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0022 姫神様

「うわあああああああぁぁーーーーーーーーっっ!!!!!!」


ユウキとエイリとノブコが悲鳴をあげました。

どうやらここが女子寮だと気がついたみたいです。


「……!?」


神様は分からないみたいです。

キョトンとしています。


「どどどど、どうしましょう」


三人の声がそろいます。


「か、考えましょう」


ユウキが言いました。

三人が黙りこんで難しい顔をしています。

あっ、どこかでチーーンという音が聞こえました。


「一つ策があります」


どうやら、音はノブコから出たようです。


「なんですか?」


ユウキとエイリがノブコの顔に自分たちの顔を近づけます。


「ねえ、ユウキ。変なにおいがするよ。なんのにおいかなー?」


「私達は今とても忙しいのです。神様は、少し黙っていてください!!」


珍しくユウキが少し強く言いました。

そうとうテンパっているみたいです。

可哀想に神様は母親に怒られた幼児のようにシュンとしていますよ。

せっかく喜んで来たのに可哀想すぎます。

神様はユウキのベッドに移動してつまらなそうに腰掛けました。

私は、あまりにも可哀想なので神様の方に移動してひざの上に座りました。


「安土様、ありがとうございます」


神様は、情けなさそうな笑顔になり私にだけ聞こえる様に小さな声で言いました。


「で、その、策とは何ですか? 聞きましょう」


ユウキが顔に影を落とし、悪い代官のような顔をしてノブコに聞きました。


「ふっふっふっ、その前にエイリちゃん、部屋に戻って制服に着替えて来て下さい。そして、予備の制服と下着を持って来て下さい。私も制服に着替えて来ます。ユウキちゃんも制服を持って私の部屋に来て下さい」


「なんの事か分かりませんが、わかりましたわ」


エイリが首をかしげながら言いました。

そして、ユウキは無言でうなずいて衣装ケースから制服を出しました。

三人はそれぞれの部屋に行きます。


「安土様、僕は何故呼ばれたのでしょう?」


そ、そうなりますよね。

神様が見た事も無いほどしょげています。


「うふふ、廃病院のネズミのかわりのお食事に連れて行ってくれるつもりニャ」


「あーーっ!! 憶えていてくれたのですね。僕はあきらめていました。いい子達ですね」


「とてもいい子達ニャ」


「それなら、すぐに行けばいいのに、何をしているのでしょうか?」


「それは、ここが女子寮で男の人は出入り禁止だからニャ。男の神様が見つかったら大騒ぎニャ。だから誰にもバレないように外に出る為の策略を考えている所ニャ」


「そんなことですか。それなら、僕が一度神社に帰って、食事の場所でもう一度呼び出してくれれば良いだけのことですよ」


「そ、そうだニャ。……でも、その事は言わない方がいいニャ。あの子達が神様の為に一生懸命考えてくれているのニャから」


「そういうものですか。そうですね。好意は無駄にしてはいけませんね」


「そうニャ」






私と神様が大人しく待っていると、三人がほぼ同時に入ってきました。


「ちょっと、スカートが短いニャ」


私は思わず声が出ました。

ユウキとエイリとノブコは幸魂……サキミタマ女学園の夏の制服を着てきました。

三人とも良く似合っていて可愛いのですが、エイリとノブコのスカートが短すぎます。

立っているだけなのに中身がもう見えそうです。


「うふふ、そうですね。でも、安土様も短いですよ」


私はうつむいて下を見ました。

あーーっ、人の事は言えませんね。

神様のひざの上に座っているだけなのに、パンツが出ています。

私はギュッと巫女服のすそをにぎって、見えない様に引っ張りました。


「ぶふっ!!」


ユウキが思わず吹き出しています。

そうでしたユウキには私が見えるようになっているのでした。

まあ、ユウキには笑われてもしょうがありませんね。

ユウキのスカートはちゃんとしています。


「言われたとおりにしましたわ。ノブコさん、それでこれからどうするのですか」


「えっ?? エイリちゃんは、まだわからないのですか??」


ユウキとノブコが同時に言いました。


「うふふ、エイリちゃんの服を神様に着てもらうのですよ」


ユウキが笑うのをこらえて言いました。

そして、神様をジロリと見ました。


「えええぇぇぇぇーーーーーーっっ!!!!! ぼっ、ぼっ、ぼぼぼぼ、ぼっ、僕はこれでも、男の中の男ですよ。女性の服など着ることは出来ませーーん!!」


神様が珍しく取り乱しています。

そうとう嫌みたいですよ。

でも、三人は何も聞こえていないように会話を続けます。

あなたたち、聞こえていますよね。

かわいそうな神様。


「うわあぁ!! エイリちゃんその下着は、駄目ですよね。エッチすぎます」


エイリは、ほとんど紐のパンツを広げました。

その顔に悪魔の様な微笑みがあります。


「安心して下さい。新品ですわ。さすがに買ってはみたものの恥ずかしくて、はけていないものですわ」


恐らくそれは男の神様には無理ですよ。


「あの、本当に無理です」


神様が悲しげに言いました。

さすがに無視は可哀想ですよ。

神様は情けない顔で私の顔を見ました。

これは、無言の抗議ですね。

やっぱり神社に帰った方がよかったという抗議のようです。

私は罪の意識で居たたまれなくなり、神様のひざの上から飛び降りてチョコチョコ部屋のすみに歩いて行きました。


「そ、そうですね。さすがにこれは無理ですね。これは、やめておきましょう」


ノブコがやさしい笑顔でいいました。


「はい」


神様はうれしそうな顔になると返事をしました。


「じゃあ、制服の上を合わせるだけならよろしいですわよね」


エイリが白いシャツを手に取りました。

神様はほっとして、その位ならという表情になりました。

なにか、流れがうますぎますね。

最初に絶対断るようなものを提示して、次にそれよりハードルをさげて提案しています。

神様は、最初の下着を断って、少し罪の意識を感じているので次の提案が簡単なものだから受け入れてしまいました。


神様の表情を見て、間髪を入れずにエイリとノブコが神様の両腕をつかんで立ち上がらせました。

それは、私が神様のひざから降りたのが見えていたかのようです。

日本人は私が見えていないはずなのに良くある現象です。

私が鳥居の下を歩いていると、人は私を避けてくれますし、邪魔なところに立っていても必ず大きくよけてくれます。


日本人にはそういうものが心の中に備わっているのかも知れませんね。

外国人ではそうは行かないでしょうね。

きっとボヤボヤしていたら踏んづけられそうです。


神様はあっという間に、上半身が女子高生の夏服になりました。

リボンまで付けられています。

そして、下は茶色のズボンは、はいたままですがユウキのスカートをはかされています。

やったのはユウキです。

自分のスカートをはかせました。

エイリの短いのが嫌だったのでしょうね。


「さあ、すこしメイクをしましょう。神様座って下さい」


ノブコが再び神様に座るように促します。

そして目のまわりを黒く塗り、まつげをかわった器具で立てました。

唇に薄いピンクのリップを塗ります。

そして何種類か持って来た、かつらの中から肩までの長さのものを選んでかぶせます。


「わあぁーー!!!! かわいいーー!!!!」


もともと、中性的な子供っぽい美少年の神様が、ユウキにも劣らないほどの美少女になりました。


「ま、まけたわ」


エイリがいうと、ノブコがコクリとうなずきました。

ユウキはお構いなしに、とうとう、神様のズボンを降ろしました。

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