神より与えられたスキル【重厚】。
男は冒険者として活躍を夢見た。
初めての薬草採取で魔物ウルフに狙われたが、傷付くこと無く倒してしまう。
翌日の草原で角ウサギの攻撃でも、傷付かない事から、自分が無敵と少し確信した。
ゴブリン相手なら問題なく倒せると考えた男。
「此処までは無傷で倒せるが、
何処までの相手なら倒せるのだろうか。
一度は確認が必要だな。」
と呟きながら、次の獲物の選択を始めた。
「ゴブリンの次は、オークで確認だ。」
とオークの依頼書を片手に受付に向かう。
受付嬢は、俺の体型と【中級冒険者】のカードを見比べながら、
「御一人ですか。パーティーなら問題なく、依頼書を発行致しますが、ひとりでは、大変危険かと
思われます。ご再考をお願いします。」
男は、受付嬢の忠告を五月蝿そうな顔をしながら、無理矢理に依頼書の発行をさせた。
オークは、森の中程に生息しており、体力や力では、ゴブリンとは比べ様が無い程に強力な魔物となる。
オーク程の魔物を相手に無傷なら、金銭的と実績としても美味しい獲物になると考えるが、流石にオーク相手では怖い。
道中で倒したボアを肩に掛け、
森の中を進むと、少し開けた広場を見つけた。
早速、ボアに短剣を刺し込み、血を流す。
そして草むらに潜み、血の臭いを誘われて来るのを待った。
暫くすると、2m越えのオークが臭いに誘われてやって来た。
流石に怖い。恐怖心が身体を縮こませる。
知らぬ魔に後退りしている男。
ポキリと小枝を踏んだ音に、オークが振り向く。
「しまった。」
オークが鼻を効かせて、男を見付けた様だ。
男に向かい戦闘態勢のオーク。
「ブギャー」と一声、雄叫びをあげる。
逃げられないと知った男は、意を決してオークの前に剣を両手に持ち飛び出す。
突進してくるオーク。
男は恐怖で身体が動き煩い。
素早い動きに両手をクロスして守るが、男ははね飛ばされた。
大木を背に受けて、男は止まった。
「イタッ・・・くない。」
オークにぶち当たった両手、大木に当たったはずの背中、共にダメージが無い。
そして、確信した。
オークが俺を傷付ける事は出来ないと。
男は立ち上がり、オークに迫る。
オークは、何度も男をはね飛ばす。
しかし、その度に立ち上がり迫る男。
オークが少しづつ、後退りしている。
異様な男に恐怖を感じ始めた様だ。
男はオークに飛びかかり、滅多やたらに剣を突き刺す。
やがて、ブォーの一声を残して、オークは生き絶えた。
オークに勝った。
男はオークでも無傷で倒せると確信した。