお越しください。あっ、お召し物はこれを」


「え?あ、ああ。ありがとう。すぐに行きます」

「は、はい」


そう言い何故か顔を赤らめて部屋を出ていくメイリンさん。

最近は食事と言えば俺は大体舞奈とルル、そして絵美里と4人で舞奈の部屋で摂っていた。


「珍しいな。第2食堂?…ジェラルドさんのお客さんでも居るのかな?…あっ、じゃあこの服じゃ不味いよね」


正式なスーツとかは必要ないけど、さすがにTシャツ姿は失礼にもほどがある。

俺はメイリンさんの持ってきてくれた服にそでを通し、思わず固まってしまう。


「えっ?なにこれ……ワイシャツ?…それにズボン…っ!?こ、これって…高校の制服?」


メイリンさんの持ってきた服。

それは俺が日本にいた時通っていた学校の制服そのものだった。


「なんで?……あ、いけね。待たせちゃ失礼だな」


腑に落ちないままに俺は第2食堂へと向かった。

そして目の前の光景に俺は息が止まる程の衝撃を受けた。


「なっ?!」


ウッドストック侯爵家の第2食堂。

若干狭いそこは交友関係の深いお客様や、内密な話などが出来るように隠蔽や音遮断の施されている食堂だ。


でも俺の目の前にあるそこは、まさに学校の教室のように変貌を遂げていた。


「もう。俊則、遅いよっ♡」


そしていきなり俺の腕をとる可愛らしい制服に包まれている舞奈。

スタイルの良い彼女、メチャクチャ可愛い。

短めのスカートから覗く白く美しい足が、やけに目につく。


「ま、舞奈?…うわー、凄く可愛い」


別に舞奈は特別に胸が大きいとかではない。

でも引き締まったウエストに程よく大きく形の良い美しい胸。


制服のブラウスに包まれているそれは嫌でも俺の目を引き付けてしまう。


「先輩♡お待ちしていました♡」

「ふわっ!?」


絵美里?

