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第146話 勇者の報われない努力

異世界に召喚された男は、口癖の様に呟き、信じ込んでいた。

【真面目に生きていれば、必ず神様が見ていてくれる。】


突然の異世界への召喚。

戸惑いの中で、生きていく為には王国に従わざる得なかった。


苦しい訓練

ダンジョンでの魔物との闘い。

命有るものを殺す事の葛藤。

魔物を解体する気持ち悪さ。

幾度と無く、心が折れそうになった事か。


その中で祈りの様にひたすらに信じていたかった。

日本に帰れることを。

この苦しみから、あの楽しかった日常に戻れる事を。

心のより何処として、ただ信じていたかった。

だから、今日は頑張る事が出来る・・・と。


女神様は、神界テレビで勇者の活躍を注視しています。

「良い子を召喚したのね。羨ましいわ。

今は、この子の活躍が楽しみだもの!」


天使が呟く。

「他の異世界勇者ばかりを見ていないで、自分の世界で頑張る勇者を見て下さいよ。」



救われない話です。



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