私が悠真に生まれ変わって一週間が経った。
男の言葉遣いには慣れたが、考え事をする時はまだまだ女子のままだ。ずっとこの身体でいると、考え事の時までそのうち男子になったりするのだろうか。
「はいはい、注目! それでは、来月に控えている校外学習のグループを決めましょうか。男女3人ずつ、計6人で1グループです。メンバーは自分たちで決めたい? それとも、名簿順がいい?」
担任の高木先生が言い終わるやいなや、「私たちで決める!!」と彩奈が手を上げた。
「他の人たちはどう? 藤崎さんの意見で大丈夫? ————皆もそれでいいみたいね。じゃ、チャイムがなるまでに決めちゃってね」
高木先生が言うと、生徒たちは席を立ち、思い思いの場所へと移動を始めた。
「ねえねえ、悠真。お昼ごはんのメンバーでグループ組んじゃおうよ」
隣の席という利点を活かして、眞白が一番で言ってきた。お昼ごはんのメンバーとは、千尋と沙耶、そして眞白と私だ。
「ずっ、ずるい!! これって先着順じゃないよね!? 私たちも悠真と同じグループがいいんだけど」
次点でやってきた彩奈がそう言った。隣にはいつもの明日香もいる。
「アハハ、人気者は大変だなあ悠真。ま、男子は俺と仁と悠真で決まりでいいよな? 女子は女子で決めてくれたらいいよ」
春人は笑いながらそう言うと、私の机に腰を掛けた。眞白が呼んだのか、千尋と沙耶も近くまで来ている。
「そっ、それじゃ、じゃんけんで決めるよ! いい!?」
彩奈がいうと、千尋が「待って」とじゃんけんを止めた。
「わ、私と沙耶は別のグループで大丈夫。藤崎さんたちと眞白ちゃんで、ちょうど3人だし」
千尋はこわばった笑顔でそう言った。万一、彩奈と明日香、そして千尋になんて決まったら耐えられないからだろう。
「——だってさ、眞白。あんたはそれで大丈夫?」
「まあ、千尋たちとはいつもお昼一緒だから、校外学習くらいはいっか。——ごめんね、千尋、沙耶」
千尋たちは「じゃあ」と手を振って、違うグループ探しへと向かった。
「じゃあ、これで決まりだな。先月の時点じゃ、こんなグループになるなんて想像出来なかったよな。悠真はまだいなかったし、眞白と組むなんてのも想像出来なかったし。なんかおもしれーな、マジで」
春人はニコニコと笑いながらそういった。
それは私だってそうだ。春人と同じグループになれるなんて、誰が想像出来ただろうか。
***
「あーあ、こんなことなら、眞白ちゃんと三人組になれるように頑張ればよかった……」
昼食時、千尋が肩を落としてそう言った。二人組の女子が多かったため、千尋と沙耶は離れ離れになってしまったのだ。
「それなら私たちのグループと一緒に行動しようよ。千尋のグループも、沙耶のグループも」
「何言ってたんだ、眞白。そんなことしたらグループ分けの意味ないじゃないか」
私が言うと、「ホントそれ」と千尋と沙耶が笑った。
「でもホント、眞白ちゃんって強くなったよね。どこが? って聞かれると、上手くは言えないんだけどさ……私ももっと、自分を出していかなきゃ」
千尋はそういうと、自分自身に言い聞かせるようにウンウンと頷いた。