「どりゃー、渾身の一撃」
ガキーィン。刀と剣が打ち合う。
「なんのなんの、これ位 屁でもないわ。」
カキーィン。幾合と打ち合うふたり。
勇者と魔王の幾度目の戦いになるだろうか。
何時もの様に、戦いは引き分けて双方が各々の陣に引き上げる。
「小僧。腕を上げたな。ワシは嬉しいぞ。何時でも挑戦を受けてやるわい。ワハハハ。」
「じじい。耄碌はまだ早いぜ。挑戦を受けるのは、俺の方さ。」
「ガハハ。いいよるは。」
笑う魔王に静かに近寄る勇者。
魔王は、一瞬警戒をするが、今までの戦いから、勇者の本質を考え警戒をとく。
「じじいよ。武人としの願いを聞いてくれぬか?」と少し小声の勇者。
不思議そうな顔で「魔王軍の侵攻は止めぬぞ。お主の降伏なら受け入れるがな。」
そんな事ではない。不満顔の勇者。
「休戦を申し込みたい。1日で良い。」
「内容によっては、考えよう。」
不信顔の魔王。
「風呂に入りたい。洗濯したい。鎧の虫干しみしたい。クリーンでは、我慢出来ない。それが理由だ。」
切実な勇者。
呆気に取られた魔王。つい勇者の勢いに負け、「わ、わかった。明日1日を休戦しよう。」
魔王の一言で、静かな明日が約束された。
王国には、秘密です。