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第176話 気になる宝箱の中身は!

 シュワッと音を立ててゴブリンの群れが魔力の霧となった。

 結構数が多かったから魔力が濃いな。


「わ、レベルアップだ」

「やったあ、レベルアップ」

「わー、アップした」


 泥舟、みのり、チアキがレベルアップを果たした。

 俺とねえさんはまだだな。


 ゴロゴロと二十六個の大小様々な魔石が落ちてきた。

 ロードもいるから良い稼ぎになりそうだな。


 そして、宝箱がポップした。


「「「「「おおおおおっ」」」」」

『『『『『おおおおおっ、金箱!! 装備箱!! 長いぞ!!』』』』』


 現れたのは金色に輝く一メートル半ぐらいの長い装備金箱だった。


『長槍の線は消えた! 手槍か、杖か!!』

『バスタードソードの可能性もあるな』

『フルプレートにしては幅が無い、やっぱ武器装備っぽいな』

『なんだろうなんだろう、チアキちゃん開けて~~』


 チアキが近寄って鍵穴を調べた。


「罠あるね、んーー、爆弾か、硫酸か」


 爆弾だと爆発して中身も粉々にした上に、近くの人間を吹き飛ばす。

 硫酸だと、解錠している『盗賊シーフ』の腕が溶ける。

 かなり厄介な罠だな。


 俺は収納袋から鍵を取りだした。


「鍵を使おう」

「そうだね、それが無難だね」


 チアキもあっさり了承した。


『さすがチアキちゃん、冒険はしない』

『かえってプロっぽい』


 さあ、ドキドキするな。

 泥舟に合う武器だと良いんだが。

 杖か、槍だ。


 鍵を鍵穴に差し込んで、回した。


 カチリ。


 そして、開く。

 中にあったのは……。


『『『『『『魔銃!! 長物!! マスケット銃だああ!!』』』』』』

「ライフル?」

「長銃だね、ライフリングは切って無いかな」


 ライフルというのは銃身にガイドのらせん状の溝が切ってあるものを言う、マスケット銃っぽい、この魔銃はライフルとは呼ばない。


「魔銃かあ、チアキ行き?」

「いや、チアキの両手が塞がるのはなあ」

「威力は鉄砲と一緒なの?」


 みのり、たしかにチアキの持つのは鉄砲だが、正確には拳銃だ。

 魔銃はどうやら口径で威力が決まるっぽいので、拳銃よりも威力は高い、だが、単発じゃないかな。

 銀色で、優美なシルエットで美しい銃だ。


 武器装備には名称カードが無い、スキルオーブなどとは違うんだな。

 だから、あのわっかに針は……。


 あっ。


 俺は収納袋からあの謎の針わっかを出してマスケット銃の銃口に当てた。


 カチリ。


「あははははは」

「あははははは」

「あ、銃に付ける部品だったんだ」

「これって、タカシ兄ちゃん」

『『『『『銃剣だあああっ!!』』』』


 俺は急いでDスマホを立ち上げ、デモゾンアプリの武器販売コーナーを開く。

 うん、レアの銃剣、在庫が三本だ。

 まだ、名前は???のままだな。


 ポチって会計をしておく。

 受け取りは迷宮ロビー売店にしておいた。


 俺はマスケット銃を取って泥舟に渡した。


「僕か」

「多分銃剣は【槍術】で使える」


 泥舟は立ち上がって、マスケットで突きを打った。


「うんうん、スキルが乗る乗る、これで戦えるよ」

「レアの銃剣に付け替えれば、威力とか上がるだろう」

「いいね、遠距離は射撃か」


 泥舟はマスケット銃を構えて引き金を引いた。


 ドキューン!


 続けて引き金を引くが発射されない。


「やっぱり単発かあ、『リロード』」


 ドキューン!


 仕組みは魔拳銃と一緒か。

 しかし、なんでカルカ付いてるんだ?

 カルカというのは玉と火薬を突き固める棒の事だ。

 マスケット銃の下に付いている。

 飾りなのかな?

 魔拳銃には弾を入れる穴も、廃莢のレバーもついてない。

 レンコン部分は回るのだが、魔力を入れる六層タンクらしい。


 俺はゴブリンの魔石を拾った。

 なんとなく、マスケットの銃口に当ててみる。

 すっと中に入った。


「「……」」


 泥舟が岩に向けて引き金を引いた。


『ギャギャーン!!』


 ゴブリンの声のようなものが聞こえて緑色の弾丸が発射され、岩を粉々に砕いた。


「す、すげえ……」

「魔石銃か」

『ティロフィナーレ!!』


 泥舟と顔を見あわせた。


「ぷっ、あははは」

「あっはっははははっ!」


 俺たちが笑い出すと、鏡子ねえさん、みのり、チアキも釣られて笑い出した。


 手持ちのリザードマンの魔石や、オークの魔石を詰めて撃ってみた。

 それぞれ色と威力がちがう感じだ。

 レベルの高い魔物の魔石だと威力が高い気がするな。


「いやあ、これは良い、泥舟がパワーアップだ」

「そうだね、だけどどうしよう、『射手アーチャー』やったほうが良いかな、【射撃】スキルとか、【狙撃】スキルとかも欲しいよ」

「そうだなあ、【槍術】はどうなるんだろう、使えないって事は無いだろうけど半減かな」

「なやましいね、泥舟くん」

「そうだねえ」

「ロビーに行って、悪魔神殿で判定してもらおう。近接スキルがオフになるかもしれないし」

「泥舟がパワーアップで良いな、後衛で頼もしくて、中衛もこなせるのは良い」

「ありがとう、鏡子さん」


 フィールドが開いた。

 結局『グランドオーダー』は来なかったな。

 安全地帯には誰もいなかった。

 罪獣も無し。

 めでたしめでたし、だな。

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