「
此処は五つの後宮の内の一つ────
皇帝陛下に相応しいと階級が上と認められた妃だけが暮らせる場所とされている
その一室で、翡翠色の上等な衣を身に纏い、黄金色の瞳を持つこの少女───名は「
「はい、申し訳ございません…。
侍女の一人がおどおどしながら伝えると
バンッ!!──────
「……あのクソ女……ふざけてんのかしら?」
「
侍女が
「触らないで────」
「も……申し訳御座いません!」
(気付かれては……計画が全て台無しになってしまうわ……)
「…今すぐに
「で、ですが……」
「貴女達が
細めた目の隙間から見えた黄金の瞳は、その場に居た者を恐怖のどん底に一瞬で突き落とした。
逆らったら何を言われるか……何をされるか……───侍女達は慌てながら
「所で……、何故外が騒がしいのかしら」
「はい…、それが…あの伝説の食材と言われる「
「……なんですって」
「それに、その
「今すぐ捕まえなさい───」
「ファ、
「それはいくらなんでも無茶では!?」
「その
「し、しかし……姿特徴等が分からないとなれば……捜すのは不可では……」
ダダダ!ぼよん!ダダダ!ぼよん!ダダダ!ぼよん!ダダダ──────
動物の様な足音────それはまるで大きな豚が走る音だった。
「……みーつけた」
衣の裾から、白く透明感のある足を出し……
ガッ
「うわあ!!?」
ズザーーーーーーーーッ!!!!!!
足を引っ掛けて、転ばせたのだった。
豚─────ではなく、見知らぬ異界の娘を
「ファ、
「な…なんてことを!!!」
「ふふ……、この時をどれだけ待ち侘びた事か……────この豚を部屋に運びなさい」
「で……ですが……」
「───
「そうではなくて……」
「……────重くて、運べません」
「…………────全員で持ち上げるわよ」
侍女四人と上級の妃が、自分達より僅かに一回りふくよかな娘を引き摺るなど、どんな光景だろうか
思い切り転んで、完全に気絶した少女を持ち上げて、
「はあっ……はぁっ……怒 あんた重すぎよ!!怒」
そう──────
これが、
この出逢いが、