目次
ブックマーク
応援する
3
コメント
シェア
通報

評価二

「……バカ」


樹のことを思う。


「………バカ」


まだ振り向いてくれない彼にもっともっとアプローチする方法を考える。あの人にもアプローチ方法はあってるといわれたのに、まだ振り向いてくれない彼。


「………バカ」


服を脱ぎ、鏡の前で自分の体を見る。

私の体が好みじゃない?

でも、あの人は大丈夫って言ってくれた。


「バカ……」


気づいてくれないアプローチを、後どれだけ続ければよいのだろうか。もし…もし、樹にほかの女の子が付いたら?


「バカ」


そんなこと、考えたくなかった。

私の樹が他の女の子に奪われることは想像したくなかった。


「バカ…」


「何をバカバカ言ってるんだ?」


「!?」


ドアの向こうから声がする。

樹の声を聴いた瞬間、胸が高鳴るのを感じる。


そうだ…大丈夫。

私たちには約束がある。


扉を開け私は樹に抱き着いた。


「おわ…って!なんで裸なんだよ!」


そんな樹の戸惑った声を聴きながら、私は樹の耳元でいった。


「バーカ」


心配させないでよとは、言えなかった。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?