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幕間 ~ある夜のミーティング~

「お待たせ、エレナ。頼まれていたEエターナルFフデオリEエネルギーの原液、ちゃんと持ってきたわよ」


「どれどれ……うん、素晴らしい濃度だ。EFEの収集は順調そうだね」


「ええ。エレナの考案したMムゲンKカキンシキFフクアカSシステムのおかげでね。ついでに黒杉出版の収益もうなぎ上りで、頭が上がらないわ」


「『ランキングで上位に行くためにはこの有料の複垢をたくさん買いましょう』とちょっと煽ってやるだけでこの有様なんだから、人間の承認欲求ってやつはすごいよね。別に上位になっても何の景品も出やしないのにさ。・・・・・・たしか今のボーダーは『1億人気』だっけ?」


「それは3日前までの話ね。今は『1兆人気』はないと土俵にも立てないわ。そして、無課金を貫きくすぶっている連中の不満をSNSで扇動してやれば、高濃度EFEの抽出源にもできると。まさにドル箱ってやつね」


「オチエっちも随分悪い顔をするようになったね~」


「まさか。元同業者として良心の呵責でいっぱいよ。……そんなことより、例の計画は順調なのかしら?」


「芳しくはないってところかな。結局二つめの玉も、葉子っちに獲られちゃったみたいだしね」


「まさか、あの佛雁に枕営業して入社した桧山がねぇ・・・・・・。そんな野心家には見えなかったけど?」


「佛雁君が葉子っちのおじいちゃんにタックルして殺しちゃったのがバレて、相当の恨みを買ったみたいだからね~。病院と警察を買収してカンペキに揉み消したはずだったんだけど」


「さしものエレナでもSNSまでは封殺できなかったみたいね」


「別に手が無いわけではないんだけどね。面倒くささが勝っちゃったよ」


「……まあ佛雁ごときのためにそこまでしたくないわよね」


「まあ、そういうことだよ」


「で、その大戦犯さんは元気してるのかしら? グループ会議で彼のクビが決まった際、まさかのラボラトリア・セデーロが身柄を引き取るって聞いた際は、いったいどういう風の吹き回しかと思ったけれど」


「まあモルモットとしてなら優秀だよ。ちょっとやそっとじゃ死なないタフさだからね」


「・・・・・・肝心の仕事っぷりはお粗末みたいだけれど?」


「そこは、まあ佛雁君だし。私もはなから期待なんて1ミリもしちゃいないさ」


「どうせならもっと優秀なサイボーグを選べばよかったのに。あの執事くんとかぴったりじゃない」


「ユリアのことかい? まったく、私がそんな可哀そうなことをするような人間に見えるかね?」


「そもそもが拾ったみたいなものじゃない。わざわざ元社員を使うよりは、よっぽど合理的だと思うけど?」


「まあ、そう合理性ばかりを求めても面白くないってことさ」


「はいはい。……で、本音は?」


「だって、葉子っちにけしかけるサイボーグだよ? これ以上の適任がいると思うかい?」

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