異世界に召喚された男は、口癖の様に呟き、信じ込んでいた。
【真面目に生きていれば、必ず神様が見ていてくれる。】
突然の異世界への召喚。
戸惑いの中で、生きていく為には王国に従わざる得なかった。
苦しい訓練
ダンジョンでの魔物との闘い。
命有るものを殺す事の葛藤。
魔物を解体する気持ち悪さ。
幾度と無く、心が折れそうになった事か。
その中で祈りの様にひたすらに信じていたかった。
日本に帰れることを。
この苦しみから、あの楽しかった日常に戻れる事を。
心のより何処として、ただ信じていたかった。
だから、今日は頑張る事が出来る・・・と。
女神様は、神界テレビで勇者の活躍を注視しています。
「良い子を召喚したのね。羨ましいわ。
今は、この子の活躍が楽しみだもの!」
天使が呟く。
「他の異世界勇者ばかりを見ていないで、自分の世界で頑張る勇者を見て下さいよ。」
救われない話です。