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第164話 マリちゃんと迷宮へ行く準備をする

「これは可愛いなっ!! 描いたのは君か、凄いぞっ!!」


 案の定、鏡子ねえさんにマリちゃんが描いたマークを見せたら大絶賛であった。


「そ、そんなありがとうございます、よろしかったらあの握手を……」

「いやいや、マリちゃん、でかしたでかしたっ!」


 鏡子ねえさんは握手ををした後マリちゃんを引き寄せて抱きしめた。


「ひゃあっ」


 マリちゃんは真っ赤になったがとても幸せそうだった。


「さっそく刺繍を作って貰おうぜ」

「私、パパに聞いて見るよっ」

「はうあ……」


 今は校門である、またマリア・カマチョとのアルバム作りの打ち合わせに行くみのりを見送っているところだ。


「鏡子、私にも見せてよ」

「ほら、チアキ、これだって」

「わあ、カワイイっ、お姉さん上手いねっ」

「あ、ありがとうございます、チアキさん」


「そいじゃま、私たちは行くからまた夕方な」

「狩りの成果を教えてね、マリちゃん」

「は、はいっ、頑張りますっ」


 みのりと鏡子ねえさんは白いベンツで行ってしまった。

 俺と、泥舟と、東海林と、マリさん、あとチアキが校舎に戻る。


「ここがタカシ兄ちゃんの学校かあ、大きいね」


 チアキが物珍しそうに校内をきょろきょろとしている。


「お、タカシだ、おおっ、Dリンクスの新人のチアキちゃんだ」

「小さいのに凄く宝箱を開けるのが上手いのよね」


 通行する高校生に褒められてチアキがちょっと頬を赤らめた。


 職員室に行くと、宮川先生と、竹宮先生、望月先生がジャージに着替えていた。


「おお、新宮来たか、おお、チアキちゃん、昨日の狩り見たよ」

「拳銃をバンバン撃っていてかっこ良かったよ、僕より上手いね」

「あ、ありがと」


 チアキは礼を言うと俺の影に隠れた。


「今日は方喰かたばみ鞠子さんも一緒にして欲しいのですが」

「ほお、方喰くんもDチューバーになりたいのかね」

「は、はいっ、そのっ、『創作者クリエイター』をやりたいんです」

「「「おおっ」」」


 先生方が驚いた。


「そうか、そっちの職業ジョブ希望の生徒もいるんだな」

「でも『創作者クリエイター』とは武器防具を作る職業ジョブでは?」

「創作系のDチューバーらしいです、絵描きとか建築家とかも行けるらしいですよ」

「歌や踊りは……、ああ音楽系は『吟遊詩人』バードが受け持っているんだね」

「基本ステータスは器用度と知能で多分スキルで区別されるんじゃないかと思います」


 泥舟が補足してくれた。

 一応外国では『創作者クリエイター』クランもあるんだけど、武器防具を自作する人が多くて芸術系の人はほとんどいなかった。


「おもしろいね、『創作者クリエイター』が有益ならば、将来の展望として素晴らしい事になりそうだ。是非とも付いて来てくれたまえ、方喰さんっ」

「はいっ!」

「迷宮走破には向かない職業ジョブのようですわね」

「武器も余り持てないですが、ハンマーとか斧とかを持てるらしいです」

「異世界のドワーフの職業ジョブかな」

「ああ、そうかもしれないな東海林」


 ドワーフとはRPGとかに出てくる異世界の小人族だ。

 背は小さいが力が強くがっちりして、斧やハンマーを使い、鍛冶をして武器防具を作る種族だ。


「ハンマー……」

「いや、方喰さんは剣とか使ってね」

「あ、はいっ」


 チアキがマリちゃんの袖を引いた。


「一緒に鍛えて、十階のフロアボスに行こうよっ」

「はい、良いですねっ」


 これで、『臨海第三ティーチャーズ』の面子は5人か。

 というか、バランスが悪いな。

 チアキに『浦波』を持たせて、宮川先生に『暁』を持たせようかな。

 あと、魔銃があれば、全体平均十レベルで突破できるかも。

 マリちゃんが足手まといな感じだな。


 望月先生の車は五人乗りなので、俺と泥舟とチアキは電車で行く事にした。

 先生方とマリちゃん、東海林が車だ。

 三人でぶらぶら歩く。


「今日は方喰さんのレベル一でDチューバーデビューしてもらって、悪魔神殿でジョブチェンジ情報を貰おうか」

「先生方はどうかな」

「まだ5レベルには達しないだろう。あと今日からゴブリンだから」

「あー、ゴブリンか、先生方倒せるかな」


 大抵の普通の人が三階までしか行かないのは四階からゴブリンが出て、人型の魔物を倒すのに抵抗があるからなんだよね。

 Dチューバーの壁と言われている。

 ゴブリンが倒せるようになると、次は地道に五階で十レベルぐらいまで上げる。

 六階から十階は物騒だからね。

 占有屋が居なくなっただろうけど、治安は良くなったんだろうか。


「魔銃は望月先生に使ってもらうけど、チアキはどうする」

「ムカデ鞭でいくよーっ」

「ああ、そうか、浅い階だから鞭で大丈夫か」

「平気平気」


 チアキは着替えてあるから、俺が家で着替えて泥舟を待って、それから電車だな。

 泥舟と家の前で別れた。


「そういや、ねえさんとの部屋の買い物どうだった?」

「買ったよ、部屋っぽくなった、鍵も貰った」


 チアキは首から提げたチェーンを引っ張り出して鍵を見せてくれた。


「今日からご近所さんだな、よろしくな」

「よろしくねっ」


 今度の日曜日でも、ねえさんとチアキと一緒に引っ越しの挨拶回りをするかな。

 マンションのご近所さんの事知らないからなあ。


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