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08 出会系喫茶惑星コロニーにて

 エロ規制派、超連邦本部!!


 超宇宙のどっかにあるんだが、別にどこだって言ったって、太陽系もろくすっぽよくわかってない読者諸兄に話したところで無駄なんで、まあ、その辺は月の裏側とかでいいんちゃいます的なご都合主義の場所にあったりする!!


 これまたご都合主義よろしく、なんか偉そうなジーサマたちが難しい顔を突き合わせて円卓を囲んでいるわけであるが、こんなんリモート会議でええやん……というツッコミを無視し、顔と顔を突き合わせなきゃ会議じゃないみたいな老害の御意見を尊重する状況となっていた!!

 とどのつまり、SDGsから真反対の方向へ一直線な、本人たちも含め、最も遠い太古の遺物であーる!!


「……なんかどこかで馬鹿にされとるような気もしないでもないが、そんなことよりもモモジリの話だ」


 総司令官っぽいジーサマが言った。


「ハッ。モモジリは現在、中立国である『出会系喫茶惑星コロニー』におります」


 下っ端の官僚っぽいのが答える。


「それはまことの情報か? あそこに至る途中には、チブサー帝国の大艦隊が配置されておっただろう。あの勢力に見つからずにどう抜けおおせたのだ?」


 副司令官っぽいジーサマが言った。


「は、はい。…それが、敵艦隊を駆逐して到達したようで…」


 会議室がザワザワと騒がしくなる。


「馬鹿な! モモジリ1隻でそんなことができるものか!」


「現実に敵艦隊の反応がレーダーから消失していまして…これは真実だとしか…」


「「「うーむ」」」


 息子にツンデレする某司令のやる、机の上で指を組むポーズで悩むジーサマ連中。


「……戦果を上げたというのならば、これを活かさぬ手はない」


「うむ。そうだな。よし、モモジリに新たな任務を言い渡す!!」




☆☆☆




 出会系喫茶惑星コロニー。


 入港には男子有料、女子無料制のよくある女性に優しい惑星である。

 エロ推進派、エロ規制派のどちらにも属さず中立公平を騙っている。デリケートゾーン…間違えた。グレーゾーンなコロニーでござる!!



 港では猫耳をつけたメイド風のメスたちが「おかえりなさいませ、ご主人様♡」と出迎えてくれる!!


「グェヒヒヒッ! こりゃたまらーん! いいお目々の保養じゃのぉう!」


 畜生の中の畜生、本能の赴くままに生きている猿三郎はそうのたまわった。


 さてはて、前回、エロエテッキーと大爆死あそばされたかと思いきや、ご都合主義よろしく生きてやがったわけであーる!


「もうイヤね〜。下半身でしか女を判断できないクズは。そう思うでしょ、犬次郎♡」


 もちろん、トリビッチーナに乗っていた雉四郎も生きてやがったのであーる!


「勝手に腕を取ろうとするなカス。手羽先みたいに腕を千切り取るぞ」


 腕を組もうとした雉四郎をかわし、犬次郎は歯を剥き出しにして怒り狂う。


「さて、畜生ども! アータたちに指令を与えちゃうわよ!」


 オ・ウーナがウインクしつつ、本人がアヒル口と言って憚らぬ、おちょぼ口でのたまう!


 アイヤ〜! 船員全員が殺意を覚えたネ!


「心して聞きなさぁい!!」


 しかしどんなにムカつく上官でも、上官は上官だ。目は向けずとも耳だけは傾ける。


「休暇を与えちゃうわ♡」


 全員が「は?」っという顔をする。


「せっかく平和な中立地帯に来たんだもの! ヴァーケションよ!」


 歓声が上がる!


 予期しなかった休みなんだから、テンションだだ上がりであーる!


 月曜に「あー、学校(仕事)行きたくねぇーな」と思いつつ起き上がった時に、「あれ!? もしかして……今日、祝日じゃーん♡」っていうアレであーる!


 乗組員はパリピのエンジョイ勢のごとく無敵モードとなる!


「いまは戦時中で…」


 クソ真面目だけが取り柄の猫五郎が正論をぶっ放すが、ハイテンションな畜生どもには聞こえていない!


「エロッティとスケベッティの抑制には、ゆとりが必要なんじゃー!」


「そうよ! これが、ゆとり性教育なのよ!」


 トチ狂った猿三郎と雉四郎は、よいやっさと風俗店街へと走り消え去って行ったのであーった!!


「な、なんて本能に忠実な、無軌道な猿雉ひとたちなんだ…」


 びっくら仰天こいている猫五郎である。


「判断が遅い! …と、戦場で死ぬからよ」


「え?」


 どこぞの天狗の仮面かぶった師匠みたいなことを言ったのは、猫五郎憧れのメス猫のミーシャであーった!


「押せる時に押す…これこそが軍人の鑑よね」


「そういうもんでしょうか…?」


「ええ。悩まずに即決できるのは男らしいと思うわ」


 猫五郎はハッとする。


(つまりこれはデートに誘えと言っているのでは!?)


 そういや、さっきからミーシャは「んな〜ご♡ んな〜ご♡」と喉の奥で鳴いているような気がしなくもない!


 もしかしたら猫五郎の幻覚かも知れないが、僭越ながら筆者の体験談を述べさせて頂くと、釣り銭を渡すときに手を握ってくれるレジの女の子は皆、「自分に好意があるんじゃないかしら?」と思うものであり、そういうのが男の子ってヤツであーーる!!


 つまり、これは恋の季節……


 そう。恋の訪れはいつも唐突で──


「発情期だっぺ!!」


 ベンザーのせいで良い雰囲気が台無しになった!


「さあ、まぐわうっぺよ! ニャン吉玉!」


「あんた! なに言ってんですか!?」


「少子高齢化を止めるには、ヤるときにはヤるのが大事なんださぁ!」


「おかしい! おかしいですから!」


 猫五郎とベンザーが取っ組み合いしているうちに、ミーシャはそのまま行ってしまった。


「どけ」


「あんれまぁ!」


 犬次郎に突き飛ばされ、ベンザーはボウリングの玉の様にしてロビーを転がって行き、読者諸君の予想通りに運搬車に轢かれる。


「猫五郎。買い出しに行く。荷物持ちとして付き合え」


「え?」


「お気に入りのドックフードが切れたんだ。そのせいで俺はすこぶる機嫌が悪い。『はい』以外の返事は聞かん」


「は、はい…」


 なんなら猫五郎を殴り殺しそうな程に怒り狂った犬次郎に気圧され、猫五郎は借りてきた猫のごとく大人しく従ったのであーーった!!

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