ここは……何処……?
私は…………
……身体が……動かない……?
「やぁ……お目覚めかね……エミリア・ハース主任」
この声は……?
「ズー……所長?いえ、違うわね……所長は私をそんな風には呼ばない……あなた……誰?」
何……この、寒気がする笑い方……
「賢い女性は嫌いじゃない……」
「此処は何処……?あなたは……?」
「ふむ、気になるだろうね、此処は何処か……
此処を例えるならそう……新世界への入り口……
まぁ君にとっては天国への階段と言ったらところか」
「意味が分からないわね……!ズー所長を何処にやったの?」
「ふふ……君の目の前にいるじゃあないか?……私がそうだよ。ドュアリス・ズー、アーカーシャ研究所所長にして世界有数の医薬品メーカーのCEO、ドュアリス・ズーだ」
「嘘よ……あなたの体格、声色、顔以外まるで別人だわ」
「ふむ、今から百年以上昔の話だ。ある男が性犯罪を繰り返して逮捕された。しかしその男の中には二十四人もの別人格が存在し、その中には子供や物凄い腕力を持つ者もいたと言う……」
「知ってるわ……有名な話だもの……“解離性同一性障害“、あなたがそれだと言うの?」
「ふふ……そうだとも言えるが違うとも言える……私の場合、もっと純粋だ……」
「その遠回しな言い方、やめてくれるかしら」
「ふふふ……強気な女は更に好みだ……しかし、私は人間の女性は抱けないのだ……悪く思わないでくれたまえ」
「…………」
「種明かしをする前に、……先ずはこれを見たまえ」
……何……それ……?
「驚いたかい……?私のコレクションさ……君もじきにここに加わって貰う」
嘘でしょ……それ、人間の……脳……?
「……!嫌……ちょっと、何をするの……!?」
「心配しなくても良い。これはただのナノマシン受信アンプルだ。一日寝れば消える。言葉で語るより直接見てもらった方が良いと思ってね」
……いや……私の、記憶が……書き換え、られる……
「ふふふ……ゆっくり、ご覧あれ……私の、物語を────」