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36 畜生転移0

 鬼……


 それはすなわち、童貞を拗らせた男共の“負”の感情によって生み出された魔物である事は、超宇宙にとっては常識中の常識であーる!


 さてはて、このまま鬼どもをのさばらせておいては、少子高齢化を招き、行く行くは社会保障費の増大に繋がり、様々な問題が発生した上、内閣総理大臣に増税派の検討使を据えることになるのではないか、はたまた給付金出す出す言うてやってるふりをし、他人の責任は追及するくせに、自身の選挙の大敗は省みない無責任な人をリーダーに据えるのではないかという不安を抱いたクレーバーな超世界統一政府は、およそ300年ぐれぇ前から「なんとかしなきゃ!」と検討して、選挙の度にやってる風を装っていたのであーった!!


 そこで、この鬼どもを生み出した熱烈バカップルの息子、塵太郎のムラムラッティのパゥワーにお目々をつけ、鬼どもの討伐に、鬼ヶ島へ出征を命じたのであーる!




★★★




「グルルルルッ!」「ヌギギギギッ!」「キシャァァァ!」


 犬次郎、猿三郎、雉四郎のアニマルバージョンズは怒りに怒り狂っていた!


 その理由は……


「あっれー? なぁに唸っちゃってぇんのよ? ねえ? 不満なの? 不満なのぉ? あなたたち、鬼退治に行くって自分から望んで契約マニフェストしましたよねぇ?」


 どこぞの論破王の如く、他人を小馬鹿にした表情で現れた顔は、なんて表現したものか……あえて例えるなら、平日の昼間から真っ白なタンクトップと茶色いハーパンにビーチサンダルという出で立ちで、ギィギィうるさい古びたチャリンコをこいで、咥えタバコ(もちろん路上禁煙区画で)をし、近所のスーパーにやって来ては、手当たり次第にスイカをゲンコツで叩き、「お。こいつは中身が詰まってんな」と独り言をのたまわっている感じの……そう! どこにでもいるオッサンに近い、あのアール・バイター……いや! アナスキー・チタイストーカー……いいや! 違う! 塵太郎(2代目)その人であったのであーる!!!


「貴様が食わせたキビダンゴは……」


「そう! それぇ! うちのクソババアがハマった黒魔術でぇ、呪いかけてっからぁ〜、俺に逆らったらぁ、ゴー・トゥ・ヘル!!」


 喉を掻っ切る真似をして、親指を下に向ける塵太郎!


「クソがぁッ! お腰につけたキビダンゴを喰ったばかりにぃ〜! ワシらはハメられたんじゃー!」


「クーリングオフよぉ! こんなの不当契約よぉ! 顔だけの男のクセに!」


 犬次郎と猿三郎は怪訝そうにする。


「なに言ってるんだ、お前?」


「ま、まさかこの塵太郎の顔がイイと言ってるんじゃ…」


「そうよ! 顔だけはイケメソじゃん!」


 雉四郎の男の趣味は最悪だった。もちろん普段はイケメソ好きなのだが、自分に『愛してる』という甘い言葉をかけてくる男は全部イケメソに見え始める、どーしようもないタイプのビッチなメンヘラであったのだ!


「とにかく、契約解除せんかーい!」


「鬼ヶ島なんて行きたくないわよー!」


 血の涙を流して抗議する猿と雉!!


「うるせぇー! 細けぇことガタガタぬかすな!」


 ブビビーッ! と、屁をぶっこきながら怒り狂う塵太郎!


「ちょっくらオッパブ行ってくっからよ! そしたら、鬼ヶ島で鬼狩りじゃー!!」


「まて、塵太郎。仲間になったばかりの、我々のレベルは1。到底、鬼ヶ島で鬼退治など……ギャイン!」


 塵太郎は犬次郎を蹴り飛ばす!


「じゃかましゃー!! 気合じゃ! 気合じゃ! 気合じゃ! 気合があればなんでもできる!! 風俗店で気合入れれば問題ない! いつるの!? 今でしょ!!」


 塵太郎はハゲ散らかった頭から脂を飛び散らしながら叫ぶ!


「お前ら畜生は、そこで大人しく待ってろや!!」


「グルルルルッ!」「ヌギギギギッ!」「キシャァァァ!」


 オッパブに入って行く塵太郎を、3匹の畜生は憤怒で見送ったのであーーった!!



 さて、そんな光景を木の陰からジッと見ている者の姿があった!


「……塵太郎様。お慕い申し上げております」


 あいや! 頬を染め、その謎の人物はトチ狂ったことをのたまわったのであーーった!!

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