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第115話 久びさの召喚勇者は、失望の眼差しが痛い。

「久しぶりだな。相も変わらず この国は魔王に狙われているんだね。」

召喚早々に勇者から奇妙な発言が?


「勇者さま。この王国をご存知なんですか?

異世界からの召喚ですので、勇者さまは初めてと思われるのですが?」

宰相らしき男と豪華な衣装を纏う王らしき男が、疑いの目で見詰めてくる。


「俺か。ここに召喚されたのは2度目の筈だけど。

確か・・・う~ん。1度目は26代国王の時代だったかな。

彼奴は元気かな?」

勇者の言葉に驚く王様。


「お祖父様をご存知なんですか? 私は29代国王となります。・・・確か120年前に魔王を倒した勇者の話が残っております。・・・?それが貴方様にですか?」

国王が答える。


「120年前!あれからそんなに経ったんだ。

俺が帰ってから3ヶ月も経ってないぞ!

異世界と俺の世界は時間の流れが違いすぎないか!」

驚く勇者。


「貴方様の活躍は伝説になる程に世界中に広まっております。・・・・・しかし、伝説と現実はこうも違う物ですか?」

呆気に取られる人々。


「おいおい!そんなに伝説と違うのかい?」

少し照れながら答える勇者。


「ハイ。伝説の勇者様は、長身で色白。流れる様な細やかな髪で、引き締まった筋肉と男も惚れる程の知的な顔立ちのイケメン・・・・!

溢れる活躍の数々が、今世界中の舞台で演じられております。・・ところが!」

夢破れた人々の視線が、勇者を痛め付ける。


勇者は、チビの小太りで髪はボサボサ。

服装はジャージ姿に寝起き顔。

本当に鎧が着れたのか?と疑問符が頭に浮かんでくる。

結論から言えば、本当に魔王を倒した勇者なのかと疑いたくなった。


現実を知り、失望の人々は小声で呟いた。

「何処から、あの伝説の勇者が生まれたかは、もはや解らないが、伝説は伝説のままでいて欲しかった。」と!


失望は魔王の出現を凌駕した。




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