「あの二人はいつくっつのかな~?」
私は雪ちゃんから見せられたネームを片手に自分の口角が上がっているのを自覚する。
「いや~樹をあそこまで鈍感に育ててしまった私にも責任があるけどまさかあれほどとはね~」
編集者の私から見てもよくかけてるネーム。
前までは細かい心情描写がうまく書けてなかったけれど、今回提出されたネームはそんな課題が見る影もなくなっているのほどよくかけていた。
というか甘々だった。
ヒロインの女の子が臆することなく主人公君にアピールし続ける物語…それでいて主人公君はヒロインの女の子を優しく受け止める関係…
「このモデルがあの二人…ってことよね?」
ヒロインは雪ちゃん、主人公は樹がモデルなのは見てればわかる。
「樹…ここまで雪ちゃんにアプローチさせておきながら気づいてないのは私にも責任がある…!」
ガバッと立ち上がりネームを机に置く。
「安心して雪ちゃん!私が必ず樹と雪ちゃんをくっつけて!雪ちゃんと樹の夢、絶対に応援するから!」
私は誰もいない職場の個室でそう宣言するのだった。