――私はどこにでもいるごく普通の女子高生だと思う。
目も当てられないほどブスってわけでも目が覚めるほどの美人ってわけでもない。
正確は決して明るくはないが、暗いと言われるほどでもない。
家は決してお金持ちではないけれどドがつくほど貧乏でもなく、両親二人に子どもは私一人という典型的な核家族だ。
私が小さい頃は年に一度のペースで旅行に出かけていたが、最近はお互いの都合でそういうイベント的なことは全く行われていない。
私がもう、高校生なんだから当たり前なのかもしれないけど、両親とはお互い共通の話題も少ない。
自然と会話も減り、朝目覚めた時、そして夜寝る前、お決まりの挨拶をするだけ。
だけど、かと言って仲が悪いわけでもない。お互いの存在が疎ましいわけでもない。
学校では悪目立ちしないように立ち回りに気をつけている。
クラスメイト達も別に悪い子たちってわけでもないから、イジメられるようなこともない。
休日、遊びに行く程度には仲の良い子も何人かはいるが、友達と呼べるほど親密な間柄でもない。私はあの子達のことを何も知らないし、多分、あの子達も私のことを何も知らない。
関心を持てるほどの関係性がないのだ。
そしてきっと、将来、私が誰かと結婚し子どもを産んだとしても──登場人物が入れ替わるだけでその関係性はたいして変わらない気がする……。
そんな想いは、いつしか私の日常を言いようのない息苦しいものに変えてしまっていた。
薄い。あまりにも薄い。
いつも私は自分の周囲の空気の薄さに窒息しそうだった。
そんな日々の中、メールアドレスにあのメッセージが届いた。
最近、クラスでも噂になっていたライセサマ・チャレンジに参加者を募るメッセージ。
ライセサマ……。
そう名乗る謎の人物にネットを介して一定期間、課され続けるゲームを全てクリアした者には、祝福が授けられ、この世の全てのしがらみから解放され楽園に迎えられると言う。
……胡散臭いにもほどがある。
どうせネットの都市伝説の類でしょ。
実際にメールを見るまで、そう思っていた。
だけど、何度もその文面を見るうちに私は何だか、
詐欺メールとか、悪意ある誰かのイタズラかも知れなかったが、別に構わないと思った。
どうせしなければならない事もしたい事もない。そんな私がどうなろうと誰も困らないし、私だって困らないと。
だから、こう返事していた。
ぜひ、試練に挑戦したいです、と。
すると五分もしないうちに返事が返ってきた。