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第12話 「やっぱり『ロリ専』なんだ……」みたいな目で見るのやめてくださいます⁉

「あれ? レオンさんは……? いったいどこに?」


 気づけばリビングにはアヤさんしかいない。


「レオンならさっき2階に上がって行ったわよ」


「ああ、そういえば、書斎の空間を拡張するんだっけか。どうやるんだろう? でもしかし、爆発から俺の体を守ったりもできるし、あの人すごいな……」


 ほかには何ができるのかな。

 まだまだいろいろな異能力アビリティを持っていそうだ。


「レオンは支援系の異能力アビリティ持ちとしては、天使族でも指折りの実力者なのよ」


「まあそうか。≪上級監察官≫だもんな。納得」


 支援系かあ。

 無能力者アンチの俺からすれば、異能力アビリティを使えるって言うだけで尊敬の対象なんだけど、複数の異能力アビリティを使える人が傍にいるとわくわくするな。できるなら、いろいろ見せてもらいたい!


「≪上級監察官≫の肩書きは、私に付いてくるのに必要だったから手に入れただけよ。もともとレオンは『異能力行使制限法アビリティリミット』の適用外だから」


「ふーん、そうなのか。ちなみにアヤさんはどんな異能力アビリティが使えるんだ?」


 ≪パートナー契約≫を結んだんだし、俺も知っておいたほうが良いんじゃないかな?


「……アヤでいいわ」


「え?」


「だから呼び方よ! カケルにアヤさんって、『さん付け』されるとなんか気持ち悪いのよ……アヤって呼びなさい! 私もカケルって呼んでいるんだし、何の問題もないでしょ!」


「お、おう……。まあそう言われるとそれもそうか……。じゃじゃじゃあ……アヤ」


「っっっ!」


 おーい! なんで耳まで真っ赤になるんだよ⁉

 自分で呼べって言っておいて、その反応はおかしくないか⁉ 呼んだこっちのほうが恥ずかしいはずなんだが⁉


 ドゴォォン!


 キッチンのほうからものすごいでかくて鈍い音が!

 キッチンにいるのは……ミウ、だよな⁉


「おい、ミウ⁉ 大丈夫か⁉ 何があった⁉」


「……大丈夫よ。ちょっと……壁に穴が開いただけだから」


「えっ⁉」


 ちょっと壁に穴が開いたって何⁉ それってぜんぜん大丈夫じゃなくない⁉


 妹の安否を確認すべく、急いでキッチンへ。



「うわ、なんだこれ……」


 無傷のミウ。

 一安心……と思いきや、俺の眼前にはとんでもない光景が⁉


 冷蔵庫の隣の壁に、直径20cmくらいの丸いへこみ……。ここ、コンクリートの壁だぞ……。うちは欠陥住宅だったのか?


「ミウ。これ……どうしたの……?」


「ちょっとムカ……物がぶつかってへこんだだけだから気にしないで」


「気にしないでって……えーあー、わかった! そういうこともある、よな! うん、気をつけていこう!」


 ヤバいわ……。

 ミウの瞳から光が消えて……あれはヤバい! たまーに現れる『深淵のミウ』だわ! 前の時は下手にイジったせいで……殺されかけたからな……。


 深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ。


 つまり深淵など覗かないに限る! 何があったかは深く確認しないほうが身のためだ。俺の本能がそう言っている!


 そっとリビングに戻ろう……。



「あー、なんでもなかったわー。ちょっとコンクリの壁がへこんだだけでー、まあそういうこともあるよねー」


「そう。庶民の家は大変なのね」


 アヤは、さして興味もなし、と。

 お嬢様のお屋敷ではよくあることなのかな?


「お兄ちゃん」


 音もなく背後を取られた⁉

 深淵のミウ⁉……じゃないな。もう普通のミウに戻っているわ。


「うわっ、びっくりしたー! なんだミウー。俺の後ろに立つな。ケガをするぜ。なんてな」


「ごはん、温めなおしたから。遅くなっちゃったけれど食べましょ」


「お、おう……ありがとな……」


 お兄ちゃんのギャグを無視しないでおくれよ……。悲しくて涙が出ちゃう。男の子だもん。

 と、そういえばアヤとレオンさんって……食事どうするんだろう。学校から一緒にこっちに来たんだし、まだ食べてないよな。


「お夕飯ですね。私もお嬢様も家庭料理は初めてなので楽しみです♡」


 タイミングよく、レオンさんが階段から下りてきた。


 空間の拡張とやらは終わったんですか? ん―その感じ、普通に夕飯も食べる気満々なんですね。マジで冗談抜きでこのままうちに住む気なのか……?


「あ、はい……でも、夕飯の量が……足りるかな? なあ、ミウ?」


 もともと2人分で作っていただろうし、何か追加で……宅配サービスでも頼もうか?


「もう作ったから大丈夫」


「えっ? 作ったの?」


「仕方ないからおかずを1品増やしたの! ご飯は明日の朝の分を炊きなおすことにすれば、今夜は4人分あるし大丈夫だから! もう早く食べよ!」


 ミウが若干キレ気味に言う。


 何かさっきからずっとご機嫌斜めだな……。

 おかずを作ってくれたのはうれしいが、お客さん相手にはもう少し愛想良くしないとダメだぞ?


「ミウ様、ありがとうございます~。さあ、お嬢様もお礼を言ってください」


「あり、がとう……」


「どういたしまして! でもあなたたちのために作ったわけじゃないんだからね! お兄ちゃんのお客さんをちゃんともてなさないで帰したりしたら、お兄ちゃんの評判が下がっちゃうから! それだけだから!」


 おう、ツンデレ妹の登場だな!

 お兄ちゃんのために……泣けてきちゃうぜ。


「ありがとうな、ミウ。ホントにできた妹だよ! 今度お兄ちゃんが何でも好きなものを買ってあげるからな」


 うちの妹はかわいいくて料理もできるし最高だな。


 って違いますよ⁉

 レオンさん、「やっぱり『ロリ専』なんだ……」みたいな目で見るのやめてくださいます⁉

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