「誰か、教えてくれ。俺は、何故戦うのか。何故魔物を殺さなければいけないのだ。」
召喚されてから、3年の月日がたった。
未だに勇者は迷い続けている。
召喚された当初は、訓練に次ぐ訓練で迷う暇が無い程、疲れきっていた。
ゆとりが出来た時点で迷いが生じてきた。
「王国の為? あり得ない。相手は誘拐犯だぞ、同情する意味がない。」
「王国民の為? 同情はするが所詮は他人だ。親しい人の為なら、頑張りたいが。」
「世界の為? なお、あり得ない!」
「・・・・・! 見つけたぞ!! ウフフ!この為なら頑張れる。」
「魔王よ。悪いな!恨みは無いが目的完遂の為に死んでくれ!」
時が経ち、勇者は魔王を倒した。
「ウハハハ!これからが、本当の目的だ。必ず達成するぞ!」
勇者は、王都に凱旋した。王国民の大歓声も、王からの受勲パーティーも、勇者にとっては、冷笑の極みだった。
その夜、勇者は魔王と化して、王城を蹂躙し、王国は壊滅した。
勇者は自分が生きる為の目的は、誘拐犯に復讐する事と決めて行動した。
この事で、勇者が心から納得したかは、筆者にも解りません。