2人でスーパーで買い物をした。
会社からは離れているので、恐らく会社の人は、誰も居ないだろうと、仲良くカートを押しながら食材を選ぶ。
「何食べたい?」と聞くと、
「作ってくれるの?」
「うん」
「嬉しい! う〜ん、花怜の得意料理は?」と聞く、
「得意料理かあ〜冷奴!」と言うと、
「え?」と固まっている。
「ふふ、冗談だよ!」
「フッ」と笑っている。
「ハンバーグ、カレーライス、唐揚げ、男子に人気のメニューは大丈夫だよ。でも私、本当は大根の煮物が1番好きなんだよね」と言うと、
「渋いな、でも美味そう〜『私の得意料理は〜肉じゃがですぅ』って言う女子より良いな」と言う。
「ハハッ、肉じゃがも得意ですぅ〜」と言うと、笑っている。
「ハハッ、花怜の料理は全部食べたい!」と言った。
「じゃあ今日はハンバーグにしよう。初めて作った料理が大根の煮物ってね」
「でも、それも食べたいから又作って!」と言う。
「うん」とニコニコする。
結局、ハンバーグの材料を買った。
優星さんも時々料理はするようだが、平日は、やはり疲れて、つい外食かお惣菜を買って帰るようだ。
「お邪魔します」
「おお」
すると、
「あっ、花怜! コレ忘れないうちに渡しておく」と、私の掌に部屋の鍵を乗せてくれた。
「コレって……」
「うん、合鍵」と、
「良いの?」
「うん、俺の方が遅い時は、入ってて」
「ありがとう」嬉しくてニコニコしてしまった。
「初めてもらった」と言うと、
「そうなのか?」
「うん、嬉しい」と言うと、優星さんが抱きしめてくれた。
「俺も嬉しい」と……
そして、やっぱりキスが落ちて来た。
──あ〜このキス好き
早速、水族館で買ってもらったお揃いのクラゲのキーホルダーに付けた。
それを見ながらニコニコする。
「さあ、手を洗って……」と、料理を始める。
優星さんは、部屋着に着替えている。
──うわっ! 胸板! カッコイイ〜と見惚れる。
「ん?」
「あっ」
「もしかして、見られてた? 俺の胸」と言う。
「胸って。鍛えてるの?」
「まあな」
「そうなんだ! 私男の人の胸板、初めてカッコイイと思った」と言うと、
「いくらでも見せてあげるよ」と後ろからぎゅっと抱きしめられた。
──え? 嘘! きゅんとしてしまう
と同時に、良からぬ想像をしてしまう。
「あ〜もうお料理できないでしょ」と言うと、腕を解いてくれた。
「ふふ〜」とチュッとこめかみにキスされた。
──集中しよう!
そこからは、集中してテキパキ料理をする。ハンバーグ、焼き野菜、コンソメスープにサラダ。
ハンバーグのタネを作り、本当はオーブンで焼きたかったのだが、優星さんの部屋にはレンジとトースターしかない。
でも、魚焼きグリルがあるのを見て、
「そうだ!」と、アルミホイルを鉄板のように囲って敷いて、グリルで焼くことにした。ハンバーグを乗せてスタート!
「え? コレ使ったことない」と言う。
「うん、確かに掃除が面倒だからね。でも、ハンバーグはこっちの方が良いよ。今は、魚グリル専用のプレートも売ってるからね」と言うと、
「じゃあ、今度それ買うよ」と言ってくれた。
「うん! お料理のレパートリーが増えるね」と言うと、
「うん、花怜のレパートリー!」と言って、自分では作らなそうだ。
「え? ハハッ」と笑ってしまった。
「ん? 作ってくれるでしょう?」と言う。
「たまにね」
「うん、それでも嬉しい」と又ぎゅっと抱きしめる。
そして、私は、さっきの
すると、
「外回りから帰って来たら、花怜が吉田と小野田と仲良く話してて……妬いた」と言った。
「え? なんで? 話してただけだよ」
「自分でも驚いてる! なんて小さい男なんだって思った。でも、花怜を誰にも渡したくない!」と言った眼差しが凄く真剣で嬉しかったし、驚いた。
──クゥ〜〜! 私めっちゃ愛されてる!
