「女神さまは、絶えず貴女を見ております。
正しい祈りと行いを。
貴女の浄財が、恵まれ無い子供たちを救います。
女神フローレ様に感謝を。」
「女神フローレ様。教祖様。
私の全財産を捧げます。
フローレ様に感謝を。」
教祖と呼ばれる男にひれ伏す幾多の男女。
新興宗教の一幕。
「兄貴。やりましたね。さすがに兄貴だ。教祖様が詐欺師の兄貴にぴったしですぜ。
今日も売り上げがバッチしですね。」
「ワハハハ。笑いが止まらないぜ。俺みたいな男にひれ伏すなんて、フローレ様さまだぜ。
どうせ、女神フローレなんて、俺の作り出した嘘の神、本当には居やしないウソっぱちさ。」
教祖の男は、スキル[ 偽りの心 ]を持つ詐欺師。
「[ 偽りの心 ]自身の心を偽り、役に成りきるスキル。
役者に最適なスキル。」
完璧に教祖を演じきる詐欺師だった。
噂は広まり、着実な信徒がふえていく。そして、教祖は質素清貧の表に対して、酒・女と爛れた裏を隠していた。
天空で女神は、教祖の行動を見て怪しげな微笑みを浮かべる。
片隅で他の神々と天使たちが、その微笑みに戦慄を感じた。
早速、女神は天使を呼び、何か耳打ちを。
しばらくすると、準備が出来た模様。
「教祖よ。私はフローレ。女神フローレ。古の女神です。いつしか忘れられた私を呼び出して頂き、感謝します。其方を女神フローレの第一使徒に任じます。そして、其方のスキル[ 偽りの心 ]を更に上の[ 偽らざる心 ]にアップと私の加護を与えましょう。」
酒盛りの席上で、突然に神の言葉が教祖の心中に降り注ぐ。
慌てる教祖。酒が溢れて、御馳走の皿がひっくり返る。
「め、女神フローレ様て実在したのですか?」
「私を疑うなかれ。実際に神威を見せましょう。
今から2日後に王都の南ダンジョンで魔物が溢れて王都に向かいます。
そこに、第二の使徒で有る勇者が王都を救います。其方は、勇者と共に王都民を励まして守りなさい。そして、勇者を其方の右腕に喜んでなるでしょう。」
不意の予言に戸惑う教祖。
2日後、まさしく魔物が王都に迫り来る。そして、予言の通りに勇者が現れ、「教祖様。女神フローレ様より、貴方に従う事を命じられました。貴方と共に王都を守りきりましょう。」
「全てがフローレ様の言葉通り。俺も戦います。」
教祖は、王都民を励まし、魔物は勇者が倒しきった。
ここで[ 偽らざる心 ]スキルが、教祖の心を変えた。
教祖の職業が、[ 詐欺師 ] から [ 女神の使徒 ] に変更された。
その後は、教祖と勇者を中心に真面目な教団と変わっていく。
神々は、「神の名前なんか関係ないよ。神を称える全てが、我々に届いているから。」
次作は、途中から内容が変わります。