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第164話 最悪の召喚者 

異世界に一人の男が召喚された。


彼は、気が付くと大理石の広間中央に立っていた。


広間を屈強な騎士達が囲む様に立ち、

中央には太った男が豪華な衣装を纏い、座っている。

脇には、こ狡そうな男が何かを指示している。


騎士達とローブを纏う魔術師の一団が、

警戒しながら、召喚された彼を見据える。


おもむろに、こ狡そうな男は宰相だと言い、挨拶そこそこに、彼に向かい話し始めた。

「召喚に応じて頂き、感謝します・・・。」

から始まり、等々と王国の現状、魔王の復活と魔王軍の悪逆非道を語り続ける。


彼も最初は辛抱強く聞いていたが、途中で面倒臭くなり聞き流している。


宰相の言葉が止まった。

話が終わった様だ。

彼は顔を上げて、宰相を見つめる。

宰相は、「ご協力を願いたい」と

やや語尾を強めながら、回答を促す。

背後から騎士達の殺気が感じ取れる。


断れ無い状況を作り出し、有無も言わさずに承諾させる積もりの様だ。


彼は思案する振りをしながら、索敵スキルを発動させ、建物周りを把握する。


「大広間には、騎士が15 兵士50 魔術師が10。

建物周りに、騎士60 兵士800 魔術師 20程か、

おや!外の騎士達が纏まって誰かを守っている様だ。

ハ、ハハァ~ン。外が本命で、中の太っちょは

ダミーだな。

まずは、外を制圧するか。」


少し弱めの魔力を込めて、魔法を放つ。

「制圧完了。何て簡単な連中なんだ。」

笑いが込み上げてくる。


意識を宰相に向けた。

外での状況変化も判らずに、尚も強気で迫ってくる。

彼は微笑みながら答えた。

「俺の眠りを妨げておいて脅迫する積もりなのかな?」


意外な答えに呆気に取られる宰相。

少し強めに言い返えし、騎士達に拔刀を命じる。

「良いのかい。」と彼の声は恐れなていないようだ。

宰相の合図を待たずに斬りかかる騎士。


彼は、危ないなと一声掛けた一瞬で、床には騎士、兵士、魔術師が倒れ伏していた。


驚く宰相は、召喚者捕獲を外の軍隊に指示を飛ばした。






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