召喚陣が目映い光で輝き出し、徐々に光が薄れた中で何かが蠢いている。
「召喚が、成功したのか!」ローブ姿の術者達が叫ぶ。
召喚陣の中には、一匹のスライムがうずくまっていた。
「ま、魔物!」驚き騒ぐ術者達。槍や剣を構える騎士達。豪華な衣装を纏った王らしき者を守っている。
スライムは、ぱっちりまん丸お目目を開き、「此処は何処?僕は草原で、お昼寝してたのに?おじさん達誰なの?」
「魔物が喋った。魔物が!」
狼狽える術者達。警戒を厳にする騎士。緊張感が部屋に満ちる。
「ほう、ほう、お前さんは勇者かな?」白ひげの老魔法師が尋ねた。
「知らない。なぜ此処にいるの?」
老魔法師は、「鑑定して良いかな?」と尋ねると同時に始めた。
「ほぅ!・・・! 高いステータスと多くのスキルと女神の加護。そして勇者の称号。 まさしく勇者だよ!」
驚きの表情は隠せない。
「ボク。僕はスライムだよ。勇者て何?おいしいの?」何も知らないスライムは、キョトンとした顔で尋ねる。
「勇者は、魔王軍に侵略されつつ有る王国を守り、魔王を倒す者じゃよ。」老魔法師は答える。
「エーぇ。魔王様と戦うの?ヤダー。勝てっこないよ。」
「誰だよ、こんなスライムを召喚したのは?何でスライム何だよ?」
ぼやく術者達。
突如、皆に女性の声が降り注ぐ。
「私ですよ。」
「め、女神さまですか!」
驚きの人々が狼狽える。
「そう!女神さまですよ。」
女神は、律儀に答える。
「何故、勇者がスライムなのですか?」
「何故って・・・。面白いそうだからかしら?」
「へ、ぇ?」人々の呆れた顔が物語る。
「女神様。スライムが魔王に勝てるのでしょうか?」
「・・・。さぁー。わからないわ。でも、それなりの能力とスキルと加護を与えて措いたから・・・きっと大丈夫じゃないの?たぶん。」
少し疑問符の多い解答の様です。
誰かが、「神のみが知るですか!」
女神が、「私は知らないわよ。誰も知らないじゃないの。」と突き放した言葉が帰ってきた。
やり取りの中で、当のスライムは大きな欠伸をして寝ていた。
この先は、筆者にも解りません。