「グルルルッ!」
犬次郎は怒り狂っていた!
それはババエロンガと雉四郎のナワバリ争いが大変にやかましく、せっかくのお昼寝タイムを邪魔されたからである!
「グルルルッ!」
そして、話が一向に進まない事にも激おこぷんぷん丸だった!
なぜならば、辛うじて猫五郎が話を進ませているのに、他の畜生どもが邪魔したせいで遅々として進まず、ダラダラしてしまったからであーる!
「オドゴオオオオオッ!!」「交尾ィィィ!!」
犬次郎の真っ赤なお目々が、暴れる2匹をギロリと捉える!
そして2匹の前髪を掴んでからの、ジャンピング・ダブル・ニー・バット!!
つまり、犬次郎の膝頭が彼女らの鼻柱をへし折ったのであーる!
「うんももすッ!」「うんももすッ!」
鼻血をしとどに蒔き散らし、もんどりうって倒れる2匹の性獣!!
柴犬の圧倒的な暴力を前には、ババエロンガだろうがゾンビビスだろうが無力なのだった!!
そして! 怒れる柴犬にタコ殴りにされる!!
その理不尽な暴力を前に、さしものクソの中のクソである猿三郎とベンザーも、怯えて泣きながら抱き合うしかねかった!
「ミーシャさん!」
猫五郎はこの隙にミーシャとの対話を試みた!
「猫五郎くん。私……実はエロ推進派ローション家のスッパイだったの……」
「エッ?」
唐突な告白! 驚愕の事実にびっくら仰天する猫五郎!
「そ、そんな…。なんで、ミーシャさん…」
「おかしいと思わない?」
「なにがですか…?」
「エロ規制派の超連邦のことよ」
「超連邦が…?」
「そう! エロ規制派だなんて言っておいて、こんなスケベッティな戦艦を乗り回して、乗員もほとんどがエロッティに汚染された畜生たちじゃないのよ!」
そこは猫五郎にも否定できなかった。なぜならば、この艦の野郎どもはみんな変態としか言いようがなかったからだ!!
「それは“SEP”を独占しようとする超連邦の策略なのよ!」
聞き慣れない単語に、猫五郎は怪訝そうにする。
「え、SEP?」
「“
「た、確かに…」
そう! 読者はきっと忘れてしまっているだろうが、そもそもエロ規制派とエロ推進派はそのエネルギーを巡って争っている設定だった!
専門用語はあえてまた説明する! それが思いやりある小説の在り方だ! 素晴らしい!!
「エロ規制派は、心優しい足長おじさん的な紳士的なフリして、実は風俗嬢にヤル事ヤッてから説教たれる様なクソ野郎なの! ムッツリスケベなだけで、結局はスケベッティでエロッティなことには変わりないわ! なら自分の変態さを認めて、スケベッティでエロッティを自由に堂々と表現すればいいじゃない! エロッティなスケベッティの癖にその本性を隠そうとするエセ紳士的な態度がなんとも腹立たしいわ!! そうは思わない!? 猫五郎くん!!」
「いや、あの…突然の事でなにがなんだか……」
パニクる猫五郎!
そりゃそうだ!
いきなり憧れの女性からスケベッティやエロッティを連呼されたらそうなるぜ!
「だから、私はエロ推進派に与したの!」
「え!?」
ミーシャは服を脱ぎ捨てる!
猫五郎の顔が真っ赤になった!
服の下はアブネェ水着だったからだぁ!
アブネェ水着とはなにか!?
そりゃ布の面積が本当に肝心な部分しか隠してねぇヤベー水着なのだ!
たわわな乳房のビーチクはギリギリ隠れて、股んところもタコ糸じゃねぇかってぐれーにギリギリだぁ!!
こいつぁ、ハイレグなんてレベルじゃねぇぞぉ!
つまり、全裸じゃねぇだけの、エロッティでスケベッティな水着なのだーー!!
しかーし、悲しいことにコレ小説なのね!
読者に映像で魅せられないことが悔やまれてならない!
ぜひアニメ化、実写化をご期待頂きたい!
なんなら出版社(もしくはネオページ運営)にかけあって、『シン畜生転移』の書籍化をキボンヌしてくれても作者としては一向に構わんッッッ!!!
「あお、あおお…」
「猫五郎くん。実は私はビッチなの♡」
好きな女のコがビッチだった!
こんな美味しい展開はない!
