緊急性の高い召喚が行われ様としているらしい?
「女神様。こちらの2名が最終的に残った勇者候補となります。特に左の方が魔力の高い適正能力と、高い潜在能力を持ち合わせておりますので、今回の対魔王では適任と考えます。」と天使は具申している。
しかし、女神様としては
「左の方は、少し年を取りすぎていないかしら。
対魔王では、右の若い青年が良くないかしら?」
どうやら、女神様的には右のイケメンが好みの様です。
「女神様。年と言いますが左の方は見た目は、中年にみえますが右の方と同じ年齢てすよ。・・・見た目だけで、くれぐれも判断しないで下さいよ。」天使が女神に釘をさす。
「でも・・・どうしてもダメ?
いまいち感情が乗らないのよ・・・ダメ?」
女神様は食い下がるが、
「貴女の世界の事を一番に考えて下さいね。
人々は、巨大な魔王の力の前に滅亡寸前なのですよ。
今は、貴女の好みのでは無く、人々の為に相応しい能力の勇者を選んで下さい。・・・お願いしますよ。女神さま!」と断罪する天使。
「判ったわよ。左の男にするわよ。・・・本当にもう!」
ややふてくされながら、男が召喚された。
但し、男に与えられたのは従来の全魔法適正能力のみで、本来与える勇者能力は、聖剣対応のみ。
女神様の加護は無しと天使に反発するかの様な塩対応をコッソリと行っていた。
大理石の大広間に描かれた魔方陣。
1人の男が召喚された。
男はオドオドした表情で、周りを見渡している。
男は、根倉な小太り体型でボサボサの髪形が、見る人を鬱陶しくさせている。
また、喋り声も小さく、消極的な性格を形どっていた。とても、勇者と言っても、決して人は信じない事だろう。
屈強な騎士達に囲まれた中心に座る豪華な衣装を纏う王様。傍らに麗しき4人の美少女が佇む。
宰相が、男に向かい
「勇者との。突然の召喚に応じて頂き、ありがとうございます。
現在、魔王軍の猛攻撃に耐え忍んでいる王国を、勇者殿の力で救って頂きたい。民の苦難を救って頂きたいのです。」
男は、オドオドの表情と相似合った、たどたどしい言葉で
「自分で良ければ、力の限りつくします。」
勇者の回答を了解と捉えた王様は、傍らの姫達に尋ねた。
第一の姫【聖女】は、勇者の容姿を見て怪訝な顔付きで答えた。
「私は、勇者様の足手まといと成りますので、御辞退させて頂きます。」
第二の姫【剣姫】は、勇者の体型を見て呆れ返った顔付きで答えた。
「私は、勇者殿の御期待に沿えるとは思え無いので、御辞退させて頂きます。」
第三の姫【賢者】は、勇者の態度を見て馬鹿にした顔付きで答えた。
「私は、勇者さまとの行動に自信が御座いませんので、御辞退させて頂きます。」と
第四の姫【巫女】は、勇者からにじみ出る魔力と民を救うとの決意を見てとり、答えた。
「私で良ければ、勇者様と共に国を救いたいと考えます。
お父様、勇者様と行動する許しを頂きたいと存じます。」
王様は、第四の姫と護衛のメンバーを添えて、勇者に世界を救ってくれと願った。
勇者一行は、訓練を終えて王都を密かに旅立った。
一方で女神様は、何処から仕入れた情報なのかは定かでは無いが、最終でのイケメン勇者候補が、他の女神領域で召喚されたと聞き、早速に神界テレビでイケメン勇者を探しています。
自分の世界を放り投げて・・・。
勇者は、着実に成果を出していた。
元々、高い潜在能力を秘めていた事が、余計な女神からの付与能力に邪魔されずに急激に伸びを見せて、従来の勇者基準値を大きく凌駕していた。
しかし、根倉で消極的な性格は、変わること無く、他のメンバーとの係わりも最小限となっている。
ただ、第四の姫【巫女】のみは勇者を信じて、話掛けていた。最も勇者からの回答は、何時もの様にボソボソだったが。
勇者一行は、ダンジョンを次々と制覇して、魔王軍の各地の魔力集積所を潰しては、次々と拠点を落としていた。
確実に魔王軍は勢力を落としており、次々と舞い込む勝利の報告に人々は、歓喜を持って勇者一行を迎えた。
歓喜の波に応える第四の姫とメンバー達。
一方の勇者は、高まる声を恐れて、オドオド態度が更に増している。
女神様は、等々あのイケメン勇者を見付けて神界テレビに向かいながら、黄色い声を上げて声援を贈り続けています。勿論、イケメン勇者には彼女の加護が贈られてますよ。
勇者の快進撃は続いていた。
魔王四天王を各個撃破して、町を城を解放し続けている。
側近の四天王を失った魔王軍は、徐々に戦線を後退していく。王国軍も勇者と共に魔族領域に侵攻して、各拠点を占拠している。
魔王は、魔城に立て籠り最後の抵抗をするが、勇者との戦いで倒れて、戦いは終わった。
長い戦いの末、勝利を得た勇者一行。
王都で大歓声に包まれての凱旋となる。
馬車に乗って現れた勇者一行。
やがて、人々は目を見張る事となった。
小太りだった勇者の体型が魔王との激戦の中で引き締まり、涼やかな目元の中に鋭い眼差しが宿り、俊敏な動きが剣技の高さを匂わせる。
練り上げられた効率性の高い魔力を纏う姿は、古の賢者を彷彿させた。
変わり過ぎた勇者は、寄り添おうとする他の姫君達に目もくれず、静かに巫女を抱き締めた。そして、彼女と伴に歩む事の王様に許しを求め、祝福の花びらが天使から届いた。
女神様イチオシのイケメン勇者は、魔王の策略に見事に嵌まり、女とカネに溺れた堕落の生活を神界テレビで赤裸々に写し出され、一瞬で目がさまた女神様が多々居たと天使達が噂している。
ある勇者の物語でした。