「ブルーノ様、アリス様、ご無事ですか!?」
ブルーノとアリスを乗せてきていた船で待機していた兵達が爆発音を聞き、ブルーノ達の元へ駆けつけた。
「大丈夫だ」
ブルーノは答えた。
アリスはぐったりとしていたが、よろよろと立ち上がった。
「フォーコは、寿命を迎えたらしい。燃え尽きたよ」
ブルーノ達の前には、大きく地面が燃えて黒くなった痕とわずかな灰が残っていた。
「長居は無用だろう? もう、国に帰ろう」
ブルーノはよろめくアリスを抱きかかえ、船の方に歩き始めた。
「……はい、ブルーノ様、アリス様」
兵士達は焼け焦げた痕と、消耗したアリス、険しい表情のブルーノを横目に船へ戻っていった。
船の中では、アリスもブルーノも無言だった。
「二人とも、フォーコを倒したのではないか?」
「だとしたら、この重い空気は何だ?」
兵士達は囁きあった。
やがて、船はフィオーレの国の港に着いた。
「それでは、王宮に参りましょう、ブルーノ様、アリス様」
「はい」
王宮に着くと、王子が兵士からの報告を受け、微笑んだ。
「ブルーノ、アリスさん。ご苦労様でした。フォーコは死んだとの報告を聞き一安心できました」
王子の言葉に、ブルーノは答えた。
「いや、まあ、私は大したことはしていません」
王子はアリスの方を見た。
「アリスさんは、大丈夫でしたか?」
アリスは伏し目がちに答えた。
「……はい」
王子はブルーノに言った。
「アリスさんをエルバの町まで送ってあげて下さい、ブルーノ」
「言われなくても送りますよ」
ブルーノは笑っていたが、その目は暗く沈んでいた。
一方、フィアマの島では、灰になったフォーコがよみがえっていた。
「アリス……必ず復讐してやる……!!」