「諸国百物語」に記述のある
世にも恐ろしい怪異を知っていますか?
その名は「逆立ち幽霊」。
元来、「逆立ち」とは非日常の象徴であり、
「この世」と「あの世」の逆転現象を示し、
逆さま幽霊は無間地獄を落下していく
亡者を表している。
…織田信長の家来に端井弥三郎と言う
男がいた。
ある夜、川を渡ろうとした弥三郎だったが、
ふと川上から逆さまの女幽霊が口から
火を噴きながら近づき、話しかけてくる。
幽霊は、自分を庄屋の女房だと名乗り、
夫とその愛人に●害された挙句、
祟りを封じるため、遺体を逆さまにされ
土に埋められたと訴える。
同情した弥三郎は自ら船の舵を取り、
幽霊を庄屋と妾の元に送り届ける。
直後、逆立ち幽霊は
庄屋の家に突撃し、憎い妾の首を
引っこ抜いて復讐を果たす。
後日、逆さに埋められた女房が発見され
庄屋の悪事は明るみとなる。
もし夜道で逆立ち幽霊に"話しかけられたら
どうしますか?