『畜生転移(1もしくは無印)』…大魔神の陰嚢玉を手にした、激怒した犬次郎によって理不尽に終わる。
『畜生転移2』…激怒した犬次郎に遭遇し、恐慌状態に陥った猿三郎の暴走で理不尽に終わる。
『畜生転移3』…激怒した犬次郎が雉四郎やゾンビビスごと世界を崩壊させて理不尽に終わる。
そして、『シン畜生転移』もまた激怒した犬次郎が超宇宙を理不尽に破壊して終わってしまう──
「終わってたまるかァー!!」「終わってたまるもんですかァー!!」
血の涙を流しながら、ブリッジに飛び込んで来た畜生たちがいた!
「猿三郎伍長に雉四郎兵長!?」
猫五郎はびっくら仰天する!
超宇宙の塵芥と化した(元から塵芥に等しいが)と思われた猿三郎と雉四郎だったからであーる!!
「い、生きてたのかよ…」
びっくらしているゴリッポを突き飛ばし、猿三郎と雉四郎は、猫五郎の前にまでツカツカと来る!!
「アイツじゃぁー! アイツのせいで物語が毎回狂ってしまうんじゃぁー!!」
「そうよ! いつもいつも犬次郎の暴力に耐えて、アタシたちは必死で生きてきたのよぉ!!」
「は、はぁ」
猫五郎は知らなかったが、この2匹はとんでもねぇー目に遭わされて来たのであーる(ほぼ自業自得だが)!
「しっかし困ったもんだべさ! このままじゃ超宇宙が終わっちまうべさ!」
「ヒィィィ!」
ベンザーが嘆き、ゴリッポは咽び泣く!
「なんとかしなきゃ…」
猫五郎はミーシャを見て主人公っぽく決意を固める(前話でもやっていた気がしなくもない)!
「しかし真正面から戦って勝てる相手ではないぞ。ムラムラッティも通じぬチート能力者だ」
なんかピンクのハンケチで顔の半分を覆った塵太郎がそう宣う。覆うことで恥ずかしさが消えたのだ。
「チート能力……。そうだ! そういえば、犬次郎さんはいつからチートを持っていたんですか?」
猫五郎がそう問うのに、猿三郎と雉四郎が、オキーナとオ・ウーナが、ゴリッポとベンザーが互いに顔を見合わせる。
「「「さあ?」」」
猫五郎は怪訝そうにした。
「なら、犬次郎さんも僕やアール・バイターと同じ生まれながらのチート持ち?」
「いや、そんなことわないわよ。だって現に、犬次郎が昔に負けたことだって……」
「その通りだッッッ!!!」
ブリッジの扉を襖を開けるみたいに、ッパーンして現れたのはゴッデムだった!
「エンジンがなんでこんなとこにおるんじゃァ!?」
「黙れ! 糞アニマル! 肝心な事も忘れているようだから、この俺が教えに来てやったんだろうが!!」
「うぎゃぁぁぁ!!」
ゴッデムは猿三郎に、右手でアイアンクローする!
「ゴッデムさんはなにか知ってるんですか?」
「当たり前だ! 俺は神だぞ!」
「“元”ね」
「うるさい!」
「きゃああああ!!」
ゴッデムは雉四郎も、左手でアイアンクローする!
「思い出せ! 犬次郎があんな無茶苦茶になる前のことを! いつからあんな狂犬となったのだ!?」
「そ、それは異世界に……行って変な武器を手に入れ……て……」
ゴッデムのアイアンクローの効果で、雉四郎の小さな脳味噌がキュッと絞められたことで、遥か彼方の記憶が想起される!
「そうだ! すべては犬次郎が“大魔神の陰嚢玉”を手にしてから変わってしまった!」
「そ、そうかァ! ワシの
「いや、それは自分のせいだ」
「な、なぜじゃぁーー!?」
猿三郎は血の涙を流す!
「ともかく、犬次郎さんが“大魔神の陰嚢玉”を手に入れた経緯を調べれば、なにか対策が……って、そんな暇ないでしょ!!」
猫五郎がのたまう通り、モニターには今にもすべてをブッ壊そうとしている犬次郎が唸り声を上げていた!
「その通りだ! だから、貴様らを“過去”に飛ばして歴史修正する必要があるッッッ!!!」
「は? そんなこと……」
「できる! 神に不可能はない!!」
そう言って、ゴッデムは股間から何やらハンディカメラみてぇなものを取り出す! しかし、それは穴っぽこが空いていて、ぶっちゃけジャンクになっていた!
「これは雉四郎が壊してしまった転移装置だ!! そのせいで、世界どころか超宇宙までがおかしくなってしまった!!」
「は、はあ?」
「これをなんとかできれば、貴様ら糞アニマルどもを再び異世界へ……それも過去の異世界へ飛ばしてやることができる!!」
「???」
猫五郎の顔は疑問符で一杯になった。
「猫五郎は分からんでも、読者はもう分かっている! だから細かい説明など不要! 今はこれを直す方法を考えろッッッ!!」
「直せっていったって……この中じゃ、ベンザー博士くらいしか……」
「……いんや、ゴリの字。気軽なこと言うもんじゃねぇさ。無理だべ。こらぁなにがなんだか、天才的なオラさぁにもわかんねぇっぺよ!」
「当たり前だ。糞アニマルども! これは“天災的な科学者”から譲り受けたスゴイものなんだからな!」
「じゃあどうすんだいねェ! ソイツを直す方法なんてないじゃないかい!」
モザイクババアが怒る!
