オカルト研究部員と生徒会長が首を振ります。
全員、おわかり、いただけなかったようです
「何ですか? 全くわかりませんわ」
エイリがオカルト研究部員と生徒会長の代わりに言いました。
「そうですか。では、もう一度再生します。一瞬ですよ。まばたきをしないで見てください」
再度ユウキは地下室の水の中に入る、太った男と細い男の背後から映し出す映像を再生し始めました。
ライトが、部屋の中を左から右を照らします。
そこからノイズになる所までを再生し終わりました。
「わかりませーーん。何ですか、いったい??」
今度はノブコが言いました。
「まったく、ノブコちゃんともあろうお方が、どうしてしまったのですかー。では、今度は説明しながらいきますよ」
ライトが、左から右へ移動するところでユウキは映像を止めました。
「ここです。部屋の左端を良く見てください。今は何もありません。この落書きのすぐ横です」
壁には、恐ろしい言葉が落書きされています。
ユウキはそこから水没寸前の映像のところまで進めます。
「ここです!!!!」
ユウキは映像を止めました。
「ああっ!!!!」
オカルト研究部員と生徒会長が声を上げました。
「もう、お分かりいただけましたね」
「わかります。その落書きのよこーーーー!!!!」
オカルト研究部員と生徒会長の声がそろいます。
画面にはあのおぞましい落書きが映っています。
そして、その横にドアが見えます。
「それだけではありません。こちらをよく見てください」
ほんの少し進めると、ドアの反対側の壁に黒い箱の一部のような物が映し出されています。
「まさか、仏壇ですか?」
「さすが、生徒会長です。おそらく黒い大きな仏壇の一部です」
ユウキがどこかの名探偵のように言いました。
「あの、ドアと仏壇が突然現れたのはわかりましたけど、それが何か?」
まだ、生徒会長にはわからないようです。
「うふふ、カッパには認識阻害をさせる魔法がありますわ。きっと今回もそれを使っていたのですわ。つまりここにはカッパがいるという証拠ですわ」
エイリが、すごいと感動したように瞳を輝かせて、ユウキを見ながら言いました。
「あのー、それなら最後の水没した地下室だけを見れば良かったと思うのですが、何故私達は布団の所からあんなに長い間、恐ろしい思いをして見ていたのでしょうか?」
奈々が首をかしげながら、本当に不思議そうにユウキに質問しました。
「ええーーっ!! そんなことぉー、わかるでしょー。私は毎日こんなに恐ろしい恐怖映像を見ているのですよぉー。皆におすそわけでーす」
ユウキは頭をコツンとして、かわいく舌をのぞかせます。
「そっ、そんな、おすそわけーー!! いらんわーーっ!!」
全員の声がそろいました。
ちょっと、待ってください。すべて解決したみたいに言っていますが、階段の踊り場のイスの所で見た人影とか解決していない問題がいくつかあるように感じますけど、大丈夫でしょうか?
「みなさんは、すごいですね。こんなに真面目にオカルトに取り組んでいるなんて、私は皆さんを少し誤解していました。さすがはオカルト研究部です。今、私は猛烈に感動しています」
生徒会長が瞳を輝かせて少女のようにいいます。
「うふふ」
ユウキとエイリとノブコがうれしそうに笑います。
「ちょっとまったーーーー!!!!」
奈々とちーちゃんが言いました。
「えっ??」
ユウキとエイリとノブコ、そして生徒会長が驚きの声を上げました。
「だれが、オカルト研究部ですかーー!! 私達は軽音部です!! ユウキさん、エイリさんもノブコさんも勝手にオカルト研究部にしないでくださーーい」
奈々とちーちゃんの声がそろいます。
そういえばそうでした。
私までころっと、だまされていました。
軽音部、軽音部ですよね。
「じゃあ、今週末は、に○潟県行き決定ですわ。費用は私にお任せください。高級ホテルを予約しますわ。皆さん外泊届けを出すのをお忘れ無くですわ。引率は吉田先生に頼みましょう」
「あ、あの、私もご一緒してもよろしいですか?」
生徒会長まで来る気満々のようです。
「お断りしますわ。オカルト研究部員でも無い人を連れては行けませんわ」
エイリが間髪を入れずに断ります。
「しかたがありません。私は、今日から生徒会長兼オカルト研究部員です」
生徒会長はオカルト研究部に入部するつもりのようです。
「だーかーらーー、軽音部でーーす!!!!」
「せ、先生!! 吉田先生!! 飲み過ぎです!」
ノブコが先生の体を支えながら言いました。
「はああぁーーっ!! せっかくの休日を、女生徒の子守なんてやらされたら、飲まずにいりゃれますかーー!!」
に○潟駅に新幹線がつくまでの間、吉田先生は缶ビールを飲みまくって駅に着いたら、ろれつが回らないほどに出来あがっています。
「さーー駅に着きましたわ。マモリ様を呼んでお昼ご飯にしましょうか」
エイリが言いました。
マモリ様は電車賃がもったいないと、現地で呼んでくれれば良いと新幹線での移動は断りました。
ユウキとエイリとノブコが落胆したのは言うまでもありませんね。
「な、なんですってー!! か、神様がいらっしゃるのですかーー!! それならそうと先に言ってくださーーい。はわわ、どうしましょう。パ、パンツはかわいいの、はいてきたかしら。あぁーーだめだわ、冷房でお腹が冷えるといけないから、おへそまで隠れる肌色のおばさんパンツをはいてきましたーー。これではとても見せられませーーん!!」
「よ、吉田先生は、まさか神様……マモリ様にパンツをみせるつもりなのですか?」
ノブコが驚いた表情であせって聞きました。
「そりゃあ、そうよ。神様はかわいいじゃなーーい」
吉田先生は完全に酔っ払いです。
理性がぶっ飛んでいます。
「チッ! あのぉ、先生と生徒ですよ」
ノブコが舌打ちをして言いました。
「えーーっ!!!! き、禁断の恋です!!!! 生徒と先生、そして百合です」
奈々とちーちゃんが、目を輝かせて驚きながら言いました。
それを聞いて生徒会長も目をまんまるにして驚いています。
「何を言うの、神様は学園に出入り自由にはなっていますけど、生徒ではありません。げんに授業はまったく受けていませんよ」
「うふふ」
ユウキがうれしそうに笑います。
余裕の笑顔です。
そうですよね。マモリ様はユウキ一筋、他に浮気をするはずがありませんものね。
でも、ユウキ。マモリ様のユウキに対する愛情は、恋愛とは違う気がします。
余裕の持ちすぎは危険だと思いますよ。
「神様……まもりさまーー!! おいでくださーい」
ユウキとエイリとノブコが、に○潟駅前のロータリーで手を上げて小指の爪を頭上でくっつけます。
神様はデェスを連れて現れました。
「うわあぁ!! 可愛い女の子が現れましたーー!!」
生徒会長だけが驚いています。
知らないのは生徒会長だけだったようですね。
この後全員で、に○潟名物B級グルメの焼きそばを食べました。
軽音部の部員が食べたのは、レッドでも無く、ホワイトでも無く、ブラックでも無く、なんと、八兵衛黄金焼きそばでした。
に○潟県産の美味しいご飯と定食にして、お腹一杯食べました。
そして、いよいよシベリア村へ出発です。