龍討伐戦から早くも1週間が経った。僕は政府や学校、第一部隊の総司令から、戦場での功績を称えられ、それぞれで表彰された。
同時に受け取ったのは、東京にある怜音が通ってる大学・日本魔法科大学への入学許可証。
それも表彰後すぐ即日入学が許可された。僕一人だけではない。最上位クラスのメンバー全員で行くことになっている。
梨央たちは高校の寮で荷造りをして、大学の寮へと引越しを始める。唯一楽してたのは僕くらいだろう。
僕は第一部隊の本部からの登校で確定済み。
麗華さんが作るゲート――いや、そろそろ亜空間通路と呼んだ方がいいかもしれない――をくぐって大学に通うことになっている。
大学に通うのは5人。副隊長も許可証が来たようだけど、拒否したらしい。ちなみに、飛鷹に関しては飛び級生で最年少とのこと。
本人は大変驚いたようで、僕が最上位クラスに配属された時と同じくらいオドオドしていたようだ。
日本魔法科大学では、魔法学はもちろん、魔法に関連する病気や、薬品に関する基礎知識の勉強。
他にも魔法式の構成等様々な学部学科があり、在校生は約5000人。僕はその中の魔生物科に入ることにしている。
この大学自体は20年から30年近く前にできたみたいだが、魔生物科は今から2年前に新設されたばかり。
そして、ここを選んだ理由はもちろん〝自分を知る〟ためだ。だけど、何故か一緒について来た人が約1名。
「優人!」
「ッ!? なんで梨央が?」
「なんででしょー?」
彼女もどうやら同じ学科に入るらしい。まあ、寂しさは少し和らいだけど、ちょっと気まずい。
彼女がどのような理由で入ったのかは不明。だけど、もしかしたら僕を知りたくて入ったのかもしれない。
これから全部の環境が変わる。そんなワクワク感に胸躍らせ、大学の門前に立つ。在校生の人数の割には、とても大きい建物だ。
校舎は横にも縦にも長く、想像を遥かに超えていた。今度からここで生活する。どんな勉強をするのか楽しみで仕方ない。
きっと、高校よりも専門的なことを学んで、深いところまで迫って行くんだろうな。考えれば考えるほど、止まらない。
「梨央。一緒に頑張ろう!」
「うん!」
二人で門をくぐる。これで僕たちは大学生だ。怜音とは学部が違うので一緒ではないけど、梨央がいるなら大丈夫。
ただ、僕には心配なことがあった。それは、蓮が未だに起きないこと。彼と最後に話したのは、龍との戦闘が終わった意識空間での時。
以降、僕が声をかけても反応がない。毎日景斗さんに検査してもらってるけど、異常はなし。きっと、蓮も疲れが取れずにいるのだろう。
新しい勉強。それを楽しむのが最優先だ。
「怜音から貰ったマップを開いてっと……。梨央。僕たちの校舎はこっちだよ!」
「ありがとう! って、優人時間!」
「え? あ! もうすぐ授業が始まる……」
「急ぐよ! 私の手を握って!」
「う、うん!」