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5章 プロローグ

ここは……何処……?


私は…………



……身体が……動かない……?



「やぁ……お目覚めかね……エミリア・ハース主任」



この声は……?



「ズー……所長?いえ、違うわね……所長は私をそんな風には呼ばない……あなた……誰?」



何……この、寒気がする笑い方……



「賢い女性は嫌いじゃない……」



「此処は何処……?あなたは……?」



「ふむ、気になるだろうね、此処は何処か……


此処を例えるならそう……新世界への入り口……


まぁ君にとっては天国への階段と言ったらところか」



「意味が分からないわね……!ズー所長を何処にやったの?」



「ふふ……君の目の前にいるじゃあないか?……私がそうだよ。ドュアリス・ズー、アーカーシャ研究所所長にして世界有数の医薬品メーカーのCEO、ドュアリス・ズーだ」



「嘘よ……あなたの体格、声色、顔以外まるで別人だわ」


「ふむ、今から百年以上昔の話だ。ある男が性犯罪を繰り返して逮捕された。しかしその男の中には二十四人もの別人格が存在し、その中には子供や物凄い腕力を持つ者もいたと言う……」



「知ってるわ……有名な話だもの……“解離性同一性障害“、あなたがそれだと言うの?」



「ふふ……そうだとも言えるが違うとも言える……私の場合、もっと純粋だ……」



「その遠回しな言い方、やめてくれるかしら」



「ふふふ……強気な女は更に好みだ……しかし、私は人間の女性は抱けないのだ……悪く思わないでくれたまえ」



「…………」



「種明かしをする前に、……先ずはこれを見たまえ」




……何……それ……?



「驚いたかい……?私のコレクションさ……君もじきにここに加わって貰う」




嘘でしょ……それ、人間の……脳……?




「……!嫌……ちょっと、何をするの……!?」



「心配しなくても良い。これはただのナノマシン受信アンプルだ。一日寝れば消える。言葉で語るより直接見てもらった方が良いと思ってね」



……いや……私の、記憶が……書き換え、られる……




「ふふふ……ゆっくり、ご覧あれ……私の、物語を────」





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