後ろから声を掛けられた。
何でも知ってる、金色のカタツムリだ。
〈危ない、危ないよ!〉
僕は答える。
――危なくなんてないよ。
〈ピエロが来るよ。近付いてくる。
真っ白、のっぺりなピエロが来るよ!〉
――ピエロだからね。
〈見ちゃダメだよ! 小さいんだ、ホントは!
とっても、とっても、とっても!〉
――小さかったら見えないよ。
〈でも見えるよ。でも見ちゃダメなんだ!〉
……ふと、気付いた。
金色のカタツムリの向こうに――。
色とりどりの、風船が見えた。
〈ダメだよ! 知ってしまう!〉
――ぞくりとした。
風船を持った小さな男の子が、見えた。
……見てしまった。
※ここで途絶える。
多分記憶に留まった最初の夢。
でも、もう何度目?
つまり、あれがそうなのか?
――――――――――――――――――
日にちを数え始めてから、1ヶ月ほどになる。
いくら美しいと言われるような光景でも、
ずっとそれだけを見続けるとなると拷問だ。
目を背けたくなるトラウマと何も変わらない。
責め苛むように嫌みたらしく金色に輝き、
世界を毒々しい赤に塗りたくって、
まだその位置から昇ることも沈むこともせず、
水平線にもたれ掛かって。
太陽は、僕らを嗤っている。
――あの目と同じ。あの目と同じだ。
無機質に、僕らをただ嗤っている。
小さな違和感が拭えない。
本当なのか?
まさか