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0034 名案

「ぐぬぬぬぬぅぅぅぅーー!!」


た、たいへんです。

ガンネスの顔が真っ赤になっていきます。

くいしばった歯から、ビッシという音がして歯が欠けて飛びました。

いけません、このままではガンネスの頭の血管が切れて死んでしまいそうです。


「ボス、興奮しすぎですぜ。まあ、気持ちはわかりますがね。こいつらは、極上だ。ぐへへ、今までの女の中でも一番と言って良い。さあ、祭りを始めましょう。ひゃあーはあぁはっはっはっ!!」


三人は嫌らしい手つきで神様とユウキ、エイリとノブコの方に歩み寄ります。


「ひっ!」


ユウキとエイリとノブコが、腕を胸の前で組んで小さく悲鳴をあげました。


「ぐぬぅー!!!! もう我慢できねえ!!」


ガンネスが真っ赤な顔で、目一杯ツバを飛ばして言いました。


「ひゃはははーー、さすがはボスだーー!! 一番良い奴は、ボスに譲りますぜーー!! 一番手前の美少女がボスのもんだーー!!」


神様を見て言いました。

神様を一番の美少女に決めたみたいです。


「この、バカ共をぶち殺せーー!!!!」


ガンネスが、ユウキ達に歩み寄る三人の男を指さして吠えました。


「えっ!??」


三人の目が点になっています。

すごく間抜け面です。


「うおおおおおおおおおっっーーーーーーーー!!!!!」


ここにいるガンネスファミリーの男達全員から喊声が上がりました。

怒っていたのはガンネスだけでは無かったようですね。

余りにも大きな声なので、二階の事務所の窓ガラスに数枚ヒビが入りました。

全員が、三人に襲いかかります。


「おいっ!! お前らーーっ!! 間違えているぞーー!! 女はそっちだーー!! うぎゃあああぁぁぁーーーー!!!!」


さすがはガンネスファミリーの屈強な男達です。

すぐに三人の男達は静かになりました。


「あんまり、やり過ぎないで下さいよー! せっかく僕が助けたばかりなのですからー」


神様が心配そうな顔をして言いました。

それを聞いて囲んでいた男達が手を止め、三人の男達から離れます。

横たわる三人は全身ボロボロです。

特に顔がひどく変形しています。

でこぼこになるほどこぶが出来て、目のまわりが腫れて目が開けられなくなっています。


「うっ、うっ、うっ……」


それでも意識は有るようです。

うめき声を上げています。

それを見て神様が三人に近づこうとしました。


「まっ、待ってくだせい」


ガンネスがそんな神様に声をかけました。


「……!?」


神様は、少し驚いた表情になりガンネスの顔を見ました。


「治癒はいりやせん。この痛みは罰です」


神様が治癒をかけようとしたのを見抜きそれを止めたようです。

ガンネスも、神様をよく理解してきましたね。


「おい、見て見ろ!!」


「うおっ!!!! あ、兄貴ーー!!」


片手だった男が、無くなっていた方の手を三人の前に出しました。

その時、腫れていた三人の目が開くようになりました。

神様が目にだけ治癒をかけたようです。

それを見て、ガンネスが神様の顔を見ました。

神様は、「だってしょうが無いじゃん、そのままでは見えないのですから」と言うような表情をしました。

ガンネスは、神様の表情を見て「やれやれ」と言う表情になります。

ふふふ、神様とガンネスは無言で会話が出来る様になったみたいです。息ピッタリですね。


「俺は、医者から二度と腕は生えてこねえと言われた。だが見てみろ見事に生えた」


「すっ、すげーー!!!!」


「おい! お前達、自分の服を見て見ろ」


三人の男達は、言われるまま素直に視線を落として自分の服を見ました。


「おおっ、こ、これは!? 血だらけだ。所々穴が開いている。…………ああっ!!!!」


「気がついたか?」


「お、俺達は、道路で撃たれたはず」


「そうさ! 撃たれてここに運ばれた。そのときには、心臓も呼吸も止まっていた。それだけじゃねえ。頭を吹飛ばされて脳みそが出ていた」


「ええっ!! じゃあ……じゃあなんで??」


「あそこにいる、おめー達が一番の美少女といったお方が治してくれたのだ。今も目を治してくれた」


ガンネスが話に割り込んで話し出しました。


「おお、そう言えば」


三人は目をパチパチ、開いたり閉じたりしています。


「俺達ガンネスファミリーは、あのお方を神様と呼んでいる。そして、後ろのお三方を神様の使徒と呼んでいる。さっきも俺の目の前で、完全武装の敵マフィア二百人近くを、一人で倒してくれたのだ」


三人を囲むガンネスファミリーの男達が、無言でうなずいています。


「なっ!!!!!!」


それを見て、三人はそれが大げさでは無く真実だと理解したようです。

でも、二百人は大げさですよねー。いいところ百五十人を少し越えたくらいです。


「おめー達は、俺の神様をぼうとくしたんだ。わかるか」


ガンネスは三人に無表情の顔を近づけました。

変に怒りの表情が無いだけに、余計にガンネスの怒りが染みこんでいきます。


「…………くっ」


三人は少し黙り込み、歯をくいしばりました。


「けじめをつけろ!!!!」


ガンネスが言うと、松葉杖だった男と片腕だった男ともう一人の男が鉄砲を出してかまえました。


「まて、まってっ!!」

「まってくださーーい!!」


神様とユウキが鉄砲の前に出て両手を広げます。

うふふっ、この二人も息がピッタリです。

三人の男は頭を下げて、覚悟を決めていたようですが上目遣いで神様とユウキの後ろ姿を、目を見開いて見つめています。


「神様!! どいて下せい。これは、俺達ガンネスファミリーの問題だ。それにピストルの前に立つのはあぶねえ」


ユウキの足はブルブル震えています。鉄砲は恐いですよね。

それでもユウキはどこうとしません。

首を振って涙目です。

神様はそんなユウキを横目で見るとやさしい表情になりました。


「一つ名案があります」


ノブコがメガネを人差し指でクイッと上にあげました。

メガネのガラスが白く光を反射して、キラリと輝きます。


「!?」


全員がノブコの方を見ました。

いったい、何を言い出すのでしょうか

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