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22 犬次郎タヒす

 絶好調の犬次郎は止まることなく、敵全体をフルボッコボコにする!!!


『次から次へと害虫どもめ』


 悲劇! まさに悲劇!! まさしく悲劇!!!


 犬次郎からすれば、向かってくる敵など単なる虫ケラに等しかった!!


 この残虐行為については、殺虫剤を散布する程度にしか、犬次郎は考えていなかったのであーる!!


『犬次郎さん! なんだか凄い勢いで1体近付いて来ます!』


『なに?』


 犬次郎の影に隠れてやることのなかった猫五郎がそうのたまわった。



鬼瓦溜蔵おにがわらためぞう型ゴンザレス号】



 艶光りするパンチパーマに、黒ジャージを模したボディ、両手に竹刀風エネルギー・ブレードを装備した、真っ黒な鬼面顔のロボットが、まるで廊下で走っている性徒を目撃したかの如く超高速で飛来して来る!!


『コーポー』


 そう! もはや説明するまでもない!


 かのアール・バイターの愛機であーる!!


『ゴ○ブリみたいな機体だな。お望み通り叩き潰してやる』


 シバキイーヌはいつもの様に鉄球を振るう!!


『チート能力。キサマの専売特許と思うてか』


『ん?』


 ゴンザレスの全身が黒紫に輝いたかと思いきや、物理の法則をまるで無視した素早い動きで鉄球をかわす!


『ゴキ○リみたいに速い!』


 鉄球にはホーミング性能があったハズなのに、それすらも見越して避けるゴンザレスに猫五郎はびっくら仰天する!


『舐めるな。鉄球は2つある』


 犬次郎の言う通り、陰嚢玉というだけあって双子だ! 当然、2つ目が向う!


『1つも2つも同じ事よ』


 2つ目には竹刀ブレードを当てて弾く!


 そして、ゴンザレスはシバキイーヌとの間合いを一挙に詰める!!


『犬次郎さんの攻撃が通用しない! それにこの声は!?』


『通用しない? そんなわけがあるか』


 猫五郎がなにかに気付いたのをスルーし、シバキイーヌは思いっきり鉄球を引っ張る!


『ムウッ?』


 とんでもねぇ勢いで戻っていく鉄球を見やり、ゴンザレスは攻めるのを一旦諦めて態勢を整え直した!


『逃がすと思うか?』


『こ、これは!?』 


 犬次郎がニヤリと笑い、猫五郎がびっくら仰天する!


『なん…だと?』


 犬次郎の巧みな陰囊捌き(?)により、鉄球はまるで生き物の様に動き回り、ゴンザレスを双方向から挟み撃ちにしたのであーる!!


『砕け散れ…ゴキブ○め』


『なんというデタラメなパゥワーだ! ドドリアーンとザボボンでは相手にならぬのも分かる。…しかし!』


 ゴンザレスは竹刀を背中に収納し、大きく両手を開く。


『なんの真似だ。降参など……?』


『ムウンッ!!』


『!?』


 ゴンザレスが全身から黒紫のオーラを放ちつつ、両腕を交差させると、それに合わせるかのように鉄球の軌道が変わり、いやはや螺旋を描くように、鉄球を繋いでいた鎖が絡まっていく!!


『クソッ!!』


 犬次郎はなんとか鉄球を回収しようとするが、上手くいかねぇんだこれが!


『喰らうがいい! これがワシのムラムラッティの力よ!!』


 アール・バイターが指をクルッと回す!!


『3回転半!』


『キャイーン!!』


 犬次郎は涙ちょちょぎれになった!!


『い、犬次郎さん!? なにが!?』


 猫五郎はびっくら仰天あそばされているが、懸命なる読者諸君はもうお気づきだろう!!


 アール・バイターの超能力により、犬次郎の陰嚢玉がひどく捻られ候なのだ!!


『飼い犬風情がワシに盾突くからこうなる。忠犬らしく、己の首に鎖でも巻いておけばよいのだ』


『…クゥーン』


 シバキイーヌは活動を停止して沈黙する!


 いかにイケメソの柴犬でも、玉袋を3回転半も捻られたら痛いのよ(涙)!!!


『そんな…あの犬次郎さんが敗けた…』


 猫五郎は絶望感で一杯になる。 


『……他に動ける機体はキサマしかおらぬようだな』


 ゴンザレスが、猫五郎……ヌッコロシエモンの元へとやって来る。


『ううッ…。その声はミーシャさんと話していたヤツ…だな』


 猫五郎は虚勢を張るが、そんなものとうに見越しているアール・バイターは手を組み余裕のよっちゃんだ!


『左様。猫五郎とやら、武装を解け』


『なに?』


『勝敗は決した。これ以上の戦いは無益だろう』


『馬鹿な! 僕はまだ…』


『正直に言おう。ワシはキサマを殺したくはないのだ』


『なにを言って…』


 猫五郎は怪訝そうにする。


『この前は話が途中で終わってしまったな。あの続きをしよう』


『続き…』


 そういやあの時、犬次郎がモニターを大破させたせいで、会話が途中で止まってしまったのであーった!


