アルカナがなくなるとき。
なしまさんが去ると知った時。
ねねも共にいなくなると知った時。
一番悲しんだのは大川さんで。
小峰さんのさらっとした様子に「なんでお前はそう……まぁお前はそういうやつだとわかってたけどさ」と言っていたのも忘れてない。
去る前に必ずキャンプをしよう。
その約束のためにキャンプの用意もしっかりしていた。
去る時にいつだって出来るようにしていたんだよね。
ある意味、一番人間味のある人が、大川さんだったんだと思う。
MOZUに入ると決めたときだったかな。
初めて入ったアルカナという場所を抜けるのにずっと抵抗があったって。
初めての居場所を手放したくないって。
だからもしなしまさんに何かあった時。
MOZUを捨ててなしまさんに走ると宣言してた。
でもいなくなった。
ねねもいなくなった。
小峰さんも独立した。
MOZUという居場所は大川さんに残されてる。
そしてMOZUの為に全ての職業、白パスを捨てた。
元々覚悟していた。
それが今だっただけ、みたいな感じで言ってたな。
かっこよくて。
圧倒的な圧を持ち合わせ。
常に筋が通っている大人な大川さん。
でも実は少年のようにノリがよくて。
可愛い面が多くて。
短気ですぐ手が出るおこりんぼ。
そんな大川さんが出会った中で。
怖がりな癖に、後ろを振り向いたらニコニコとついてくるまい君は。
ヴァンさんにとってのだよ君だと思うんだ。
可愛い息子のような存在だと思うんだ。
だから色んな所につれていかせて。
初心者マークがついている時に。
黒へ行きたがっていたまい君を自分の下につけて。
共に歩もうとしていた。
だからこそサポートしていた。
その中で失敗した車ガチャは。
「甘かった」
大川さんは自分にかなり責任を問うていたように思う。
大川さんが1人で立っている背中を見るたびに。
MOZUの中で唯一無二の存在な筈なのに。
「俺ってどういう存在なんだろうな」
そんなことを時々呟く大川さん。
その時に、自分を慕う人で一番に思い浮かぶのが。
もしかしたらまい君なのかなって。
ヴァンさんの傍で拾い癖を見ていて、ちょっとうつってきてる大川さん。
あなたは、ばなな君を拾いますか?
なんとなく、そんなことを思った私でした。