(き、緊張する……)
「おかえり~想くん!」
「か、櫂! た、ただいま」
「あれ? 櫂だけ? 辰巳さん達は?」
それがさぁ……と、櫂が佐倉くんと櫂のパパである辰巳さんとママである輝久さんとの関係を詳しく話してくれた。
「そうなんや~! ほな今頃きっと感動の再開してるんやな~よかった……佐倉くん」
「マジで危なかった……」
「ふふふ、連夜よかったね? 皆に感謝しなきゃ」
「?」
何の事を言ってるんかよくわからんけど、櫂は連夜にそう告げるとニコニコ笑っていた。
(佐倉くん嬉しいやろなあ)
「あれ? 輝久さん達は?」
「まだみたいだね」
そう言いながら、彰太くんと夏目さんが揃ってダイニングへとやってくる。
「夏目さ~ん、お腹空いたー! 夏目さんの夕食が楽しみでお昼軽めにしたから僕もうお腹ペコペコだよ!」
「ふふふ、櫂は相変わらず食いしん坊だね?」
「……俺だってお腹空いてるっての」
「彰太くん……嫉妬?」
「ち、ちげーよ!」
「ありがとう」
「ち、違うからな!」
相変わらず櫂にからかわれている彰太くんを見ながらしばらく談笑をしていると、バタバタとダイニングに入ってくる人達がいた。
「わ、わりぃ! 遅くなったわ~」
「ごめん! 俺も辰巳も佐倉とめっちゃ盛り上がって! ごめんね」
「もう、ホントだよ~! 僕お腹ペコペコ! あれ、佐倉くん達は?」
「もう少ししたら一緒に来ると思うよ」
「そうなんだ~! あ、パパ、ママこちらが想くん!」
急に櫂に優しく肩を掴まれ、グイッと辰巳さんと輝久さんの前に立たされる。
(うわ、二人とも男前や……緊張する)
「も~想くんってめちゃくちゃ可愛いでしょ?」
「あ~うん、可愛いよね……って、めっちゃ連夜が睨んでくるんですけどぉ!」
輝久さんがそういうと辰巳さんが笑い出す。
「おい、連夜、顔やばいぞ? はははは! 想だっけ? よろしくな」
「俺もよろしくね~」
「は、はい」
なぜか険しい顔をしている連夜さんやったけど、辰巳さんと輝久さんはニコニコ顔で握手をしてくれた。
(めっちゃいい人や二人とも!)
緊張で言いたいことは全部飛んでしまったけど、とにかく優しそうな二人でよかった!
辰巳さんは頼りがいある男性って感じやし、輝久さんは男性やのに何かオカンみたいな独特のオーラがある。
そんで二人共めっちゃ夫婦な感じで素敵やった。
「よろしくお願いします……辰巳さん、輝久さん」
「好きに呼んだらいいよ? 敬語もいらないし」
「あ、俺も~家族みたいなもんだしな、辰巳?」
「ああ」
「えっ」
「想、二人もこう言ってるし好きに呼んだらいい」
連夜さんにもそう言われる。
「ん……でも、辰巳さんと輝久さんって呼ぶ」
「ああ、よろしくな想」
「よろしく」
「はい! 辰巳さん、て、てるひしゃしゃん……あ、噛んでもうた! はずっ! 輝久さん! よ、よろしくお願いします」
(あーもー! カッコ悪いっ)
「っ……」
「ねぇ連夜、悶絶するの止めてくれる? キモいから」
櫂が言うと、輝久さんも辰巳さんも目の前で大笑いをしていた。
「ははは、連夜にもそんな一面があるんだ? やばっ」
「最高だわ」
「二人ともうるさい」
「えーん、想くん連夜がいじめる」
「えっ、えっ……連夜さんいじめちゃアカンで?」
「っ……」
「ねぇ連夜、悶絶するの止めてくれる? キモいから」
櫂がまたそう言うと、輝久さんも辰巳さんも目の前でまたまた大笑いをしていた。
こうして自己紹介を終えた後しばらくして佐倉くんと多部ちゃんも来たから、皆で夏目さんの作ってくれた夕食を食べた。
でも、彰太くんが一口食べるたびに……
「うわぁ! 美味しい! 亮、天才かよ」
「はいはい、ありがとう」
っていうくだりを毎回言うから、めちゃくちゃ笑ったわ。
大人数でワイワイ食べて飲んで、ほんまに幸せやったし輝久さんと辰巳さんともすぐ打ち解けて、いっぱい仲良くなれた。
出会わせてくれた連夜さんと櫂に感謝や~!