「一緒に来て! 猫五郎くん! キミとなら…」
「……いや、ミーシャさん。なにか…なにかが違います」
猫五郎は悲しい顔をする。
「違う? 猫五郎くん。なにを言ってるの? エロッティでスケベッティな女のコに誘われて、それを断るっていうのは、据え膳を水洗便所で流す様な行為よ!」
「違うんです…。僕はミーシャさんが好きです。スケベッティでエロッティなことも……嫌いじゃない…」
「なら♡」
「でも、これは違う。なぜなら、好きな女のコは…清楚でいてほしいから!!」
ミーシャの顔が険しいものとなる。
「……そう。毒入りシチューで賢者モードになっているわけでもないのに、キミも所詮はムッツリなのね。それでいて一歩を踏み出せないヘタレ童貞。魔法使い予備軍ね」
好きな女のコに罵られ、猫五郎は唇を噛み締める。
「いいわ。これでなんの未練もなく、私はエロ推進派に協力できる。モモジリはオシマイよ」
その時、猫五郎はミーシャの目尻で涙が光ったことに気付いた。
「ミーシャさんッ!」
『コーポー。ここからはワシが話そう』
あのモニターから声が響き、ミーシャはビクッと震える。
「! この声は!」
『猫五郎…といったか。ワシの名はアール・バイター。エロ推進派チブサー帝国の将軍のひとりよ』
「アール・バイター…だと。敵の上級士官!?」
『…? フム。貴様からは、ワシと同じ強いムラムラッティを感じるな』
「? ムラムラッティだって?」
『もしや、貴様は伝説の“ルックミー・チタイストーカー”なのやも知れ…』
ドッゴーンッ!!
突如として、モニターが大破した!
なぜならば、犬次郎のバックドロップにより、あのババエロンガの後頭部がそこに直撃したからであーーる!!
「な、なんてことを! 犬次郎さーん!」
「うるさい。そんなことはどうでもいい」
犬次郎は隅で縮こまっていた猿三郎とベンザーを蹴り飛ばす!
「猫女。さっさとコイツらを元通りにしろ」
「あ、アナタ、私の話を聞いていなかったの? 私はエロ推進派で…」
「黙れ。ここでミンチにされたくなければ答えろ」
頭がカチ割れて気絶しているババエロンガの顔を近付けられ、ミーシャは声にならぬ悲鳴を上げる。
説明するまでもないが、犬次郎は女でも容赦なくグーパンできる柴犬だ。そこら辺は男女平等も弁えている賢い犬なのであーる!!
「た、助ける方法はないわ。超地球を滅ぼしたヴィールスよ。一度、罹患したら治すことはできない」
「そ、そんな…」
絶望する猫五郎。猿三郎たちは大人しくなってこのままでもいいが、さすがにオ・ウーナたちがこのままなのは困ると思ったのだ。
「…チッ。なら、非常手段を取るしかないか」
「犬次郎さん? 非常手段って?」
犬次郎は答えずに食堂を出て行く。
かと思いきや、すぐに戻って来た。どこからか取って来た大量の雑草を抱えて。
「そ、それは…」
「俺のお散歩コースに生えてた雑草だ」
「ざ、雑草?」
「そうだ。収集したのを保管して置いてよかった」
「??? い、いや、犬次郎さん。そんな雑草でなにを…」
「お前は頭が悪いのか? 食べさせるに決っている」
そう。犬族はなんかポンポンが変だなぁと思った時に雑草を喰うことがある!
雑草を食べて嘔吐を促し異物を排出させるのだ(除草剤などがかかった草には注意が必要。それとストレスで食べることもあるらしいのでそこも飼い主さんが気にして上げて)!
そして、犬次郎は雑草を片手に畜生どもの頭を上げさせる!
「ムゴガッ!」「ムゴガッ!」「ムゴガッ!」「ムゴガッ!」
無造作に雑草を口の中に放り込んだ!!!
「吐くな。呑み込め」
吐いたら鉄拳制裁が待っているが故に、1人と3匹は涙しながら草を喰う!
なんか拷問みたいだ!
w(くさ)はえるぅwww
「こ、こんなことで治るわけが…」
「「「「治った!」」」」
1人と3匹は光輝く良い笑顔でそう宣わった!
オ・ウーナは長年の坐骨神経痛まで完治した!
猿三郎はエロ目的に切りすぎた深爪が治った!
雉四郎は痩せたいと思ってた始めたダイエットが三日坊主で終わったのに30g痩せた!
ベンザーは言いたいことも言えないストレスからくる神経性胃腸炎が治った!
「そんなバカな…」「そ、そんなことが…」
猫五郎とミーシャは超展開についていけなかった。
読者もそうかも知れない。
しかし、これが現実なのだ! 超宇宙ならば、あなたの常識では計り知れないことが起きるのだ!
「見たか。雑草は万能薬なのだ」
犬次郎はさもありなんとおおせられたのであーーった!!