「……脱衣場見なかったの?さっさと出てって頂戴」
「…
「この胸でしょ?───アンタらが捜してる犯人とやらは胸部を切り落としてるものね……」
「……男だったの?───」
ばしゃんっ!!!────
足を滑らせ巨大な風呂桶にダイブする
「だ、大丈夫!?」
「……ア、アンタって……────馬鹿!?」
「へ?」
「……
「でも、あたしは
「何を根拠に……そう思えるのよ」
「だって……、
「何でかしら……心に刺さる言葉ばかりなのに…───すっっっっっっごいムカつくッッ!!!!」
しかし抓られている筈なのに、何故か嬉しそうな
「……変な子───」
「はあ~~……でも、
「……あったり前でしょ。
「へぇ~そうなんだ……────って!!!今なんて!?」
すると、
「……
黄金色の淡い光が夜風と共に消えていく
目の前には翡翠色の髪をした黄金色の瞳の少年……。思わず見蕩れてしまうくらいの美貌に
そして視線は翡翠色の少年の下半身………
「ひいえええええええええっ!!?」
「煩いなぁ!!。何騒いでんだよ!」
「だだだだだだだだだだって!!」
「……嗚呼、こんな"棒"は飾りだよ。僕は僕だから」
「んな事言われたってッ!!!」
「……ふーん……君って本当に…男性経験無いんだ?」
ばしゃ……───ピチャ……
風呂桶から上がる音────
ひたひたと……、床を這う音が
「そんなに面白い反応されたら………苛めたくなるんだよねぇ」
「い、いやあああ!!サドがいるよーー!!?」
「…言ってたよね───
「な……何言って……」
「───此処で、僕に抱かれろ」
頭を打たないように
そのまま口付けをしようと顔を近付けると
「……誰を……庇ってるの?」
「………」
「貴方は……あたしを護ろうとして……──誰かを庇おうとしてる……?」
《───……陛下を、誰よりも愛していたから……》
「…庇いたいんじゃない……──
「止める……?」
「──何をしておる!!!そなた達はッ!!!!」
「…シャ、
「へ、陛下…!?」
「
「
今にも斬り殺してしまいそうな
その様子を、後ろで呆れながら見守る
。
。
なんとか
毒殺事件の犯人と関わりがあったこと……
「……全く……、お前という奴は……」
「も、申し訳ございません……陛下。」
「まあまあ、
「ッ…怒りたくもなる!!──あ……あの様な場所で……」
「ま、まさか陛下……──僕が
「安心しろ、断じて違う。」
「……陛下、そんな所も……お慕い申しております」
「そんな事はどうでも良いですよ。早く本題に……」
「ちょっと、何がどうでも良いって言うのさ!!」
(……いつまで続くんだ……こりゃ)
「……でも、丁度良かった。
他の
一瞬の沈黙の後、
「僕が…
その妃は、
妃が
「胸部を切り取って、一命を取り留めた瞬間……───その妃の身体から
「
「
「…やはり……医官と言っていた事と同じ…──」
「陛下…あの医官に会ったのですか!?」
こくりと頷く
「……そなたと同じ事を申していた。そして……その妃の──父親であると」
「……そう、だったんですね……。」
「まさか…実の父親と妃が…後宮で再会するとは…───運命の悪戯とやらでしょうか…」
「でも、そこから妃は体調も良くなって……───そして……
「え…!?」
「
病に冒された妃は、この身体ではもう望めない帝への求愛────
それでも……それでも────
"諦めたく……な、い"
身体を抑えてもがき苦しむ妃から悲痛な叫びと邪悪な魂を感じた……
『馬鹿ッ!!
必死に問いかける友の声は届かず……
『ウッ…!?あぁぁ……───ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!!!───……フフフ……ワタシを消そうなんて考えない方が良いぞ……───その時はこの娘も……世界も破滅を迎える……ホッホッホッ……』
妃の慟哭が止んだ時───それはもう手遅れだった。身体は妃だが、魂は完全に喰われ……それは邪悪な存在。
『ッ……そんな事!!させる訳ないでしょ!!』
『…
『ほざけ……!!』
『お前も流行病にかかって死ぬがよい』
その時、妃の手中から放たれた黒い靄に身体を飲まれて、僕の意識は途切れた。
幸いな事に一命は取り留めていて……、目が覚めた時は、もう胸部は切り落とされていて、流行病も終息を迎えようとしていた。その時、僕の傍で看病していた侍女が
『あの子は……』
(そう言えば……あの子の名前……聞いてなかったわ────柘榴色の衣を身に纏い、無邪気に笑う、憎たらしくて……でも、憎めない奴……)
『
『……お前は……』
『私は、
『……アタシの胸は……』
胸に触れると、平らで……みっともない傷痕が残っていた。
『……──馬鹿な人ね……───どうして、
『……分からないわ。でも、ほっとけなかった……。アタシと同じ人を好きになったからかしら……』
『……白龍帝の事ね』
『それに……唯一…アタシと対等に接してくれたのは…あの子だけだったから』
『…………』
自分よりも少し歳が上の侍女は、大粒の涙を零していた。その泣き顔が、一瞬……本当に一瞬だったけど……
「
「
「つまり……故郷へ身を潜めていると…申したいのか?」
「断言は出来ませんが……その可能性は高いと……」
「
「
フッ────……
突然、
「ひい!!灯りが消えたーー!?」
「……賊か?───」
「しかし、外は騒がしくありませんね……、一体何が…」
「……そりゃあそうでしょ……───気配を消して、侵入出来るって言ったら───」
ミシ……ピシッ────
天井に亀裂が入る────
「!ッ──
ドオオオオンッッッ!!!!!
天井が破壊され、見上げると満天の星と───赤い龍が一匹
こちらに襲いかかる────
「きゃあああ!!」
グシャッ!!………
何かが潰れる音────
(ッ……あ、れ……痛くない?)
白檀香の香り────
がっしりとした逞しい腕から血が滲む
「ッ……う!」
「シャ、
「「陛下!!」」
「嘘……どうして、あたしを庇って……!?」
「……安心しろ、かすり傷だ……ッ。……──約束した筈だ──そなたを…護る……と」
「
"上辺だけのあんたに、護り切れるかねぇ…"
赤い龍は身体から赤い光を放ち、人間の姿へと変えた。ヤマモモのような赤い短髪──耳には輪っかの耳飾りが大量に身に付けられていた。
「そこの伝説の食材は、盗賊・
(まさかこの人……