目次
ブックマーク
応援する
4
コメント
シェア
通報

27 復活のI

 モニターに映る巨大KGK!


「こ、皇帝陛下のヤオキチ号がなぜここに……」


 びっくら仰天する塵太郎に、オキーナは脱ぎ捨てたアール・バイターの仮面を指差す。


「これに付けた盗聴器で、きっと我々の会話を盗み聞きしていたに違いない」


「馬鹿な…。なら、ワシは最初から信用されておらなんだとでも言うのか……」


「これが帝国のやりかたさねェ! 血も涙もないわさ!」


 幼子を超宇宙に放りだした奴が言うなと、誰しもがそう思った!


「とにかくマズイですよ! なんかあのロボットめちゃくちゃ強そうじゃないですか!」


 猫五郎がそうのたまうのに、塵太郎は喉を鳴らしてコクリと頷く。


「チブサー帝国が誇る最終決戦兵器だ。超宇宙を7回ほど消滅させてもお釣りがくると言われておる、そんな吉田沙○里みたいな超兵器がアレだ」


「ええーッ!? そんなの相手にどう戦えば…」


 今現状、まともに稼働できるのは未だ見せ場がないヌッコロシエモン1体だけであーる!


「「き、来たぁ!」」


 迫り来るサドマゾンの機体を前に、半ベソかいたゴリッポとベンザーが抱き合う。


「ここはワシのムラムラッティで……グッ!」


 塵太郎は胸を抑えて膝を付く。


「アール・バイター!?」


 荒い呼吸をして苦しそうにするのに、敵とはいえど、畜生にしては良心のある猫五郎は心配してしまった。


「大丈夫?」


「……久し振りにマスクを外したら、羞恥心で動揺してしまっておる!」


「は?」


 心なしか赤面している塵太郎に、猫五郎はすんげー見下したお目々をした。


「恥ずかしぃ/// 恥ずかタヒしてしまいそうだ!! そうだ! 自宅警備員になろう!」


「アンタ、なに言ってんだ!?」


 まさかのアール・バイターからへのニートの降格であーる!


「こいつは駄目だ! なんとかしなきゃ! 僕が……」


「ワガハイ ハ ミーシャ デアル。ナマエ ハ マダ ナイ」


「ミーシャさん…」


 まるで留守電機能みたいに同じ文言を繰り返すだけになってしまったミーシャであったが、いまの猫五郎には彼女が励ましの言葉を掛けてくれるように都合よく感じられたのだ! 男って単純だからさ♡


「そうだ! ミーシャさんを元に戻すのは僕しかいない!」


「いやいや、天才科学者のオラがいるべ♡ んぼぉ!?」


 二カッ笑ったベンザーの横面を、猫五郎は思い切りグーパンした!


「艦長! ヌッコロシエモンで迎撃に出ます!」


「しかし…」


「僕は、よくはわかりませんが…善のムラムラッティの使い手なんですよね?」


「う、うむ…」


「なら、その超能力でもなんでも使って、敵を倒します!」


 猫五郎がそう宣うのに、オキーナもオ・ウーナもお目々を見開く(オ・ウーナに至ってはモザイクなんで、たぶん)!


「…猫五郎」


「だから急いで出撃…」


「おいって。猫五郎」


「は? なんですか!? この忙しい時に! ゴリッポさん!!」


「いや、あれを……」


 今までデカイ図体してんのに目立ってなかったゴリッポは、震える指でモニターを指差した!


「は? …あッ!!」


 モニターを見やって、猫五郎はびっくら仰天する!


 なんと、モモジリに向かって来ていたヤオキチが突如として大爆発したのであーーった!!!


「こ、これは一体なにが……」


 猫五郎は塵太郎を見やるが、塵太郎も鼻水をくったらかして唖然としていた!!


「ヒーゲラゲラ! こりゃ整備不良だっぺ…んべっぽぉッ!!!」


 余計なことを言おうとしたベンザーの顎に、猫五郎のアッパーカットが決まる!


「んなわけねーでしょうが! アンタの適当な整備とは違うんだ! 相手はラスボスですよ!」


「し、しかし、あのヤオキチを一撃で仕留められる者など……お、おおッ!?」


 モニターを見やっていた塵太郎はブルブルと震える!


 ヤオキチの吹き飛んだ爆風の中、たった1体だけポツネンとロンリーウルフ風に佇んでいる者がいたのだぁーー!!


「あ、あれは…まさか…」



『グルルルルルルッ!!!』



 通信越しに聞こえる憤怒の唸り声に皆が恐怖する!!


「い、犬次郎さん……」


 そう! それは紛れもなく犬次郎! シバキイーヌだった!!


「そんな。重傷だったはずじゃ…」


「ワシのムラムラッティを受けてピンピンしておるだと!?」


 猫五郎も塵太郎も我がお目々を疑った。しかし、お目々の前の現実は変わらない。



『グルルルルルルッ!!!』



 それも激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームを限界突破し、超宇宙すらも燃やし尽くさんとする、ビックバン的な、なんかそれぐらいの大激怒であーる!!!


 犬次郎はなぜ怒っていたのか!? 


 簡単な質問だ! 金の玉を3回転半もされりゃ、どんな温厚な柴犬だってバチクソ怒るさぁ!!



『全員、ブッ頃すッッッ!!』



 放たれる怒気だけで、モモジリ船体が大きくシェイクしたみたいに揺れる!!!


「「「ヒィイイイイイッ!!!」」」


 サドマゾンのヤオキチが現れた時よりも強い絶望感がモモジリを襲った!!!


 いやはや、とどのつまり、“復活のI”なのであーーる!!!


 畜生転移らしく、真のラスボスは、やっぱり犬次郎であったのだーー!!!

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?