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叡智なファンタジーのお約束

「つまり、呪いをかけられた奴にタックルを仕掛けて、尻餅をつかせればいいってことなんだよな?」


「さすがはプロタックラーだね。理解が早くて助かるよ」


 誰がプロタックラーだ。いや、報酬があるとかなんとか言っていたから、ある意味合ってるのか?


「そうは言ってもよ。誰が呪いにかかってるのかだなんて、俺には全く分からねーぞ?」


 コイツ曰く、さっき突き飛ばしたJKがそうらしいが、それはただの偶然だ。


「そこなんだよね・・・・・・。まあ方法が無いわけではないのだけれど・・・・・・」


 今の今まで饒舌に話していた少女の歯切れが悪くなる。おい、どうした急に。


「なんだ、有るんじゃねーか。何をもったいぶってんだ?」


「まあ・・・・・・その・・・・・・ここでは人目につきすぎるんだよ」


 少女は顔を赤らめ、もじもじと身体をくねらせる。


「?」


「まったく鈍いなあキミは。乙女の口から言わせるつもりかい・・・・・・?」


 なるほど。俺は全てを理解した。


 これはあれか。「ことで能力に目覚める」という、ファンタジーにありがちなヤツに違いない。


 なんだ。今まで散々ボロクソ言ってくれたくせに、結局のところ俺にデレてるってことか。まったく、ツンデレちゃんめ。


 そうと分かると、目の前のこの小憎たらしいクソガキが何だか可愛く見えてきた。いや実際、顔立ちは整っている方だろう。全体的に体つきが貧相なのは気に入らないが、所詮は遊び相手だ。まあ、そこまで求めなくともいいだろう。


「なんだ。そういうことなら俺に任せておけ。思いっきり喘ぎ啼かせてやるから・・・・・・な・・・・・・?」


 俺がバリバリのイケボを作って囁いてやると、少女は右腕を回して俺の左腕にしがみついてきた。ふむ。Dカップ未満は胸だと認めていない俺だが、この微かな膨らみの感触もまあ悪くはない。


「ふふ。期待しているよ。じゃあ・・・・・・あっちへ行こうか」


 そう言って少女が左腕の萌え袖で指す方向は、多目的トイレの引き戸であった。


「おいおい、ホテルまでぐらい我慢できないのか? まったく、欲しがりさんだな。お前は」  


 見た目だけは清純派アイドルのようでいながら、なかなかの火遊び好きとみえる。


「そう意地悪言わないでくれよ・・・・・・。それに、せっかくんだ。エレナと名前で呼んでくれないか・・・・・・?」


 隣で頬を赤らめ、俺のことを上目使いで見つめてくる少女、いやエレナ。左腕に押しつけられた微かな膨らみの感触を堪能しながら、俺は鼻息荒く、多目的トイレの方へと歩いていった。

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