広間に集まった人々の話題は、優秀な若者に注がれている。
一方の俺は、軽蔑と暗黙の非難の眼差しで蚊帳の外感が否めない。
夕闇迫る頃、勇者の歓迎パーティーが大広間で開催された。
若者は着飾り、パーティーでの主役が用意されているが、俺は、定番通りの扱いが待っていた。
下へ下へと階段を下ろされる。煌びやかな音楽が、遠くで流れている。俺はひたすら降りていく。兵士の槍先に脅されながら。
最下層の扉が開き、奥に押し込まれた。
松明の炎がユラユラと部屋を怪しげに照らす。
奥で待っているのは、パーティーを脱け出して来た王と宰相。
松明の光が、悪魔の微笑みとして照らしている。
「勇者は、あの2人が居れば問題無い。また、2人ともお前に対しては冷淡でな、居なくても良いそうだ。そして無能なお前を飼う程、城に余裕は無いのでな。とは言え、城下に放逐して、余計な事を話されても困るのでな。お前に消えて貰う事にした。」
「消える?殺されるのか?」男の声がか細くなっていく。
「王様!此処で殺せばジュウタンが汚れます。何処かに飛ばすが、上作かと。」宰相の情け様の無い言葉に、王は「魔境大森林に追放する。」と決断した。
背後の魔術師が呪文を唱え始めた。
男の視線がボヤけていく。
「女神様。俺がどうかしたのか?答えてくれよ?」と声が、部屋に響いた。