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第177話 売店に寄ってから悪魔神殿で相談

 二十階ポータルの石碑に触ってロビーに戻ってきた。


「『Dリンクス』D級昇格おめでと~~!!」

「「「おめでとう~~」」」


 ロビーにいた配信冒険者さんたちから拍手が起こった。


「ありがとうございます」

「やあやあ、どもども」

「応援ありがとう~~」

「嬉しいです」

「ども……」


 チアキだけ無愛想だな。

 歓声の中を俺たちは売店に移動した。


「おめでとうございます、タカシさん、はいこれどれにしますか?」


 カウンターには銃剣バヨネットが三つ、マスケット銃用の皮のホルスター、弾丸みたいな物が並んでいた。


「三つあるんだ、それぞれ性能が違う?」

「ちがいますとも」

「説明はしてくれるの?」

銃剣バヨネットはマスケット型魔銃にしか付けられません、拳銃型は駄目なんですね」

「ざんねん」


 チアキがぽつりとつぶやいた。


「これには、【刀身延長】が付いてます、二十㎝ほど見えない刃が延長されますね。これには武技【三段突き】が付いています、これには【命中補正】ですね、どういたしますか?」

「三つとも、とはいかない?」

「はい、先ほど注文を頂いたのが一つなので、どれか一つになります。レア交換チケットで先ほどマスケット型魔銃を注文なされたパーティが一緒に申し込みなさいました、もう一件は転売かもしれませんね」


 くそ、三つとも押さえておけば良かったか。


「どうする泥舟?」

「命中か、武技か、槍部の延長かあ、悩むなあ」

「泥舟兄ちゃん、【命中補正】だよ」

「どうしてだい?」

「たぶん、槍部分も鉄砲部分にも掛かるから」


 あ、確かに言われてみれば。

 刀身延長と三段突きは槍部だけだな。


「わかった、お姉さん【命中補正】で」

「はい、ありがとうございます。素の攻撃力はこれが一番高いですよ。あと折りたたみ機能付きです」


 それはなにげに便利だな。


「ご一緒にホルスターと弾丸はいかがですか?」

「おいくらですか?」

「専用ホルスターが六万円、弾丸は種類によってちがいますよ」


 ホルスターはマスケット魔銃を入れて肩に背負えるタイプの物だ。

 胸にあたるあたりが広くなって弾丸を入れておけるホルダーがついていた。

 格好いい。


「弾丸は、スライムの魔石を沢山固めた散弾魔弾、氷狐の魔石の冷凍魔弾、ファイヤーバードの魔石の火炎弾がございます。どれも便利ですよ」


 ああ、散弾があるのか、それは雑魚を蹴散らすのに便利そうだな。


「じゃあ、スライム弾を五個、火炎弾と冷凍弾を三個ずつ下さい」

「ありがとうございます」


 お姉さんはにっこり笑って商品を揃えてくれた。


 泥舟はコモンの銃剣を外し、レア銃剣を付けた。

 カチリとはまった。


 コモン銃剣と違って、針ではなく、細いダガーのような刃が付いていて折りたたまれていた。


「刃を出すには『突撃チャージ』納めるには『収納ストレージ』です」

「『突撃チャージ』」


 泥舟が言うと、ジャキーンと銃剣が前方に開いた。


「『収納ストレージ


 ジャキッと銃剣は畳まれた。

 畳んだ状態だと刃がどこにも当たらないようになっているな。

 さすがはレア装備。


「かっこいいなあっ、泥舟兄ちゃん」

「チアキちゃんも使いなよ」

「そうだねっ」


 作戦によって、チアキと泥舟で使い回してもいいね。


『格好いいなあマスケット銃』

『泥舟が足軽から鉄砲足軽にジョブチェンジだ、三段打ちだ』

『うーん、【刀身延長】と【三段突き】も捨てがたかった』

『耳が早い奴がいるなあ、しかしレアチケットを使ったというと川崎の権八戦に居たやつだな、『白牙』かな』

『かもしれない、『射手アーチャー』の新しい武器として高性能だしな』

『魔石を打ち出せるのが強い。スライムの小さい魔石を固めて散弾は思いつかなかったなあ』


 さて、泥舟のジョブチェンジ相談に悪魔神殿に行くか。


 神殿のドアを開けると、今日の悪魔神父さんは……。

 なんか人魚っぽいお姉さんだった。


「こんにちは、復活ですか、転職ですか」

「転職の相談なんですが、これって」


 足下がびちゃびちゃになってる。


「海水よ新宮くん、体に害はないわ」


 神殿の端っこの机で竹宮先生が居てなにか書いていた。


「竹宮先生、こんにちは」

「「「「こんにちは」」」」

「はい、こんにちは、今日の神父さまはアルダーさま、深海の人魚の悪魔さまよ」

「そうです、よろしくね」


 アルダーさまは凄く綺麗な方だな。

 ……、ちょっと大きいか。

 おっぱいではなくて、おっぱいも大きいのだけれど、二メートル五十ぐらいありそうな背の高さだ。

 ちなみに豊かな乳房は貝殻で半分隠れている。


「ええと、『射手アーチャー』になったら、槍のスキルは使えるかどうかです」

「うーん、『射手アーチャー』は遠距離職業ジョブだから、近接武器である槍スキルは半減、かな? ちょっと調べてみましょう、きてきて」

「は、はい」


 あ、泥舟と並ぶとやっぱりでっかい。

 アルダーさまは赤子を抱くように泥舟を抱き上げた。


『うわっ、これは神殿に急がねばっ』

『バブミプレイ最高!!』

『おっぱいおっぱい!!』

『男子ってさいて~~』

『男女サベツよ!!』

『フェミきた~~』

『にげろ~~』


 アルダーさまが眼を閉じると、パパパと中空にウインドウが開いた。


「あら、『射手アーチャー』では、やっぱりスキル半減ね」

「その上の職業はなんですか?」


 『射手アーチャー』の上に職業パネルが乗っていた。


「あら、銃士ガンナーなら、【銃剣術】と【槍術】が互換ね。ステータスも足りているわね、なる? 銃士ガンナー

「なりますっ!!」

『新職業きたーっ!!』

銃士ガンナーキターッ!! 長銃を操る職業、『射手アーチャー』の上位職!! 器用度と精神力が重要パラ!!』

『おお、【射撃】【狙撃】【調息】【潜伏】【気配消し】【銃剣術】【槍術】が生えやすいスキルだ!!』

『すげえ、世界初の銃士ガンナー誕生だ!! バブ味あふれる絵面だが!!』


 泥舟は伸び上がって銃士ガンナーのパネルを押した。

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