『ぶっちゃけて言おう。キサマにはムラムラの力がある!』


『ムラムラの力?』


『正式名称はムラムラッティだ!』


『い、いや、そういうことを聞いてるんじゃなくて…』


『分かっている。エロッティやスケベッティなど、ムラムラから生じる残滓に過ぎぬ。人類や畜生が持つ最も根源的な力こそが、ムラムラなのだ。とどのつまり、ムラムラこそが最強なのだ』


 猫五郎はやっぱり「なに言ってんだコイツ?」みたいな顔をしていた。


『聞くより、体験した方が早い! ムウン!!』


 アール・バイターが黒紫のオーラを発するとそれがゴンザレスの全身包み込み、それだけに飽き足らずにヌッコロシエモンまで続く!


 そして両者はまるで電極にでもなったかの如く、アーク放電のようなエネルギーを周囲に迸らさせた!


『ううッ?! な、なんだこれは!』


 身体の奥底から生じる奇妙な疼きを覚え、猫五郎は自身の腕を抱いて苦しむ。


『抵抗するな。頭で理解せずとも、身体で分かるはずだ。これがムラムラ……いま、ワシのムラムラに、キサマのムラムラが呼応しておるのだ』


『そ、そんな…僕にムラムラだなんて……』


『ワシと来い。猫五郎よ。エロ規制派だのと、キサマの力を飼い殺しにする超連邦こそ真の敵。共に愚か者どもを討ち滅ぼすのだ』


 猫五郎の視線がぶれる。モニターに映るゴンザレスの差し出す手が、とても魅力的に見えて仕方なかった。


『分かる。ワシにも分かるぞ! キサマのムラムラがワシに教えてくれる。ミーシャだな。ミーシャを“あんな風”にした連中が許せないのだな?』


『……許せない』


 まるで上の空で猫五郎はのたまう。そのお目々の奥の色が半分ほど黒紫に侵食されていた。


『安心しろ。ムラムラの力さえあれば、ミーシャは元に戻る』


『ほ、本当にぃ?』


 猫五郎はミーシャが元気になった姿を夢幻の中で見やり、ここではないどこかを見やって微笑んだ。


『本当だ。だから……チッ!?』



 ビュボッ! ビュボボボッ!!



 ヂュチュッボボーーーーンッ!!!



『ギャアアアッ?!』


 若干黄ばんだ白き閃光に照らされ、寝ぼけた面してた猫五郎はびっくら仰天する!!


 そう!! それはモモジリの主砲だーった!!!


『ムウウウウンッ!!!』


 ゴンザレスが黒紫のオーラで避妊具っぽい防御膜を張り、その閃光を受け止める!!


『大丈夫かい!? 助けに来たわさァ!! 猫五郎!!』


 モニターにモザイクのかかったババアが映し出される。映像は切っていたのに、ババア的な厚かましさで強制的に出て来やがったのであーる!


『オ・ウーナ副艦長……って、助けに来たって、いま僕ごと消し去ろうとしたじゃないですか!!』


 確かにモモジリの主砲は、ゴンザレスどころかヌッコロシエモンをも完全消滅させる気マンマンでブッ放したかにしか見えなかった!


『……大丈夫だ。猫五郎ならイケる。そう信じて発射を命じた』


 オキーナは親指を立てて頷く。


『なにがイケるんですか!? 危うく“逝き”かけたの間違いでしょうが!!』


『細かいことをウダウダ言うな! それよりもソイツだ! ソイツに集中砲火浴びせている最中に、犬次郎軍曹を連れて船に戻れ!』


 ゴリッポがそう言った直後、ゴンザレスに向かってレーザービームが連続照射される!!


『おのれい!』


 主砲を受け止めたせいでエネルギーが低下しているゴンザレスは防御しつつ後退する。


『猫五郎! ワシと来い!』


『アール・バイター! まだそんなことを!』


『聞け! キサマはワシの……』


『?』


『そこどくだっぺよォ!!!』


『ベンザー博士!?』


 モモジリから、某菓子パンが主人公の敵方の擬人化病菌野郎が乗っているUFOみてぇのでベンザーが現れる!!


 そして船底に逆さまに付けられているのは、なにやら改造されてUFOの一部にされちまって涙ぐんでいるグルコサミンだった!!


『グルコサミン! 回収だっぺ!!』


『ちょ、ちょ、ちょっと!!』


 猫五郎の制止も聞かず、グルコサミンは小脇にヌッコロシエモンとシバキイーヌを抱える! 若干、脇が臭った!


『逃さん!!』


『トンズラだっぺよ!!』



 ブビビーッ!!



『ムウ!?』


 ゴンザレスがレーザーを跳ね返しつつ迫るが、ベンザーが尻から放った放屁が煙幕となり、ゴンザレスの視界を塞いだ!


 視界が開けた時には、モモジリが急速後退しているところだった。 


『……逃がしはせん。逃がしはせんぞ、ルックミー・チタイストーカー! 我が息子よ!』


 アール・バイターはムラムラのエネルギーを高め、それをゴンザレスの爆発的な推進力に変えてモモジリを追ったのであーーった!!

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