◇◇◇◇
めちゃくちゃ美味しい夕食会も終わって、飲み直しをしようと今は広すぎるリビングで晩酌中。夏目さんがおつまみ作ってくれて、お酒も進みポワポワしながらソファで輝久さんと佐倉くんが彰太くんと話をしてる。
(この雰囲気何かめっちゃ幸せや)
「想? 大丈夫? 酔ってるの?」
心配そうに佐倉くんが聞いてくるけど、大丈夫と伝えたい。
「酔ってないれすよ? なに言ってるんですかぁ~?」
「いや、めっちゃ酔ってるじゃん! なあ彰太?」
「ふはははは! ん、ねむい……」
佐倉くんと彰太くんを交互に見るけど、なんか視界がゆらゆらしてる。
「彰太もじゃねーか! まあもう寝るだけだろうし、いいけど……夏目さん困らせるなよ?」
「ふふふ、いつもの事だし大丈夫だよ」
どこからともなく現われた夏目さんに少し驚いたけど、しょう君の事心配で来たんかな~って嬉しくなった。
「はあ、ほんと夏目さんは大人だわ」
「お誉めいただき光栄です」
輝久さんと夏目さんがそんなことを話しているのを見ていると、急にクルっとこっちを向いた輝久さんに声をかけられる。
「あ~想、連夜に無茶されてないか?」
「ん~? ……いやいやいやいや、な、なにを言ってるん」
「ふはっ、動揺しすぎだろ?」
「や、やって」
連夜さんに無茶されてるかって……いつも無茶されて起きれへん時しかないで!
って、何考えてるねん! 思い出したら顔が熱くなってくるのを感じる。
「想? どうしたにゃ~?」
佐倉くんが急に焦りだした俺を心配をそうに見ながら問いかけてくれるけど、言えへん! こんなん言えへん!
「どうせ、連夜にめちゃくちゃ抱かれてるんだろ?」
「っいや、しょう君何言うとんねん!」
「照れるな、照れるな」
「……? 想? 彰太? どういう事?」
あーもう、隠してもしゃーないし……佐倉くんは何も知らんから、仕方なく契約書の話をした。
そして、俺の返済方法の話を聞いて、佐倉くんは見る見る顔が真っ赤になっていた。
(ご、ごめんやで)
でも何故か真っ赤から真っ青になってるけど大丈夫かな?
と、とりあえずニヤニヤしながら横で聞いてるしょう君はしばくからな!
「で? 想はこの先どうしたいの?」
そしてこれまたニヤニヤして聞いてくる輝久さんも、なんかしばきたかったけど何とか耐える。
ちなみに佐倉くんはまだフリーズ中やった。
「わからへんけど……連夜さんが俺に飽きるまでは一緒に居たいとは思ってる。向こうはきっと遊びやけど」
「? 遊び? ないないないない……だってさ、、、」
輝久さんが何か言いかけた時、そろそろ帰ろうかって辰巳さんが話しかけて来た。
「てる? そろそろ帰ろう? (これは本人達に任せないとな)」
「あ~うん! そうだね辰巳 (流石だよね、ホントこういうところ好きだわ)」
「顔に書いてるよ?」
「え? 嘘っ? 好きって書いてあるの? えっ……?」
「っ……はあ、可愛すぎ! 今日は寝れないからな?」
「ばっ、ばか!」
辰巳さん達は唐突にイチャイチャを皆へ見せつけると、フリーズしてる佐倉くんと今からしばく予定のしょう君にバイバイをして、帰りたがらない櫂を嫌がる連夜さんに無理やり預けて帰っていった。
(辰巳さん、輝久さんいい人やったな。また会いたい)
二人の事も大好きになった俺は、いつか二人にもコーヒーを飲んでもらいたいな~なんて思いながら櫂に絡まれ何か言いたそうな連夜さんにおやすみを告げると、久々に自室に戻った。