平野ポタージュ
異世界ファンタジー冒険・バトル
2025年04月01日
公開日
3.4万字
連載中
あたし四ノ宮 神美(しのみや かみ)は食べる事が大好きなぽっちゃりワガママボディのJK!。16歳の誕生日に、家族と親戚の皆で誕生日パーティーをする筈が、謎の中華服を着た集団が現れて何故か命を狙われる事にぃ!?。家族はあたしを「美豚(びとん)」って言う中華伝説に登場する伝説の食材にする為にあたしを育てていた事が判明!?。生贄として差し出されたあたしは間一髪で、おばあちゃんに助けられたの。おばあちゃんから龍の髭で造られた不思議な指輪を渡された瞬間、目の前の景色が急に古代中国に似た世界に!!────途方に暮れていると、黒服の怪しい集団に殺されそうになるんだけど、すっごい美形の男の子に助けられちゃったの!!。ドキドキと空腹で気絶……
どうか夢でありますように
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あたしは伝説の食材
第1話 「祖母との約束」
それは、何千年も前の呪いと伝説──
古代中国に「美豚」と呼ばれる伝説の食材が存在していた。
それを食した人間は不死身となり、永久に美しい姿でいられると……一種の呪いとして語り継がれていた
「ええか、神美───お前は絶対に"でぶぅ"になったらあかんぜよ。」
幼き頃に聞かされた祖母の昔話は、神美の食欲を唆るだけでしかなかったのだ。
夕暮れ時の縁側で必ず、神美の祖母・リン子は伝説と呪いの食材について語った。
その話を聞く度に神美の口から出た言葉は
「おなかすいたあ」
「おめぇはどうしてそう食い意地がはっとるんじゃき。野菜を食え!そしてササミを食べろ」
「いやだいやだ!!油ギトギトの唐揚げが食べたいよ!」
「そんなもん食っとったら豚になって養豚場に連れて行かれるべ。」
「豚さん好きだからいいもん!」
「阿呆、殺されるぞ」
「ばあちゃん口悪いよー涙」
この頃の神美は、既にまん丸ぷっくりモチモチ体型であった。頬を膨らます……既に膨らんでいる、少しむくれた表情を浮かべている愛おしい孫を、優しくリン子は抱き締めた。
「ばあちゃんな、神美には幸せになって欲しいんだ……。世界で一番……な」
「神美もね、ばあちゃんに世界一幸せになってほしいよ!」
「そうか……─────だったら痩せろ」
「がーん!!」
「神美────絶対生きろよ……」
「ばあちゃんも生きてね」
その時のあたしは、おばあちゃんがどんな思いで、忠告をしていてくれたかなんて分からなくて─────
「まさか…リン子さんが亡くなるなんて」
「生贄を護ろうとして……らしいわよ」
「情が湧いたとか?」
「あの人も馬鹿よねぇ……」
葬儀場でヒソヒソと話す親戚の人達は、哀れみながら手を合わせる。
「ばあ…ちゃん?」
棺の中のおばあちゃんはまるで眠っているようだった。
《ええか|神美《かみ》、生きろ───絶対生き抜け》
最後に聴いた祖母の声が耳から離れない。
「ばあちゃん、あたしは生きるよ……──だから、目を開けて?……ばあ、ちゃん……」
「大丈夫よ……神美」
お母さんが優しくあたしを抱き寄せる。
だけど、何故か違和感があった。
「大丈夫……───"16歳になったら"、また……逢えるわ」
震える神美の母は声を押し殺しながら泣いていた────のではなく、笑っていた。
しかし幼き神美は、それに気付く事さえも出来ないまま、そのまま母の腕の中で眠ってしまった。
一瞬感じた違和感でさえ忘れて…………