う、うわー。

せ、制服のブラウス…


ボタンがはじけ飛びそうなほど、彼女の美しい胸が主張していた。


そっと腕に抱き着く絵美里。

柔らかい感触が俺の鼓動を激しく打ち鳴らす。


「え、絵美里?…うあ、やばい……可愛すぎる…」


この世界の彼女は確か18歳。

一応学生の範疇だ。


でも……やばいくらいに似合いすぎる。


「むうっ。シュラド様?…私も見て欲しい♡」

「ひうっ?!ル、ルル?!……………ああっ………」


なぜか激しく感動し涙が出てしまう。

ルルはぎょっとし、慌てふためく。


「あうっ?!シュ、シュラド様?…似合わない、ですか?」


そして目を潤ませる。

気付けば俺は力いっぱい可愛らしい彼女を抱きしめていた。


「うあ♡…シュラドさま?」

「あああっ、可愛い、やばい。尊すぎる!!ああ、君はまさに天使だ」

「あうっ♡…う、嬉しい♡」


小柄な彼女が可愛らしい制服を着ている。

愛らしくも可愛らしい胸。

そしてすらりと伸びる細く美しい長い脚。


きっと彼女、日本に居たら間違いなくアイドルになっていただろう。

何故か彼女だけセーラー服なんだけど…

この際細かい事はどうでも良い。


「まったく。やっぱり俊則、セーラー服が好きだったのね。失敗しちゃったな」


ジト目で俺を見つめる舞奈。

改めてみると舞奈と絵美里はうちの学校の制服を着ていた。


「あ、い、いや?…そ、その…えっと…」

「まあ、良いよ?俊則覚えてる?『たなや』でバイトしていた時違う学校の女の子が買い物に来たこと」

「えっ?そんなことあったっけ?」

「うん。俊則セーラー服を着ているその子に見とれててさ。私嫉妬したんだよね」

「嫉妬?……もしかしてテスト前のあの時の事?」

「そう。……むうっ、私が怒っていたのには気づいていたのね?」

「そりゃあ。……だって俺はいつでも舞奈を見てたから…そっか。俺、きっとセーラー服が好きだったんだ」


何故か納得してしまう俺。


「なんで舞奈が機嫌悪いか分からなくてさ。俺、メチャクチャ焦ってたんだよ?」

「う、うん」

「はあ。そっか。俺君に何かしたかと思ってた。……嫉妬してくれてたんだ……やばい。顔がにやけそう」

「はうっ♡も、もう。……こ、この、人たらしっ!!」


顔を染める舞奈。

なんだか日本にいた時の彼女の顔が重なって見えたんだ。


俺はそっと舞奈を抱きしめた。


「うあ?と、俊則?」

「舞奈……可愛い……君が好きだ……ずっと一緒が良い」

「う、うん♡」


俺はずっと教室で彼女とは話しをしていなかった。

死んで転生して、そしてお互い違う体になっちゃったけど……


遂に俺は教室で最愛の人と触れ合う事が出来たんだ。


「…はあ、やっぱり舞奈さんに勝てる気しない」

「そうですね。ロナリアお姉さま、スッゴク可愛い顔してます♡」


どういうつもりかは分からないけど。

俺は彼女の用意してくれたサプライズ。


涙が出るほど嬉しくて……

そして心の底から彼女たちが愛おしくなっていたんだ。


「ねえ、せっかく夕食準備してあるから…食べよ♡」

「う、うん。そうだね。ははっ、そう言えば腹ペコだ」


凝りに凝った舞奈のサプライズ。

夕食もまさに給食そのものだった。



※※※※※



「さて」


ところ変わって舞奈の部屋。

いつもの広い部屋を、何故か仕切っている今日の部屋。

生前通っていた舞奈の部屋そっくりに内装が変えられていた。


懐かしさに思わず涙が出そうになる。


いつも一緒に勉強していたローテーブル。

可愛らしいクローゼットにセンスの良い装飾の数々…


そしてこれから起こることを認識し、緊張が高まっていく。


「ねえ、となり座ってくれないの?」


彼女のベッドそっくりなそれに制服のまま座っている舞奈。

ちょっと不細工な犬のようなぬいぐるみまで再現されていた。


俺はドキドキしながらそっと彼女の隣に腰を掛けた。


俺の大好きな彼女の香りが俺に届く。

まるであの頃に戻ったような初々しい緊張感に包まれていく。


あの時望んでいた少し暗い感情。


舞奈の部屋で、彼女の香りに包まれたあの部屋で彼女に触れたかった。……そんな妄想が、改めて俺の心から湧き上がってしまう。


「き、緊張するね♡」

「う、うん」


そんな気配が伝わったのか、彼女も顔を赤らめやや俯いている。


正直俺はもう舞奈とはそういう事、きっと数えきれないほど経験してきた。

もちろん慣れるとか、感動が薄まるとかは絶対に無い。


だけどあの頃の感情に支配された俺は、もう心臓が飛び出しそうだった。


そっと俺の手に可愛らしい手を絡ませる舞奈。

びくりと俺は体を震わせてしまう。


「も、もう。俊則、緊張しすぎ……わ、私まであの頃みたいな気持ちになっちゃう」

「うあ、ま、舞奈?」


ああ、やばい。

今日の舞奈、なんだかすごく可愛い。


俺はそっと彼女を抱きしめ、可愛らしい唇にキスを落とす。

全身に電気が走り抜ける。

やばい、俺。


今までで一番興奮している。


「んあ♡……もう……ねえ、俊則?」

「うん?」

「……軽蔑しない?」

「うん??」


真っ赤に顔を染め、何故か言いよどむ舞奈。

そして大きく息を吐き改めて俺を見つめてくれた。


「あ、あのね……」

「う、うん」

「…高校生のときね……そ、その…‥」

「……」

「…………………かったの」

「……ん?」


さらに顔を染める舞奈。

なんだか呼吸も荒い?


「だ、だからね、わ、私……あの時、このベッドで……俊則に…抱きしめてほしかったのっ!」

「はうっ?!!」


彼女の部屋。

いつも一緒に勉強していた部屋。


俺だって妄想していた。

大好きな本当に可愛い彼女。


いつも心配だった。

俺はカッコ悪かったけど、舞奈は本当に可愛くて……


でも。


同じ気持ち、持っていてくれてたんだ。


「舞奈、ああ、本当に可愛い。……ごめん、気持ち悪いかもだけど……俺も君とこの部屋で……もっと触れたかった。…君の生活する、大好きな匂いに包まれていたここで」


「もう、俊則。…うん。優しく…してほしい♡」

「舞奈……」


二人、舞奈のベッドで抱きしめあう。

もう舞奈しか見えない。



※※※※※



「はいっ、そこまでっ!!」

「ずるいですっ!舞奈さん!!」


突然乱入する絵美里とルル。

思わずぽかんとしてしまう俺。


うわあ、絵美里とルル?!

やばいでしょ?!その格好?!!


さっきと同じ格好だけど…

なんか微妙に色々短くないですか?!


「今日は4人です。言いましたよねっ!」

「そうですよ舞奈さん。私、久しぶりの制服着て……スッゴク興奮しちゃってますから♡……私も高校生の時、先輩と……え、えっち、したかったのっ♡」


そして絡みついてくる絵美里とルル。

きっと俺の性癖なのだろう。

セーラー服姿のルルに視線を奪われてしまう。


「んふ♡この服、良いですね♡シュラド様の目、ゾクゾクしちゃいます♡」


そっとセーラー服の上から彼女の可愛らしい場所に手を這わす。


制服の布の感触とともに、その下にあるルルの柔らかいもの。

そしていつもと違うシチュエーションに目を潤ませ真っ赤に染まる可愛らしいルル。

在り得ない状況に募る背徳感。


俺をかつてない興奮が突き抜ける。


ああ、もう止まれない。

こうなったら……全力だっ!!


「あんっ♡うあぁ……なんか私、興奮しすぎて……変になっちゃう♡」

「むう、俊則、ルルばっかりズルい。わたしもっ♡」

「ま、負けません!私のテクニック、先輩をメロメロにしちゃいます♡」


始まる狂乱の宴。


俺たち4人は過去最高に盛り上がり、夜更けまで宴は続いたのだった。


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