レベル四のアイテムボックスになった
「
「え?僕ですか?二百五十ですよ?」
「にひゃっっ?は??」
「お前、チートってやつか?!」
「僕は凡たるモブですよ!魔法少女ものでいえば主人公のチュートリアルを助けるちみっこ魔法動物ですよ?!」
「よく知らねーがお前今の喩えのそれは自分に過大評価してんだろーが。まずモブってのはもっと控えめで画面から見切れてる感じのもんでお前みたいな個性爆発してるいきもんじゃねえ」
兎田山の自己評価は、前々からおかしいと思っていた。
体力面でも苦しげな姿はそうそう見せない。
記憶力では、アルタ村でも全員の名前を把握している。
同じことを出来るかと言われれば、犬丸にはできない。
エンドゲートに関しても、一年のハンデを考えても無理だ。そう思うと、兎田山はゲート周りに出店していた人々からも覚えられていたのだ。これはモブではない。
「
ビッグラビットを大きく迂回しながら移動しているとはいえ、動きの早いキラーラビットたちは避けられない。
「
ようやく、カナヤ村が見えてきた。
規模はアルタ村より断然大きそうだ。
「
「
猫宮が、次第にパーティのメインブレインになってきた。
前衛なのだから当たり前なのかもしれないが、兎田山頼りから抜け出したようにも見える。
犬丸の知る、穏やかで可愛いものが好きな猫宮とは違う。
だが、それは紛れもなく猫宮小桜の一面だった。
そして、猫宮はまだ前衛職において不可避なはずの怪我をしていない。それは紛れもなく兎田山のお陰である。
謎のワードを呟き出したり、拝んできたり、せわしなくうるさいやつだが、頼りにはなる。
「おーい!おーーい!」
カナヤ村の入口から、見慣れた顔がこちらに手を振っていた。
「シュトルト?!」
人好きのする、そして頬に傷を持つ商人は、笑顔で犬丸たちを歓迎しようとしている。
身を乗り出したシュトルトだが、キラーラビットがその体をターゲットにして狙い出すと慌てて村の中に入った。
取り逃したキラーラビットが二匹、魔除の香から出る煙を避ける。
「シュトルト、あんにゃろお、入口にキラーラビットがたかったじゃねえか」
「村に入る最後の経験値よ!進みましょう」
「これが実質無料の公式ムービーか。時に麻痺してますけど、僕の推し様たちめちゃくちゃファンタジーアニメの主人公なんですよ。はぁ、動画撮りたい。早く『スキル』のレベルを上げなくては」
三者三様の感想を述べて、犬丸たちは武器を振り上げたのだった。