「冒険者さま。
今すぐに使用目的の無いお金は、ギルドへ預けては いかがでしょうか。
預けられたお金は ギルドカードで、各地のギルド支部ですぐに引き出す事が出来ます。
安心かつ安全となります。」
美人受付嬢の言葉に、冒険者はつい耳を傾けてしまう。
「この特権は、Bランク以上若しくは、将来有望な方のみ 声かけを行っております。」
追い討ちを掛ける 擽りの言葉に冒険者は了解してしまう。
美人受付嬢は、冒険者に常に声を掛け、また様々な依頼を紹介する。
それに応える様に、冒険者は頑張り続けて、多くの結果を残し その代償として 多額の金貨がカードに収められた。
一年程たった頃、冒険者は 難度の高い依頼を薦められて受けた。そして、結果は彼の死で終わった。
カードに残る金貨は、ギルドの収入となった。
※ギルドカードの片隅に小さな文字で記載されている、「カードの貯金は、本人が死亡の際、遺族に送られ、遺族がいない場合はギルドを通して孤児院に寄付」とある。
識字率の低い冒険者がどれだけ読める人が居ただろうか?
言葉での説明が有ったのだろうか。
冒険者が亡くなった時点では、もはや誰も判らない。