「女神さまは、絶えず貴女を見ております。
正しい祈りと行いを。
貴女の浄財が、恵まれ無い子供たちを救います。
女神フローレ様に感謝を。」
「女神フローレ様。教祖様。
私の全財産を捧げます。
フローレ様に感謝を。」
教祖と呼ばれる男にひれ伏す幾多の男女
教祖の男は、スキル[ 偽りの心 ]を持つ詐欺師。
信者に隠れて酒・女に溺れる。
天空で女神は、教祖の行動を見て怪しげな微笑みを浮かべる。
片隅で他の神々と天使たちが、その微笑みに戦慄を感じた。
ーーーーーー【内容が変わります】ーーーーーー
早速、女神は天使を呼び、何か耳打ちを。
しばらくすると、準備が出来た模様。
「教祖よ。私はフローレ。女神フローレ。古の女神です。いつしか忘れられた私を呼び出して頂き、感謝します。其方を女神フローレの第一使徒に任じます。そして、其方のスキル[ 偽りの心 ]を更に上の[ 偽らざる心 ]にアップと私の加護を与えましょう。」
酒盛りの席上で、突然に神の言葉が教祖の心中に降り注ぐ。
慌てる教祖。酒が溢れて、御馳走の皿がひっくり返る。
「め、女神フローレ様て実在したのですか?」
「私を疑うなかれ。」
神の言葉と共にスキル [ 偽らざる心 ] が発動する。
「どうした事だ。体が思い通りに動かない。俺の思いと反対の行動にからだが動いてる。」
それ以来、教祖の行動は清貧そのものの生活となる。
ただ、心中は( 酒が飲みたい。お金が欲しい。女おんな!)欲望の波が嵐の様に渦巻いている。・・・が、体が、心と反対の行動を求める。
質素に。清らかに。浄財は全てが貧しき者達に。
祈りを、女神に祈りを捧げる。
[ 贅沢に。欲望のままに。金は、全てが俺の物!
酒に、女こそ俺の命。]
「気が狂いそうだ。」
思い通りに動けない苛立ちすら表現出来ず、死ぬことも、逃げることも出来ない。まるで精神の牢獄。
これは女神様の罰なのか・・・。
「少しキツかったかしら。」
怪しげな微笑みを浮かべながら、お茶を飲む女神たち。
「でも、案外粘るわね。案外精神力が強そうね。予想では直ぐに泣き付いて助けを求めると思っていたけど。」
「何処まであの男を苛めるつもりだ。」
「さあ。どうかしら、彼しだいよ。場合に依っては、良い使徒になりそうね。期待が持てそうね。」
教祖の清らかな祈りと清貧をモットーとする行動は、王国中に広まり多くの信者が、女神フローレを称える、祈りを捧げる。
やがて、王国から他の大陸へそして、世界中に・・・。
「ねぇ。そろそろ諦めたらどうなの。」
教祖に女神の声が降りてくる。
教祖は、未だに信者では無かった。
神々は、呆れかえるも、その精神力の強さを称え、称号 [ 不屈の魂 ] 与えられた。
彼の心は複雑な気持ちだ。しかし、心の中の欲望は、捨てきれない。
いや。意地である。
月日は流れ、男も年老いた。女神も呆れて、「貴方には参ったは、もう許してあげる。残りの人生を好きな様に生きなさい。」
その言葉と共に、男の体は光り輝き始めた。そして静かに目が閉じられた。
「教祖さまがお亡くなりなられた。昇天された。」
教団は、信者は、嘆き悲しみ、そして女神フローレに深い祈りを捧げた。
男は、目が覚めると辺りを見渡す。
ある宿屋の様だ。不意に立ち上がり鏡に己を見ると、若く知らない男がいる。
そして、静かな言葉が心に流れる。
「貴方には、参ったわ。でも、貴方の行動で神々を祈る声が世界中に広まり、平和の時が訪れています。感謝しています。私の身勝手で貴方の人生を壊して仕舞いました。
貴方には新しい体とスキルと加護を与えます。好きな様に生きなさい。」
男は自由を得た。此れからは己の欲望のままに生きようと誓った。
そして、最初の行動は、女神フローレ様への祈りだった。
彼曰く、「女神に操られた祈りなんか意地でもやるもんか。此れからは、誰にも縛られずに、思う存分に祈れるさ。」
その言葉に女神は悔いた。そして、彼に [ 女神の使徒 ] の称号を密かに与えた。