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第171話 命の厚み ⑦

神より与えられたスキル【重厚】。

男は冒険者として活躍を夢見た。

初めての薬草採取で魔物ウルフに狙われたが、傷付くこと無く倒してしまう。

オーガとの戦いで、傷を負うことなく倒したが、初めて意識の中に有る数字が減った事に気が付く。



オーガとの戦いが終わり、意識の中に有る数字【2000】が【1990】と減っていた。

減った【10】が、ダメージとして受けた値なのかと・・・今回のオーガでは、【10】で済んだのか、それとも他の個体では、ダメージ値に違いが有るのかと考えた男は、再度、オーガを倒す為に森へと向かった。


森に入り、昨日と同じくオークを囮として待ち伏せる。


何回かの戦闘の後、昨日より小柄のオーガが現れた。

オークに食らい付くのを待ち、背後から毒を塗った剣で突き刺す。

振り返る所に目潰しを投げ、更に背後に回り足の腱を切り裂く。


動きの鈍るオーガに剣を振りかざして斬りかかる。少しの傷口から染み込む毒に、動きが更に鈍り、追い討ちをかける様に喉を執拗に狙い、おびただしい出血で戦いは終わった。


早速、数字を確認する。【1980】と10の減少だ。

2体だけの検証だが、オーガでのダメージは、ほぼ10と考えられた。


解体後、更に1体を倒す。減少幅は10となり、オーガでは、10と確定した。

そうなると、オーガだけならば、後197体を倒すことが出来るが、数字が0になったら、どうなるのか身震いがする。


俺としては、オーガは今回のみで無傷で倒せるオークを中心に倒していくと決めた。


ギルドにオーガ2体分を換金すると、思いもしない程の大金と上級クラスのメダルを手渡される。


嬉しさの反面、ベテランとしての義務が課せられ自由が制限された。


上級クラス以上は、大金を得られる反面、ギルドに対して義務が課せられる。

・移動報告の義務

・指名依頼の義務

・街防衛の義務  等々。

断る事も可能だが、多額の罰金・クラス降下等のペナルティーが課せられる。


それよりも重要なのが、ベテランクラスとなると狩る対象がオーガ以上と暗黙の縛りが有る。

つまり、俺はオーガなら197体のみ、それ以上の相手なら何れだけ数字が持って逝かれるか、たまったもんじや無い。

そう! 俺の命が、数字として目の前に突き付けられているのだ。


どうすれば良いのだ。

俺の命の厚さにただ、黙り込むばかりだ。




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