思わずぎゅっと抱きしめた。
「嬉しい!」と言うと、
やっぱり、熱いキスが落ちてきた。
それでも、まだ「何かあったの?」と気になっている様子。
なので、2人の間で隠し事をして、疑われるのもイヤだから、正直に話そう。
それに、優星さんは他の人に余計なことを話す人ではない。だから、杏奈ちゃんのことを話した。
すると、
「そっか、上手く行くと良いな」と、
「うん、だから協力するの!」
「分かった」と、納得してくれたようだ。
「あ〜俺こんなこと、今までは、何とも思わなかったんだけどな。ごめんな、秘密まで話させて」と言った。
「ううん、正直に言ってくれて嬉しい」
「うん」と恥ずかしそうにしている優星さんが愛おしい。
自分からチュッとした。もう一度、熱いキス……
すると、ピーピーピーと、ハンバーグが焼けた音がした。
「ふふ、時間切れ」と言うと、
「残念」と言った。
そして、ビールで乾杯して一緒にご飯を食べた。
「う〜ん、美味っ! 花怜凄いな、料理上手なんだな」と言ってくれた。
私は、小さい頃から料理が好きだったようで、お母さんに色々教えてもらったのだ。
「そっか……お母さんが料理上手なんだな」と言った。
「そうだね」
すると、
「ウチの母親は、あまり得意ではなかったな」と言った。
「そうなんだ」
初めて聞く話だ。
だから、優輝先輩も優星さんも割と自分たちでお料理をするようになったようだ。
母に『いつか、この人だ! って思える人と出会えると思うよ』と言われている。
私は、なんとなく優星さんが
そして、使った食器を一緒に洗ってくれる。洗い終えて、お茶を淹れようとするとマグカップしかなくて、それにお茶を淹れた。
並んで座りお茶を飲む。
「食器ももっと揃えなきゃな」と言う優星さん。
──それは、私と一緒に使うため?
と思ったが黙って顔を見た。
すると、
「早く一緒に住みたいな」と言って手を繋いだ。
──え?
さすがにスピードが早すぎて驚いた。
「花怜は、結婚とかしたい派?」と聞かれて、「うん、そりゃあ、憧れてるよ」と言うと、「そっか」とニコニコしている。
──今のって何? プロポーズの前段階?
と悩んでいると、
「花怜?」
「ん?」
「まだ始まったばかりだけど、俺はそう思ってるからな」と言った。
「うん」
──私は? 私もそう思ってるの?
日に日に、優星さんと一緒に居たいという思いが強くなっているのは確かだ。
でも、こんなに早く進んでも良いの?
「花怜」と言って、私を抱き寄せる。
そして、また優しくキスをする。うっとりして脳までふわふわするようなキスだ。優星さんのこのキスが好き。
そして、私の髪を撫でながらジッと見つめて、
「花怜が欲しい」と言った。
優星さんの低い声が好き。それだけで流されてしまうのに、指を絡めて、うっとりするようなキスが追い討ちをかけるように、その気にさせる。
──やっぱり慣れてる……なんだろう、ふわっとするこの感じ、気持ち良くて全てを優星さんに任せてしまう……
思わず頷いてしまう。
ゆっくり抱き上げられ、そっとベッドへ寝かされると、灯りを落としてくれた。
もう一度何度も丁寧にキスされ、唇が耳元へ移動し吐息が首筋に触れる。同時に片手で優しく脱がされたブラウス。
──恥ずかしい
でも「綺麗だ」と言われて、優星さんに触れられる度に、小さく震えている自分が居る。
「可愛い」と言われる度に照れる。が途中から、そんな余裕もなくトロけそうになっている。
「花怜の声が好き」
──私も……と言えないほど、ふわふわしている。どこに触れられても優しくて心地よい。
そして、彼の影が壁に写り揺れている……
幸せの時間だ。
最高の時間を共にしている。
「大丈夫?」
「うん」
私を気遣ってくれる。
「花怜、大好きだ」とぎゅっと抱きしめられる。
私は、大好きな優星さんの胸板をそっと撫でる。
「フッ」と笑っている。
「
「うん、でも花怜なら嬉しい」と言う。
「ふふ」
「花怜は、1人暮らししないの?」と聞かれた。
「う〜ん、父がね〜『会社が都内なら実家から通えるだろう』って……」
「そっか……そうだよな。俺は、いつでも花怜と一緒に暮らしたいと思ってる」と又言われた。
──どうしちゃったの?
と思った。
「それって……」と言うと、
「結婚前提で同棲! したいと思ってる」と言った。
「えっ!」
──そんなことまで考えてくれてたんだ。
そして、何度でもキスをして、胸板に触れ又ぎゅっと抱きしめる。
──それだけで安心出来るから……
いつもの仕返しで何度でも悪戯したくなる。繰り返すのは、ただのイチャイチャ。
永遠に終わらなさそう……
明日も仕事だ。
「あ〜もうそろそろ帰らなきゃ」
「だな……シャワー行こうか」
「うん」
私の最寄り駅まで2駅、
もう夜10時半だからと家の前まで送ってくれた。
「じゃあ、また明日な、おやすみ」
「うん、ありがとう。気をつけてね。おやすみ」と手を振る。
さすがに家の前では、ハグもキスも出来ない。
見えなくなるまで見送る。
そして、ようやく玄関から入ろうとすると、母が居た。
「え? 見てたの?」と聞くと、
「見えたの」と笑っている。