「ここは、何処?」
僕は、気が付くと真っ白な空間に立っていた。
「初めまして。」
急な声に驚き身構えた。
「御免なさいね。驚かせて、私はこの世界では、神と呼ばれています。これからの事をはな・・・。」
「神様?・・僕は死んだのですか。・・!
記憶に無いのですが?
・・・死因は?
これからどうなるのですか?
天国もしや地獄行きですか? ブルブル!」
「チョツト待って下さい。私の話を聞いて下さい。落ち着いて!」
「・・・!はい。」
「貴方は死んではいません。ただ、理不尽な召喚をされたのです。」
「召喚?・・・あの異世界ですか?」
「その通りです。魔王が復活したと騒ぐ王国のバカ王達が禁断の召喚魔法で貴方を呼び寄せたのです。」
「僕が魔王と戦うのですか?この僕が、どうやって?・・・出来っこ無いですよ!」
「ええ。貴方な性格を、見た限りでは無理でしょう。このまま召喚された後の悲劇を見据えて、貴方をここに呼びました。」
「・・・?」
「貴方に力を与えましょう。強靭な精神を与えましょう。力は貴方に害する敵意を抑え、または排除出来るでしょう。但し、際限の無い力は危険な暴力となります。それを抑えるのは確固たる強い精神となります。これを持って王国の野望を排除して下さい。民を守って下さい。それを貴方に期待します。」
「この僕に出来るでしょうか?」
「大丈夫です。貴方なら出来るでしょう。さあ時間が無いわ!」
男に贅沢な程の、あらゆるスキルが与えられた。
そして、男は召喚された。
その後、男は理不尽な王国を征し、魔族を含めた国々を纏めたと歴史書に記されている。
ただ、歴史書には、誰が書いたのか、欄外に、
【王は、全てを知りつくし、あらゆるスキルを与えられていたが、常識だけは無かった】と殴り書きで記されていた。