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第114話 勇者召喚?

召喚陣が目映い光で輝き出し、徐々に光が薄れた中で何かが蠢いている。


「召喚が、成功したのか!」ローブ姿の術者達が叫ぶ。


召喚陣の中には、一匹のスライムがうずくまっていた。


「ま、魔物!」驚き騒ぐ術者達。槍や剣を構える騎士達。豪華な衣装を纏った王らしき者を守っている。


スライムは、ぱっちりまん丸お目目を開き、「此処は何処?僕は草原で、お昼寝してたのに?おじさん達誰なの?」


「魔物が喋った。魔物が!」

狼狽える術者達。警戒を厳にする騎士。緊張感が部屋に満ちる。


「ほう、ほう、お前さんは勇者かな?」白ひげの老魔法師が尋ねた。


「知らない。なぜ此処にいるの?」


老魔法師は、「鑑定して良いかな?」と尋ねると同時に始めた。


「ほぅ!・・・! 高いステータスと多くのスキルと女神の加護。そして勇者の称号。 まさしく勇者だよ!」

驚きの表情は隠せない。


「ボク。僕はスライムだよ。勇者て何?おいしいの?」何も知らないスライムは、キョトンとした顔で尋ねる。


「勇者は、魔王軍に侵略されつつ有る王国を守り、魔王を倒す者じゃよ。」老魔法師は答える。


「エーぇ。魔王様と戦うの?ヤダー。勝てっこないよ。」


「誰だよ、こんなスライムを召喚したのは?何でスライム何だよ?」

ぼやく術者達。


突如、皆に女性の声が降り注ぐ。

「私ですよ。」


「め、女神さまですか!」

驚きの人々が狼狽える。


「そう!女神さまですよ。」

女神は、律儀に答える。


「何故、勇者がスライムなのですか?」


「何故って・・・。面白いそうだからかしら?」

「へ、ぇ?」人々の呆れた顔が物語る。

「女神様。スライムが魔王に勝てるのでしょうか?」

「・・・。さぁー。わからないわ。でも、それなりの能力とスキルと加護を与えて措いたから・・・きっと大丈夫じゃないの?たぶん。」

少し疑問符の多い解答の様です。


誰かが、「神のみが知るですか!」


女神が、「私は知らないわよ。誰も知らないじゃないの。」と突き放した言葉が帰ってきた。


やり取りの中で、当のスライムは大きな欠伸をして寝ていた。


この先は、筆者にも解りません。




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