「……いや、待て。ワシと猫五郎のムラムラッティを使えばあるいは」
「え?」
塵太郎がそう宣うのに、猫五郎はびっくら仰天する!
「ムラムラッティで機械を直すだなんてこと…」
「いや、ワシの力を見ただろう。あのゴンザレスを操った時の物理法則を超えた動き。これはまさにムラムラッティが機械などにも影響を与えるという科学的な証だ」
「いやいや、でもそれでも壊れた機械を直すだなんて…」
「いやいやいや、やってみなければわからん」
「いやいやいやいや……」
猫五郎と塵太郎はなんかお互いに否定を繰り返した!
「……ムラムラッティは奇跡の力」
言い合ってる最中、オキーナがポツリと呟く。
「ムラムラッティは根源の力。超宇宙が誕生したのも、ビックバンがムラムラしていた特異点の、たまりにたまった性癖の大爆発だというのが最新科学の見解じゃ」
怪しげなことを言うオキーナに、猫五郎は顔をしかめる。
「……まあ、細かいことは抜きにして、やってやるしかあるまい。その転移装置が動かないことには物語が進まない」
「その通りだ! そろそろ読者が飽きてくる頃だしな!」
身も蓋もないことをゴッデムはのたまう!
「な、なら……やってみますか?」
「うむ」
猫五郎が半信半疑そうに宣うと、塵太郎は頷いて両手を開く。猫五郎も同じポーズとなった。
「「ハアアアアッ!!」」
ネオページ小説にあるあるの魔力を高めるポーズで、ゴッデムの持つ機械にムラムラを注ぐ!
「よし! 世界異動の儀式だ! 猫五郎とそこのハゲだけじゃなく、全員のパゥワーをこのゴッデムに集めろ!!」
「ハゲてねぇし!」と塵太郎が怒るが、そんなことはともあれ、全員がとにかく猫五郎たちと同じポーズをとる!
ご都合主義よろしく、よくわからん光のエネルギーがゴッデムにと集まりだす!
「こ、これはスゴイ・パゥワーだ! このままゴッドパワーを溜めていくぞ!!」
それはまさに音響の付いたクジラに乗って歌ってる気分だ!
「はー、アンベレベレベレアンベレベ! ハッ!」
両手を擦りあげて、ゴッデムはゴッドパワー…いや、ゴッデムパワーを高める!
「アンベレベレベレアンベレベ! ハッ!」
擦る手に合わせて顔も左右に揺らし、右へ左へと全身を上下運動させる!
え? 転移装置はどうしたって? 決まってる! ハイテンションとなったからには、そんなものもうどうでもいい! 擦り上げる最中に投げ捨てちまったぜ!
「転移装置が!」
「儀式の邪魔をするな! ゴッデムッ!!」
「「「ゴッデムッ!!!」」」
なぜだかゴッデムに合わせ、猫五郎と塵太郎以外がゴッデムポーズ(両手を挙げ、右手を拳にして左手首を強く握る…よく日焼けした大胸筋が引き伸ばされ、乳首が浮き立ち、魅惑的な脇が顕になる。剃り残しはない。つまりパーフェクトなポーズのことだ!)による見えないエネルギーに弾き飛ばされ、猫五郎が吹っ飛んだのを塵太郎が支える。
「ええ!? 機械はいいんですか!?」
「恐らく必要なのは、転移するためのエネルギーだったのだろう」
「なら、転移のエネルギーが……」
「ワシらのムラムラッティを媒介にして、マックスまで溜まったと見るべきだな」
ゴッデムの赤パンの✕された『神』の文字が黄金色に輝く!!
「キターッ!! キターコレーッ!!」
ガクガクとゴッデムが前後に激しく揺れる!
それは二槽式洗濯機の脱水槽に、濡れた洗濯物を入れすぎてしまった時のようなガタガタっぷりだ(今の若い子は分からんだろうが)!
ゴッデムパワーは次元の扉を開く!
ゴッデムとムラムラッティと畜生どものドッキングがまさに偶然アルファネムス効果を生み、ハードリングチャンバレー現象が引き起こされ、観点相互作用反応が生じ、内閣総理大臣賞的な連鎖的に多角化式婉曲類型と思わしき多段次元のマシュマロ渦がまさにテラ時空と地球時空との空間の橋渡しをする!!
え? どういう意味だって?
意味なんてない!
なぜならば意味があったら世界異動なんてできない故に!!
「い、行くぞ!! 過去の異世界へ!!」
「「「ゴッデム!!!」」」
あいや! 皆の叫びと共に超宇宙が真っ白に包まれて異次元転移したのであーーった!!